日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ聴解(音声)問題3を徹底分析しました。
皆さまからも、さらにここを掘り下げてほしい、まだここがわからないなどありましたら、ぜひ、コメントお願いします。
ですが、このブログのコメント欄はスパムが多かったので閉じました。最後にYouTube動画を追記しておきますので、ご質問、ご要望がある方はYouTubeのコメント欄からどうぞ。
断言します。
問題3はちゃんと準備をすれば満点がとれます。
(ただし、平成28年度2番と6番はできなくても大丈夫です)
問題1や2では聞き取り能力が必要でした。
ですが、問題3は完全に知識問題です。
しかも出るところが決まっています。
子音の調音法とか。
ですから問題3はよく出てくる問題を覚えるまで過去問を使って練習しましょう。
ただし、深入りしてはいけません!
私は深入りしてしまい、すごく時間がかかりました…。
深入りと言うのは、口腔断面図の意味する発音を全て調べることです。
私はやろうとしたのですが、途中でわからなくなって挫折しました。
選択肢の口腔断面図を全て理解する必要はありません。
聞いた音に一番近い口腔断面図を選べればよいのです。
選ぶには3つのコツを覚えるだけで大丈夫です。
問題3の仕組み
問題3全般
問題3は、教師が言い直したところが答えです。
教師が言い直したあとにもう一度学習者の発音が流れますから、教師の発音と聞き比べる時間があります。
1番から3番は口腔断面図
1番~3番では口腔断面図が出てきます。
気を付けてください。
正しい発音の口腔断面図を選ぶ問題ではありません。
学習者の誤った発音の口腔断面図を選ぶ問題です。
まずは口腔断面図に慣れよう
1番~3番では口腔断面図が出てくるので、口腔断面図が分からない人は下記の動画を見て勉強してみてください。
4番から8番は調音に関する用語
また、4番~8番では調音に関する用語が出てきます。
各用語の意味を理解しておかなければなりません。
下記の記事では長音に関する用語を学ぶことができます。
動画もあります。
解き方
口腔断面図の解き方
1番から3番の口腔断面図で考えるべきポイントは
①口の上奥(口蓋帆(こうがいはん))は開いているか(調音法:鼻音かどうか)
②舌(唇)が上にくっついているか(調音法:破裂音・破擦音か摩擦音か)
③舌先がどこに接近しているか(調音点)
この3つだけです。その他の微妙な形の違いは気にしなくていいです。
(ただし、ラ行弾き音だけは舌先が反り返っているので特別に覚えてください。令和元年2番bの図です)
①から③は見分けるのが簡単な順番です。
①は一瞬でわかると思いますので音声が流れる前にチェックしましょう。
①調音法の見分け方その1
時間があれば音声前に②や③もチェックしましょう。
②調音法の見分け方その2
③調音点の見分け方
調音点は選択肢の他の図と比べながら判断してください。
1つの図だけで覚えると混乱します。微妙に違ったりしますので。
一番わかりやすいのは歯茎ですから
基準は歯茎にしましょう。
歯の後ろあたりに舌があるのが歯茎
歯茎よりちょっと後ろ(上)にあるのが歯茎硬口蓋
さらにちょっと後ろ(上)にあるのが硬口蓋
歯茎・歯茎硬口蓋・硬口蓋
この3つは前の方に舌が伸びています。
一方、軟口蓋だけは後ろの方に舌が伸びています。
ですから、歯茎と軟口蓋はすぐわかります。
まずこの2つを覚えましょう。
歯茎:舌が歯の後ろ
軟口蓋:舌が後ろの方に伸びる
歯茎硬口蓋と硬口蓋はその間にあります。
この2つは図によって微妙に異なるのでわかりにくいです。
他の選択肢と比較して考えましょう。
4番~8番の解き方
1.まず選択肢をざっと確認して問題を予測
例えば、令和元年の4番であれば、選択肢をざっと見て…
a 声帯振動→「すき」が「すぎ」になるなど、濁音が関わってきたらこれだな
b 気息の有無→日本語にはないから、日本語では区別しないような音だったらこれかな
c 子音の挿入→「a」にnがついて「na」とか
d 子音の脱落→「na」からnが抜けて「a」とか
このように選択肢から、問題を予想しておけば、聴解も容易になります。
音声が始まる前の短い時間の中でここまで準備するのは難しいですが、聞く前に準備できればできるほど得点が確実になります。
選択肢に出てくる言葉は決まっていますから、全て意味を理解しておきましょう。
覚えるべき用語を確認
誤りの種類 | タイプ | 意味 |
---|---|---|
①声帯振動 | 子音 | 無声か有声か 例)「き」は無声、「ぎ」は有声 |
②調音点 | 子音 | どこで呼気を妨害して音を出すか 例)「ぱ」は両唇、「た」は歯茎 |
③調音法 | 子音 | どうやって呼気を妨害して音を出すか 例)「ぱ」は破裂音、「ふ」は摩擦音 |
④唇の丸め | 母音 | 唇を丸めるかどうか。日本語の母音で丸めるのは「お」だけ |
⑤舌の前後位置 | 母音 | 「い」「え」は前、「あ」は中間、「お」「う」は後ろ |
⑥舌の高さ | 母音 | 「い」「う」は高い、「え」「お」は中間、「あ」は低い |
⑦子音の挿入 | 母音→子音 | ローマ字で書くとすぐわかる。 例)「あ a」に[n]が挿入されて「な na」になる。 |
⑧子音の脱落 | 子音→母音 | ローマ字で書くとすぐわかる。 例)「な na」から[n]が脱落して「あ a」になる。 |
⑨母音の付加 | 母音なし→母音あり | 正答なし(選択肢のみ) |
⑩母音の脱落 | 母音あり→母音なし | 母音がなくなる 例)「みていた miteita」を[miteit]と発音(H27の8番) |
⑪気息の有無 | 呼気を強く出すか弱く出すか | 正答なし(選択肢のみ) |
この表の「タイプ」欄のとおり、選択肢を見れば何の誤りかわかります。
例えば、令和元年の7番の選択肢を見てみましょう。
- a 舌の前後位置と舌の高さ→母音の誤り
- b 唇のまるめと調音点→母音の誤りと子音の誤り
- c 舌の前後位置→母音の誤り
- d 舌の高さ→母音の誤り
このように選択肢を見たら何の誤りかわかるようになってください。
なお、問題の7割は子音の誤りです。
2.学習者の誤りを書く
問題には正しい発音が書いてありますから、その上に学習者の誤った発音を書きましょう。書いておけば後でもう一度考えることもできます。
例えば、令和元年の4番であれば、「れんあい」の「あ」の上に、学習者が発音した「な」をさっと書きます。ここはスキップしていきなり③のようにローマ字を書いてもいいです。
3.違いをローマ字で比較する
例えば令和元年の4番であれば「あ a」「な na」と書いてみると、両者の違いは[n]がないこと。つまり子音の挿入だとすぐにわかります。
4.違いを分析する
①子音の違いか②母音の違いか③子音→母音(母音→子音)か
この3つのパターンがあります。まれに①と②の両方の誤りもあります。
①子音の誤り
例えば、令和元年度6番は「てんすう」を「てんしゅう」と発音しています。
「す」→「しゅ」なので子音の誤りですね。
子音の違いは3つあります。
- 1.声帯振動
- 2.調音点
- 3.調音法
このどれに当たるか選択肢と照らしあわせて考えましょう。
「す」が無声歯茎摩擦音
「し」が無声歯茎硬口蓋摩擦音
と覚えていれば「調音点が違う!」とすぐわかりますね。
まだ覚えていない人は上の動画をみて覚えてください。
試験で思い出せない時は、実際に口を動かして選択肢とにらめっこです。
②母音の誤り
例えば、令和元年7番は「えき」を「いき」と発音しています。
「え」→「い」なので母音の誤りですね。
母音の違いは3つあります。
- 1.唇の丸め
- 2.舌の前後位置
- 3.舌の高さ
このどれにあたるか選択肢と照らしあわせて考えます。
「え」は、[e]非円唇前舌中母音(半狭母音)
「い」は、[i]非円唇前舌高母音(狭母音)
と覚えていれば「舌の高さが違う!」とすぐにわかりますね。
まだ、覚えていない人は
日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第4版p403の表を見て覚えましょう。
試験で思い出せない時は、口を動かしてチャレンジ!
ただし気を付けてください。
口を丸めるのは「お」だけです!
「う」も「あ」も丸めませんよ!
関西の人は「う」を丸める傾向があるので気を付けてください。
試験では「う」を丸めない!
③子音→母音(母音→子音)
このタイプの問題は、上に書いた通り、ローマ字で書いてみればすぐわかります。
覚え方
日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第4版ではp412やp407にある調音点・調音法の表を使って覚えましょう。
参考までにここにも書いておきます。
両唇 | 歯茎 | 歯茎硬口蓋 | 硬口蓋 | 軟口蓋 | 声門 | |
---|---|---|---|---|---|---|
摩擦音 | フ | サ | シ | ヒ | ハヘホ | |
破擦音 | ザ ツ | ジ チ | ||||
破裂音 | パ バ | タ ダ | ヂ | カ ガ | ||
鼻音 | マ | ナ | ニ | |||
弾き音/接近音(半母音) | ラ | ヤ | ワ |
調音点の覚え方
調音点は上の表の縦列ごとに覚えます。
以下は語呂合わせの例です。語呂合わせを使うと精緻化リハーサルの効果により長期記憶に残りやすくなります。皆さんも自分が覚えやすい語呂合わせを考えてみてください。
- フパバマくちびる【両唇】
- サザンが無料なら(タダナラ)死刑です【歯茎】
- シジチヂニの死刑後攻【歯茎硬口蓋】
- 高校の日や(ヒヤ)!【硬口蓋】
- カガワ軟膏【軟口蓋】
- ハヘホの正門【声門】
調音法の覚え方
調音法は上の表の横行ごとに覚えます。
- サッシーがバイキンマン(ハヒフヘホ)と摩擦している。【摩擦音】
- チツジズ破擦【破擦音】
- パタカが破裂!【破裂音】
- マナは鼻音【鼻音】
- 弾けるラ・ラ・ランド【弾き音】
- 半母音はヤワい。【半母音(接近音)】
近年の出題傾向
口腔断面図の出題傾向
令和元年から平成28年度までの1番~3番を全部整理しました。
声帯振動の有無(有声・無声)は口腔断面図からは判別できないので除外しています。
正 | 誤 | 共通点 | 相違点 | 誤りの種類 |
---|---|---|---|---|
に | ひ | 硬口蓋?(「に」は硬口蓋のこともある) | 鼻音→摩擦音 | 調音法 |
な | だ | 歯茎 | 鼻音→破裂音 | 調音法 |
む | ぷ | 両唇 | 鼻音→破裂音 | 調音法 |
び | ひ | なし | 両唇・破裂音→硬口蓋・摩擦音 | 調音点・調音法 |
ら | な | 歯茎 | 弾き音→鼻音 | 調音法 |
が | か゜ | 軟口蓋 | 破裂音→鼻音 | 調音法 |
に | でぃ | なし | 歯茎硬口蓋・鼻音→歯茎・破裂音 | 調音点・調音法 |
し | ち | 歯茎硬口蓋 | 摩擦音→破擦音 | 調音法 |
に | ぬ | 鼻音 | 歯茎硬口蓋→歯茎 | 調音点 |
ち | き | なし | 歯茎硬口蓋・破擦音→軟口蓋・破裂音 | 調音点・調音法 |
ず | じゅ/ちゅ | 破擦音 | 歯茎→歯茎硬口蓋 | 調音点 |
み | び | 両唇 | 鼻音→破裂音 | 調音法 |
正 | 誤 | 共通点 | 相違点 | 誤りの種類 |
誤りの種類 | 合計 |
---|---|
調音点 | 2 |
調音法 | 7 |
調音点・調音法 | 3 |
相違点 | 合計 |
---|---|
摩擦音 | 2 |
破擦音 | 1 |
破裂音 | 5 |
鼻音 | 2 |
歯茎 | 2 |
歯茎硬口蓋 | 1 |
硬口蓋 | 1 |
軟口蓋 | 1 |
わかりましたね。
調音法が大事であると。
調音法の誤りが多いです(特に破裂音)。
前述の通り、調音法は口腔断面図から違いがすぐにわかります。
ですから、問題を見たら、まずは調音法の違いを確認しましょう。
なお、破裂音と破擦音は口腔断面図では同じなので、破裂音と破擦音を見分ける問題は出ません。
調音用語の出題傾向
令和元年から平成28年度までの4番~8番の問題を全部まとめました。
正 | 誤 | 共通点 | 相違点 | 誤りの種類 |
---|---|---|---|---|
あ[a] | な[na] | a | n | 子音の挿入 |
と | つぉ | 無声・歯茎 | 破裂音→破擦音 | 調音法 |
す | しゅ | 無声・摩擦音 | 歯茎→歯茎硬口蓋 | 調音点 |
え | い | 非円唇・前舌 | 中母音→高母音 | 舌の高さ |
ど | ろ | 有声・歯茎 | 破裂音→弾き音 | 調音法 |
じゅ | ゆ | 有声 | 歯茎硬口蓋・摩擦音→硬口蓋・接近音 | 調音点・調音法 |
わ | ヴぁ | 有声 | 軟口蓋・接近音→唇歯・摩擦音 | 調音点・調音法 |
ちゃ | じゃ | 歯茎硬口蓋 | 無声・破擦音→有声・摩擦音 | 声帯振動・調音法 |
お | う | 後舌 | 円唇・中母音→非円唇・高母音 | 唇のまるめ・舌の高さ |
す | ず | 歯茎・摩擦音 | 無声→有声 | 声帯振動 |
に | ね | 有声・鼻音/非円唇・前舌 | 歯茎硬口蓋/高母音→歯茎/中母音 | 調音点・舌の高さ |
ひ[hi] | い[i] | i | h | 子音の脱落 |
ら | 「ら」 | 有声・歯茎 | 弾き音→震え音 | 調音法 |
ぎ | じ | 有声 | 軟口蓋・破裂音→歯茎硬口蓋・破擦音 | 調音点・調音法 |
ば | ま | 有声・両唇 | 破裂音→鼻音 | 調音法 |
ち | つ | 無声・破擦音/非円唇・高母音 | 歯茎硬口蓋/前舌→歯茎/後舌 | 調音点・舌の前後位置 |
し | ち | 無声・歯茎硬口蓋 | 摩擦音→破擦音 | 調音法 |
ら | 「ら」 | 有声 | 歯茎・弾き音→口蓋垂・摩擦音 | 調音点・調音法 |
じ | ち | 歯茎硬口蓋・破擦音 | 有声→無声 | 声帯振動 |
ち | てぃ | 無声 | 歯茎硬口蓋・破擦音→歯茎・破裂音 | 調音点・調音法 |
正 | 誤 | 共通点 | 相違点 | 誤りの種類 |
基本的には①子音が違う②母音が違うのいずれかなのですが、
平成29年度4番と平成28年度4番は子音(調音点)も母音も違うという難しい問題でした。
平成29年度4番:に[ ɲi]→ね[ne]
平成28年度4番:ち[tɕi]→つ[tsu]
また
平成29年度6番と平成28年度6番には日本語にはない「ら」の音が出ています。
しかし、直近3年ではこのような難しい問題は出ていないですね。
誤りの種類ごとにもまとめました。
誤りの種類 | 答えの数 |
---|---|
声帯振動 | 3 |
調音点 | 8 |
調音法 | 11 |
唇の丸め | 1 |
舌の前後位置 | 1 |
舌の高さ | 3 |
子音の挿入 | 1 |
子音の脱落 | 1 |
母音の付加 | 0 |
母音の脱落 | 0 |
気息の有無 | 0 |
合計 | 29 |
ここでも調音法が多いですね。
調音法の違いは確実に理解しておく必要があります。
母音の付加は平成28年度8番cに出てきました。
気息の有無は、令和元年度4番b、6番c、平成28年度5番cに出てきましたが正解はなし。日本語では区別しない音なのでこれが正解になる可能性は低そうです。
母音の脱落は平成27年度8番aに出てきてこれが答えになっていますが、上の表は平成28年度までをまとめたものなので除外しています。
試験当日の対策
子音の調音表を書く
試験Ⅱが始まったら(書き込みが許可されたら)、問題用紙の空白に子音の調音表を書きましょう。
知人の現役日本語教師兼日本語教育能力検定試験受験生がメモ帳に書いた調音表を参考までにお見せします。
これは覚えるために書かれたメモなので丁寧に書かれています。
試験では時間がないので、自分がわかる範囲で、もっとシンプルに書いてください。
短時間でこの表を書く練習をしておきましょう。
母音の舌の位置を書く
さらに時間があれば、母音の舌の位置も書いておきましょう。
日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第4版ではp403にあるものです。
逆三角形を書いて、左から順番にイエアオウと書きます。
これも参考までに実際の受験生のノートを貼っておきます。
こういったノートを作っておくと、試験直前にも確認できて便利ですね。
試験ではこれをシンプルにしたものを問題用紙の余白に書いておきましょう。
不安な時は実際に口を動かしてみて舌の動きを確認
迷ったときは実際に口を動かし、舌がどの位置に来るか、上あごにつくか、など確認してみましょう。
YouTube聴解対策徹底動画
合格には必要ないトリビア
平成27年度と平成28年度の試験Ⅱ問題3例aの口腔断面図が異なる理由
平成28年度からは口蓋化していることを図に反映させたのだと思います。どうでしょうか。
イ段の音は口蓋化により、舌が硬口蓋のほうへ盛り上がります。それが平成27年度までの図には反映されていなかったので平成28年度からこっそり変えたのだと推測しました。皆さんはどう考えますか?
令和元年の1番bと平成30年度の1番dが同じ理由
日本語教育能力検定試験を解説しているものをいくつか拝見したのですが、
令和元年の1番bを「し」無声歯茎硬口蓋摩擦音
平成30年度1番dを「ひ」無声硬口蓋摩擦音
と書いてありました。
しかし両者の口腔断面図は同じに見えます。
ですから令和元年の1番bは「し」ではなく「ひ」であると考えます。
なお、平成28年度の1番aにも同じ口腔断面図が出てきます。
また、平成28年度2番dでは舌が若干前方に伸びている図があります。
これが、真の「し」無声歯茎硬口蓋摩擦音の図だと思います。
平成27年度1番では「し」の発音を選ぶ問題がありますが、答えはdでした。
平成28年度2番dと平成27年度1番dはほぼ同じですね。
※平成27年度1番dは舌の前方が若干凹んでいますが、平成27年度と28年度では例aの図も変わっているのでこの差は気にしなくてよいという理解。
平成28年度試験Ⅱ問題3の2番を多くの人が間違えたワケ
平成28年度試験Ⅱ問題3の2番では
学習者は「じょうず」を「じょうじゅ」と発音しています。
そこで「じゅ」の口腔断面図を探そうとします。
語中の「じゅ(じ)」は有声歯茎硬口蓋摩擦音です。
摩擦音だから舌と上あごがくっついていないdを選んだ人が多かったようです。
しかしこれは間違いでした。
答えはcでした。
え、ちょっと待ってください?
語中の「じ」は摩擦音ですよね?
cは舌が上にくっついているから破擦音!
破擦音になるのは、語頭の「じ」じゃないですか?
この発音は間違いです!
そうです。
学習者は、語中の「じ」と語頭の「じ」も間違えて発音しているのです
(あるいは「じょうちゅ」と発音しているのかもしれません)。
赤本第4版p415の下の方にも語頭と語中のザ行に関する記載があるのでご確認ください。
問題3は正しい発音の口腔断面図を選ぶ問題ではありません。
学習者の誤った発音の口腔断面図を選ぶ問題なのです。
え?
摩擦音の「じ」と破擦音の「じ」が聞き分けられない?
安心してください。
私も聞き分けられません。
これは問題が悪いと思います。
日本語教育能力検定試験にはたまに
「これはちょっと…」
という問題があります。
そんなときは「これはちょっと…」と唱えながらスキップしましょう。