フィラーは日本語教育能力検定試験の大好物ですから、具体例と共に理解しておきましょう。
フィラーとは?
fill:満たす、詰める
filler:詰め物、つなぎ番組
そう。フィラーは詰め物
フィラーとは、会話の隙間の沈黙を、詰めるためのものです
例)
A:テストっていつだっけ?
B:えーと、来週の火曜日!
「えーと」がフィラーですね。
会話のつなぎ文句です。
沈黙せずに、フィラーを使うことで、「今考え中だよ」「まだ私のターンだよ」と相手に伝えることができます。
会話で使われるフィラーの例
「どれがフィラーでしょう」問題
以下の会話の下線部からフィラーだと思うものを選んでください。
A:お花をどうぞ。
B:①わあ。ありがとう。②でも、どうして?
A:誕生日の、③あの、プレゼント。今日でしょう?
B:今日じゃないよ。来週の日曜日だよ。
A:④なるほど。僕は勘違いしていました。
B:⑤へえー。間違いを認めるのは偉いね。
A:来週の日曜日は何食べたい?
B:⑥いや、何でもいいよ。
A:じゃあ、⑦えっと、ウーバーイーツにしようか。
B:うーん。⑧まあ、いいんじゃない。
「どれがフィラーでしょう」答え
フィラーは
③あの
⑥いや
⑦えっと
⑧まあ
です。
①「わあ」は感動を表す感嘆詞
②「でも」は逆接を表す接続詞
④「なるほど」は納得を表す感嘆詞
⑤「へえ」は感心を表す感嘆詞
フィラーは、間を詰めるためのつなぎ文句なので、その言葉自体に特段の意味はありません。
その言葉自体に意味があれば、フィラーじゃないと理解してください。
問題作成にあたっては下記にある日本語教育能力検定試験でフィラーが出題された例を参考にしましたので、気になる方は過去問にあたってください。
日本語教育能力検定試験でフィラーが出題された例
【「フィラー」に関する記述を選ぶ問題】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問4
【会話で用いられる「フィラー」の例を選ぶ問題】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問5
【会話の中から「フィラー」を選ぶ問題】
フィラーを控えるべき時とは?
YouTubeを見ていて気が付きました。
一人で話すとき、フィラーの多用は耳障りだなと。
多少使うのはいいと思いますが、使いすぎには注意です。
それは、フェリーの船内を説明している動画でした。
その人は、フィラーが癖になってしまっていて、1文話すごとに「えーと」をつけてしまっていました。
コメント欄は「話すのが下手すぎる」と荒れていました。
フィラーは何のために使うのでしょうか?
①間を埋めて会話をつなげるため
②今、考え中であることを会話相手に示すため
そう。
フィラーとは、会話を円滑に進めるための技術なんです。
だから、授業とかYouTubeとかナレーションとか一人で話すときは使う必要がないのです。
このことに気が付いた私は
YouTubeの動画を撮る時は
フィラーを使わないように意識しています。
授業でもそうです。
文法の説明をするときにフィラーは不要です。
一人で話しているときにフィラーを多用すると、アホの人に見えます。
政治家の演説を聞いてください。
名演説と凡庸な演説の差を。
フィラーの差を。
A「私には夢がある。それは、いつの日か、暖かい島に移住して、保護猫を引き取って、ネットカフェとゲストハウスを開き、のんびりと暮らすという夢である」
B「私には夢がある。えーと。それは…、えーと…」
スティーブ・ジョブズのプレゼンを聞いてください。
何か気が付きませんか?
そうですね。
フィラーを使わないかわりに、沈黙を使用しています。
沈黙は緊張感を生んでくれます。
プライベートの会話で、沈黙の緊張感はつらいですが
授業では適度な緊張感が必要とされます。
教師が沈黙すると、学生の発話が目立つので学生は私語を控えます。
沈黙は注目を集められます。
饒舌に話していた人が、急に沈黙すると
「え、どうしたの」
と注目しちゃいますよね
自分の授業をビデオに撮ってみて、フィラーを多用していないかチェックしてみてください。
もちろん多少のフィラーは、発言をやわらげるなど良い効果もあると思います。
フィラーを効果的に使えているかどうか検証してみましょう。