「立ちっぱなし」と「立ったまま」の違いは何でしょう?
「〜っぱなし」の意味
「ーぱなし」は「放し」で、なすべき始末を怠って、そのままの状態にしてあること。初めの行為はいちおう最後まで完全になされたのであるが、その跡始末を全くしない”……したまま放置する“状態をいう。
森田良行著『基礎日本語辞典』298頁より
「〜たまま」の意味
事態・事柄に変化が加わらずにある状態。 (森田良行著『基礎日本語辞典』1079頁より)
前で述べてある動作の結果の状態が続いていて、それを止める動作が起こらない、又は、続いている間に、次に述べる事態を迎える、といったことを表す。(日本語教育学会編『日本語教育事典』1987年発行縮刷版404頁より)
「〜っぱなし」と「〜たまま」の使い分け
以上のとおり、「〜っぱなし」と「〜たまま」の意味は似ているので、それぞれ言い換えることができます。
例1)「窓を開けっぱなしで外出した」↔「窓を開けたままで外出した」
ですが、常に言い換えられるわけではありません
例2)「朝から晩まで歌いっぱなしだ」○↔「朝から晩まで歌ったままだ」☓
例1の「ぱなし」は、窓を開けた結果の存続を表していますが、例2の場合、歌うという動詞は何らかの結果を生じさせるものではありません。そのため例2の「ぱなし」は、歌うという行為の継続を表しています。行為の継続を表す場合、「まま」に言い換えることはできません。
「〜っぱなし」→結果の存続にも行為の継続にも使える。
「〜たまま」→結果の存続にしか使えない。
「〜っぱなし」と「〜たまま」の意味の違い
結果の存続には「〜っぱなし」も「〜たまま」も使えますが、意味が全く同じというわではありません。例えば、「布団を敷きっぱなし」と「布団を敷いたまま」を比べてみると、「ぱなし」には、やるべきことをやらずに放置するというマイナスのニュアンスがありますが、「まま」にはありません。ニュートラルです。
「〜っぱなし」→悪いかも
「〜たまま」→中立
立ちっぱなしならぬ勃ちっ放しといえば、奥田英朗の大人気小説『イン・ザ・プール』収録の短編ですよね。陰茎強直症の男が何とか勃ちっ放しをごまかして仕事するお話。
アニメ化されていたとは寡聞にして存じませんでした。