学習者が日本語を勉強する動機は様々です。
心理学者のデチさんは、教育心理学による分類で①外発的動機付けと②内発的動機付けに分けました。
ガードナーさんとランバートさんは①道具的動機付けと②統合的動機付けに分けました。
外発的動機づけとは?
外発的動機づけとは、外にきっかけがあるモチベーション。
目の前にぶら下がっているニンジン目指して走る馬
それが外発的動機づけです。
私は中学生のころ「今度の定期テストで90点以上取ったら、新しいサッカースパイクを買ってくれない?」とお母さんと約束しました。
これが外発的動機づけです。
外発的動機づけの例
・ホームラン王になりたいので毎日頑張る大谷翔平選手
・可愛いあの子に会うために勉強会に参加
内発的動機づけとは?
内発的動機づけとは、体の内からワクワクがあふれ出してやりたくなること。知的好奇心が刺激される。勉強自体が楽しい。勉強自体が目的。
「勉強楽しい! 日本語最高!」
これが内発的動機づけです。
イントリンシック・モチベーションとも。
内発的動機づけは、外に何もなくても自分からやりたくなるものなので、最も望ましい動機づけだという人もいます。
今だと野球の大谷翔平選手がいい例ですね。
大谷翔平選手は、お金持ちになりたい! 有名になりたい! から野球をやっているのではなく、野球が大好きで楽しいからをやっているのでしょう。
だから努力が苦じゃないんですね。
やはり内発的動機づけは最強なのかもしれません。
英語は、Intrinsic Motivation
内発的動機づけの例
・野球が大好きで毎日頑張る大谷翔平選手
・最初は可愛いあの子が来るから参加していた勉強会だけど最近は勉強自体が楽しくなってきたぞ。
・知識を増やし教養を高めたいので勉強する。
道具的動機づけとは?
道具的動機づけとは、社会的地位を向上させるための道具として勉強を頑張ること。
道具的動機づけの例
・受験勉強を頑張って良い大学に入り大企業に就職する。
・時給を上げるために日本語教育能力検定試験の勉強をする。
統合的動機づけとは?
統合的動機づけとは、勉強している言語の社会や文化の一員になりたいから勉強を頑張ること。
統合的動機づけの例
・ずっと日本に住んで日本人のように生活したいから日本語を勉強する。
・猫の気持ちになりたくて猫と同じように寝転がってみたり、猫を真似て鳴いてみたりする。
動機づけの見分け方
外にニンジンがぶら下がっている→外発的動機づけ
そのものが楽しい→内発的動機づけ
勉強はのし上がるための道具だ→道具的動機づけ
仲間になりたい→統合的動機づけ
ただし、①「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」という分類と、②「道具的動機づけ」と「統合的動機づけ」の分類は別々の学者による分類です。
動機はそれぞれこの4つの動機に分けられるというわけではありません。
①と②では分け方の視点が違うということです。
詳しくは【過去問解説】令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9【2021】
動機づけが出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問5【内発的動機づけの例】
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問1【内発的動機づけの例】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問5【内発的動機づけを促すものの例】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問2【外発的動機づけ・道具的動機づけ・統合的動機づけの例】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題11問4【外発的動機づけ・内発的動機づけ・道具的動機づけの例】