平成25年度(2013年)日本語教育能力検定試験Ⅱ(聴解)の問題6は学習者の発話の誤りです。
1番
名詞の「興味」を「興味しました」と動詞のようにつかっているので、動詞と名詞を混同しています。
よって、bが正解です。
2番
熟字訓とは、熟字単位で訓読みを当てたものです。
「さみだれ」と読むべき「五月雨」を「ごがつあめ」と読んでいるので、熟字訓の読み方の誤りです。
よって、dが正解です。
3番
「教えてくれない」と発話すべきを「教えてくれてない」と発話しています。テイルの誤りです。テイルといえばアスペクトです。
よって、bが正解です。
4番
並立助詞は、二つ以上の同じ趣のことばを並べて言うのに用いる(スーパー大辞林3.0)。
例)猫や犬 ※猫と犬は「動物」「ペット」などの点で同じ趣。
接続助詞は、用言・助動詞に付いて、それより前の語句を後の語句に接続詞、前後の意味上の関係を示すはたらきをするもの(スーパー大辞林3.0)。
例)遠くて狭い ※遠いと狭いは同じ種類ではない。
学習者は、接続助詞を使って「遠くて狭いから」と発話すべきを「遠いや狭いから」と発話しています。
よって、cが正解です。
5番
「私の足は踏まれて痛かったです」
「て」の使い方は正しいので、aとbは消去できます。
cとd、いずれなのかが問題です。
間接受身文なのか直接受身文なのか。
直接受身は、主語と目的語を入れ替える分かりやすい受身です。
例)飼い猫が僕を噛む(能動文)→僕は飼い猫に噛まれる(受身文)
間接受身は、対応する能動文を作りにくい分かりにくい受身です。持ち主の受身や迷惑の受身とも言われます。
例)僕は足を踏まれた(受身文)→だれかが僕の足を踏んだ(能動文)
よって、正解はcです。
「私は足を踏まれて痛かったです」
6番
後半では「レポートをお送りします」と敬語(謙譲語)を使っているにもかかわらず、前半では「遅くなったが」と、くだけた言葉を使っているので、スピーチスタイルの誤りです。
よって、bが正解です。
なお、ダイクシス(直示)とは、代名詞(あなた)や指示語(これ)などのように文脈によって意味が変わる言葉のことです。
7番
「まっすぐ行くと、図書館があります」と発話すべきを「まっすぐ行って、図書館があります」と発話しているので、条件節の誤りです。
よって、aが正解です。
8番
「盛んな」はナ形容詞なので、「です」を付ける場合、「な」を「です」に変えます。
例)盛んな→盛んです 健康な→健康です
ところがこの学習者は「この地域は農業が盛んでいます」と動詞のように活用しています。
例)止む→この地域は雨が止んでいます
よって、aが正解です。