日本語教育能力検定試験の勉強は、実際に日本語を教える際に役立たないと言われます。
令和4年度の役立つ問題・役立たない問題
例えば、令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問2では
「日本語指導が必要な児童生徒のうち、日本国籍は何人か」
が問われます。
1000人? 5000人? 10000人? 30000人?
「こんな数字を覚えても日本語教えるのに役立たないでしょう?」
「はあ、でも試験に出るから覚えるか」
…………
………
……
…
このような考え方だと試験勉強が苦痛になるし、
何も考えずに暗記するだけでは役に立ちません。
一方
「えっ、日本国籍なのに日本語を話せいない児童がこんなにいるんだ! びっくり! どうして」
それをきっかけに考える
数字を覚えるのではなく
どうしてこんなに多いの?
why?
このような問題は数字を覚えるためにあるのではなく、
現在の日本語教育の問題点を知ってもらうためにあるのです。
日本国籍なのに日本語を話せない子どもがたくさんいる?
どうして?
私は夏休みの日本語学校で出会いました。
アメリカ人男性と日本人女性の子ども。男子。アメリカ在住。
アジア人男子は学校でのカーストが低いのでアジア人と見られたくない。日本語を使いたくない。
日本語を勉強する気がない。
彼は全然日本語が話せませんでした。
なるほど。だから親が日本人でも日本語を話せない子供がいるのか。
いままで知らなかった社会の問題に興味を持つきっかけ
それが日本語教育能力検定試験です。
what:何を覚える
ではなく
why:どうしてそうなっている
を考えると
勉強は楽しくなります。
もう一つ例を。
令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(2)【鼻母音】では、「ん」の発音が問われています。
「ん」の発音は日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p484に表があります。
「え、これを全部覚えないといけないの? 大変すぎる」
そうです。
どうして異音がこんなにあるのか、理由を考えずに暗記するのは大変な作業。やりたくない。
勉強が嫌いになります。
私は単純な暗記はしません。
ここでも考えます。
どうして撥音は異音がこんなにあるの?
鼻音は、鼻から出る
鼻母音は、口からも鼻からも出る
「ん(撥音)」は学校の休み時間。前の授業を片付けて次の授業の準備をする。テキスト出したり。
だから「ん」の音は次の音で決まる。
①次の音がアヤワサハ行→鼻母音
アヤワサハは口腔内を閉じないので鼻からも口からも息が抜ける鼻母音になる。
②次の音がその他の行→有声鼻音
口腔内を次の音の調音点で閉じるので鼻音になる。
③次の音がない→有声口蓋垂鼻音
次の音の準備がないので後舌を口蓋垂(ノドチンコ)につけて待機。
令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(2)【鼻母音】の解説より
「ん」は面白い奴ですね。
単純な暗記より勉強が楽しくなりませんか?
そしてこの理屈は日本語を教える際の発音指導に役立ちます。
好きじゃないことは無理にやらなくていい
中学校では歴史を勉強しましたね。
どうしてこの事件が起こったのか
私は歴史の流れを考えるのが好きだったので
歴史の記述問題は得意でした。
一方で、年号や人の名前を答える問題はできませんでした。
私は理屈を考えるのが好きなのですが
理屈のない暗記が苦手です。
それをしたのは「山田さん」なのか「田中さん」なのか
私にはあまり興味が持てません。
日本語教育能力検定試験でも同じです。
人の名前を選ぶ問題はよく間違えます。
ですがいいのです。
得意な文法で点を取るので。
好きじゃないことを無理やりやろうとすると
モチベーションが下がります。やる気がでません。そして日本語教育能力検定試験のせいにします。この勉強は役立たないと結論づけます。
そうならないように
好きなことを徹底的に磨いてください。
そこからあなたの日本語教師の将来も見えてくるかもしれません。
日本語教師の働き方は多種多様です。
自分の将来を探すために
自分が興味のある分野を見つけるために
日本語教育能力検定試験の勉強をしているんだ。
そう考えると日本語教育能力検定試験の勉強が楽しくなりませんか?
日本語教育能力検定試験の過去問解説動画
日本語教育能力検定試験の過去問解説動画では
・日本語教育能力検定試験の勉強が楽しくなる
・日本語を教える時に勉強したことが役立つ
これらを意識して話しています。
日本語教師の経験がない人は日本語教育能力検定試験の勉強の何がどのように日本語の教える際に役立つかイメージするのが難しいと思います。
私も、はじめはそうでした。
そこで過去問解説動画では
東京の日本語学校3校で働いた経験から
初級から上級まで、会話からJLPTまで、教えた経験から
日本語教育能力検定試験の問題の何がどのように役立つか、お伝えします。
一緒に勉強しませんか?
YouTubeでもハマゼミコミュニティでも同じ解説動画を見ることができます。