打ち言葉とは、LINEやSNSのやり取りで使われる話し言葉的文体で入力される言葉。
平成30年度の文化庁文化審議会国語分科会『分かり合うための言語コミュニケーション(報告)』では「携帯メールやSNSなどを用いた私的場面における頻繁で短い言葉のやり取りでは,書き言葉であっても,くだけた話し言葉的文体が用いられます。このような情報機器などへの文字入力による言葉を,この報告では「打ち言葉」と呼んでいます」と「打ち言葉」を定義している。
◇「打ち言葉」でのやり取りが広がる
なお,電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス Social Networking Service:日々の記録やメッセージの交換などを通じて,友人・知人や,趣味や生活環境などに共 通点を持つ人たちと,インターネット上で社会的なつながりを持つことを目的としたサービス)などのテキストのやり取りは,文字に表すという点では書き言葉に入る。しかし,互いのやり取りが比較的短い時間で行われ,一回のやり取りで交わされる情報量も少ない媒体においては,話し言葉に近いものも多く用いられる。こうした,話し言葉の要素を多く含む新しい書き言葉を本報告では「打ち言葉」と呼ぶ。「打ち言葉」は,主にインターネットを介しキーを打つなどして伝え合う,かつてはなかった新しいコミュニケーションの形である。しかし,これらのやり取りも,互いに理解を深めていくための受け止め合いであることに変わりはない(p4)。
(中略)
「打ち言葉」には,書き言葉としての従来の日本語表記とは異なるものも多く認められます。顔を合わせての会話では表情や声の調子という言語外の情報も互いに読み解きながらやり取りをしますが,書き言葉にはそれらの情報が欠落しています。「打ち言葉」ではその欠落を補うために顔文字や絵文字といった代替手段が発達してきました。
(中略)
「打ち言葉」の特性に由来する独特の表記も登場しています。「おk(OK)」,「うp(up・アップ)」のようなローマ字入力の誤変換を起源とするネット俗語的な表記がそれに該当します。しかし,この使用率は全体の1割を切っているだけでなく,世代差も大きなものとなっています。10 代では5割が「使うことがある」と回答している一方で,50代以上では「見たことがない」が6割を超えています(世論調査㉗Q20(3))。(p26)
平成30年3月2日文化庁文化審議会国語分科会『分かり合うための言語コミュニケーション(報告)』より引用
打ち言葉でやりたい過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問2