第二言語習得における「符号化(encoding)」とは、新しい言語情報が学習者の記憶に取り込まれ、理解や記憶として蓄積されるプロセスを指します。符号化は、単なる暗記や知識の習得だけでなく、意味や文脈と関連づけながら新しい情報を学習することで、長期的な記憶として定着しやすくする重要な段階です。
第二言語学習での符号化には、以下のようなプロセスが関わります。
1. 意味の関連付け:新しい単語や文法構造を母語や既存の知識と関連付けることで、記憶に残りやすくなります。例えば、学習者がすでに知っている言語や経験と照らし合わせることで、情報が頭に入りやすくなります。
2. 繰り返しと練習:何度も使ったり、異なる文脈で繰り返し使うことで、符号化が強化され、記憶の定着が促進されます。
3. イメージや感情の活用:言葉を視覚的にイメージしたり、感情と関連付けたりすると、記憶に残りやすくなります。例えば、単語を覚える際に絵や状況を思い浮かべることで、記憶に効果的に残すことができます。
4. 深い処理:表面的な暗記ではなく、文法や語彙の使い方を理解したり、実際に使いこなせるようにすることが重要です。例えば、新しい文法構造の背後にあるルールを理解しながら学習することで、より深く記憶に定着しやすくなります。
符号化は、記憶にとって最初のステップであり、符号化がうまくいくことで、その後の「保持(storage)」や「検索(retrieval)」といった記憶プロセスも円滑になります。
記憶能力がなければ、どんな簡単な知的活動もできない。第二言語習得は複雑な認知活動であるため、記憶の関わりは非常に強い。学習者は、A 音声による入力、あるいは文字による入力を理解し、記憶する。そして、必要なときに記憶の中にある情報を思い出して算出する。したがって、B 第二言語を流暢に使うためには、記憶の中の情報を努力なしに思い出せるようになることが必要である。
問1 下線部Aに関連する概念として適当なものは?
1 貯蔵 2 検索 3符号化 4 復号化
問2 下線部Bに関連する概念として適当なものは?
1 手続き化 2 活性化 3 精緻化 4自動化
平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1より引用
符号化が登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・令和6年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問1選択肢2