パターン・プラクティスとは、文法を正確に使えるようにするために、同じパターンを繰り返し練習して覚える方法。文型練習とも。日本語学校の授業では基本練習としてよく行われています。
過去には、パターン・プラクティスを重視する教授法を選ぶ問題やパターン・プラクティスの練習方法の具体例を選ぶ問題が出題されていますので、ここでしっかり確認しましょう。
パターン・プラクティスを重視する教授法とは?
パターン・プラクティスは、文法を正確に使えるようにするために、何度も口頭で練習します。
母語話者並に、素早く文法を正確に、使えるようにするために
繰り返し口頭で練習します。
パターン・プラクティスを重視した教授法は何でしょう?
軍隊の厳しく正確な指導が一般向けに改良された指導法は何でしょう?
そう。
オーディオ・リンガル・メソッドです。
オーディオ・リンガル・メソッドとは、アーミー・メソッドの流れを受け継いだ教授法。
①口頭を重視し②正確に反復し③文法を体系的に学習します。
アーミー(軍隊)のイメージで覚えてください。
イエッサー!
パターン・プラクティスのメリットとデメリット
オーディオ・リンガル・メソッドが重視する「パターン・プラクティス」には、以下のようなメリット(利点)とデメリット(欠点)があります。
パターン・プラクティスのメリット
・文法を体系的に学習できる
・正確に覚えられる
パターン・プラクティスのデメリット
・練習が単調になりがちで飽きる
・場面がないので実際のコミュニケーションで使えるか疑わしい
パターン・プラクティスの種類を選ぶ問題
令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5を参考に
日本語教育能力検定試験の予想問題を作成しました。
チャレンジしてみてください。
日本語教育能力検定試験の予想問題
以下は日本語学校で行われている基本練習です。
「反復練習」「変形練習」「拡張練習」「代入練習」「完成練習」「応答練習」のどれでしょうか。1つずつ選んでください。
1.
教 師(以下、T):作ってくれました。
学習者(以下、L):作ってくれました。
T:チョコレートを。
L:チョコレートを作ってくれました。
T:母が。
L:母がチョコレートを作ってくれました。
2.
T:買います。
L:買ってもらいます。
T:作ります。
L:作ってもらいます。
T:食べます。
L:食べてもらいます。
3.
T:私は納豆を食べます
L:私は納豆を食べます。
T:私は納豆を食べられます。
L:私は納豆を食べられます。
4.
T:週末は何をしましたか。
L:ゲームをしました。
T:ゲームは何をしましたか。
L:ドラクエ5をしました。
5.
T:ビアンカさん、お城、連れていきます。
L:ビアンカさんがお城に連れて行ってくれました。
T:サンチョさん、料理、教えます。
L:サンチョさんが料理を教えてくれました。
6.
T:主人公は誰にお城に連れて行ってもらいましたか。ビアンカさん。
L:主人公はビアンカさんにお城に連れて行ってもらいました。
T:ビアンカさんは村で誰の面倒を見ていましたか。父。
L:ビアンカさんは村で父の面倒を見ていました。
日本語教育能力検定試験の予想問題答え
1.拡張練習
2.変形練習
3.反復練習
4.応答練習
5.完成練習
6.代入練習
パターン・プラクティスの例
反復練習
反復練習とは、いわゆるリピート。教師やCDによるモデルを繰り返します。模倣練習とも。
例)
T:買います。
L:買います。
変形練習(変換練習)
変形練習とは、モデルの形を変える練習です。変換練習とも。
例)
T:買います。
L:買いました。
代入練習
代入練習とは、モデルの語を入れ替える練習です。
目的語を代入する例)
T:ご飯を買います。パン
L:パンを買います。
述語を代入する例)
T:パンを買います。食べます。
T:パンを食べます。
拡張練習
拡張練習とは、モデルをだんだん長くする練習です。拡大練習ともいう。
例)
T:食べます。
L:食べます。
T:パンを。
L:パンを食べます。
結合練習
結合練習とは、複数の文を1つにする練習です。
例)
T:昨日、パンを買いました。食べました。
L:昨日、パンを買って、食べました。
完成練習
完成練習とは、未完成な文を完成させる練習です。
例)
T:山田さん、ピアノ、教えました。
L:山田さんがピアノを教えてくれました。
応答練習
応答練習とは、質問に答える練習です。
例)
T:週末は何をしましたか。
L:何もしませんでした。
パターン・プラクティスの出題例
以下のリンクをクリックすれば、YouTubeの解説動画か解説ブログを見ることができます。
・令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問2【「休みます」を「休ませます」と言わせるような練習は?】→変換練習
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問3では、【拡張練習の例】を選ぶ問題が出題されています。
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問1では、【パターン・プラクティスを重視する教授法・教育方法】を選ぶ問題が出題されています。