令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13の正答率
問1の解き方【交話的機能】正答率76.6
指示的機能や交話的機能といえば、令和元年度にも平成29年度にも大活躍したヤコブソンさんの6つの機能です。
情動的機能 | 感情を表す機能 例)「あー!」「うわ!」などの感動詞(感嘆詞、間投詞とも) |
交話的機能 | 他者との関係性を構築したり維持したりする機能 例)挨拶、相づち、天気会話、「こんにちは」「そうですね」「今日は寒いですね」 |
指示的機能 | 状況を説明する機能。コミュニケーションの大部分。 例)「あそこに猫がいます」「財布にお金がありません」「彼は遅れてくるそうです」 |
働きかけ機能 | 他者に何らかの行動を働きかける機能 例)命令形、「行け!」「行くな!」「行ってくれない?」 |
詩的機能 | 言葉そのものに着目した機能 例)ラップ、俳句、詩、しりとり、ダジャレ、早口言葉 |
メタ言語的機能 | 言葉は別の言葉で言い換えられること 例)傾聴とは真剣に聴くこと、辞書 |
選択肢2から4は、相手に何らかの行動を働きかけているので働きかけ機能
選択肢1は、ただの挨拶なので交話的機能
よって、答えは1
交話的機能が登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問2【他者との関係性を構築したり維持したりする機能を何と言うか?】→交話的機能
問2の解き方【ラポート・トーク】正答率91.3
ラポート・トークとレポート・トークの違いについては下の記事をどうぞ
ラポート・トークとは、気持ちの通いあい、心理的つながりを重視する会話スタイル
よって、答えは2
なお、選択肢1のように情報の伝達を会話の主な目的としたスタイルをリポート・トークといいます。
ラポート・トークが登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2選択肢2【ラポート・トーク】
・平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問5選択肢1【ラポート・トーク】
問3の解き方【発語内行為】正答率64.7
発話行為理論と発語内行為については平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題4の問題文に詳しく書いてありますので持っている人は読んでみてください。
オースティンは発話行為には①発語行為②発語内行為③発語媒介行為の3つの機能があると言いました(発話行為理論)。
発語行為とは、文を発すること。
発語行為の例)「お腹がすいたなあ」と言う。
発語内行為とは、発話によってその意図を伝えること。
発語内行為の例)「お腹がすいたなあ」と言うことで同居人に何か食べ物を買ってきてほしいという意図を伝えようとする。
発語媒介行為とは、意図が伝わって聞き手が何らかの行動をすること。
発語媒介行為)「お腹がすいたなあ」という発言を聞いた同居人がセブンイレブンに行って弁当を買ってくること。
よって、答えは4
発話行為理論が登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問2選択肢2【発話行為理論】
・平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3選択肢2【発話行為】
オースティンの「言語と行為」はなんと文庫版があります!
一般的にこのような本はぶ厚くお高いのですが、オースティンの「言語と行為」は文庫版があります。kindleもあります。
書いてあることは難しいですが、文庫やkindleなら手軽に読めるのでよかったらどうぞ。
問4の解き方【スピーチレベルシフト】正答率93.1
スピーチレベルシフトについては下の記事をどうぞ。
スピーチレベルとは、会話の丁寧度
スピーチレベルシフトとは、会話の丁寧度を変えること
よって、答えは3
問5の解き方【疑問文を用いたストラテジー】正答率69.7
選択肢1
疑問文「普通そんな言い方するか?」は、非難の感情を表しています。
選択肢2
疑問文「彼は緊張していたんじゃないか」は、情報提供として機能します。
選択肢3
疑問文「そんなもの食えるか!」は、話し手の「そんなものは食べられない」という主張を強調して伝えます。
選択肢4
疑問文「いったい誰にこんなことができるの?」は誰にできるのか聞いている情報要求の文ではなく、「普通、こんなこと誰にもできない」という反語です。非難の感情を表します。
よって、答えは4