日本語には二種類の名詞がいる。有情名詞と無情名詞だ。
有情物と無情物
有情物と非情物
という言い方もあります。
無情名詞と有情名詞の違い
日本語には二種類の名詞がいる、という文に違和感を覚えるのは無情名詞である「名詞」に「いる」を使っているからです。
無情名詞と有情名詞は「いる」を使うか「ある」を使うかで簡単に見分けることができます。
「ある」を使う名詞→無情名詞 例)ペンがある
「いる」を使う名詞→有情名詞 例)猫がいる
無情名詞の意味
無情名詞とは、感情の無い名詞です。存在を表すのに「ある」を使います。無生名詞ともいいます。
無情名詞の例
「目の前に発売されたばかりのスマホがある」
「現金はないがクレジットカードがある」
「リボ払いという手段がある」
有情名詞の意味
有情名詞とは、感情の有る名詞です。存在を表すのに「いる」を使います。有生名詞ともいいます。
有情名詞の例
「窓辺に猫がいる」
「窓の外にストーカーがいる」
「ストーカーの後ろには幽霊がいる」
「幽霊の後ろにはロボットがいる」
「ロボットの足元には死体がいる?」
私たちは幽霊やロボットには感情が有ると考えているので「ある」より「いる」のほうがしっくりきます。一方、死体は感情が無いと考えているので「ある」が適しています。「死体がいる」と書かれるとゾンビのように動くんじゃないかと思ってしまいます。いわゆる有生性(アニマシー)の問題です。
アニマシーとは?【有生性】
アニマシーとは、そのものが生きていると感じられる度合いのことです。
有生性とも言います。
英語では、Animacy
日本語では、アニマシーが高いものの存在を「いる」、アニマシーが低いものの存在を「ある」で示します。
また、アニマシーが高いものほど数を区別する傾向にあります。
例えば、「自転車たち」と聞くと自転車が生きているような印象を受けます。
アニマシー(有生性)に関する問題は平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1で出題されました。問題文にアニマシーの詳しい説明がありますので、ご一読をお勧めします。
無情名詞と有情名詞が出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1問5選択肢1