現在の答えは受験生回答調査の結果です。
後日のYouTube動画解説の際に正しいか精査しますので
チャンネル登録してお待ちください。
YouTube動画で試験解説(試験は実務に役立たない?)
この動画解説はただの試験解説ではありません。
日本語教育能力検定試験の勉強は
現場で教えるのに役立たないと批判されてきました。
私も新人の頃は日本語教育能力検定試験で学んだ知識を現場で使えていませんでした。
試験勉強と教え方の指導は完全に別れているので
その繋がりに気づけなかったのです。
この動画解説では、試験で学んだことを教え方に繋げます。
実際に日本語学校の授業で使用した教案も公開します。
問題1
(1)【有声性】
音声記号は毎年出るので別記事でまとめている。
1 [p] パ行の子音 無声両唇破裂音
2 [m] マ行の子音 有声両唇鼻音
3 [a] ア 有声(母音は有声)
4 [ŋ] 鼻濁音カ゜行の子音 有声軟口蓋鼻音
5 [ʑ] ジの子音 有声歯茎硬口蓋摩擦音
答えは1
母音は有声だが無声化するときもある。
声優やアナウンサーになりたい人には必須の知識である母音の無声化も試験によく出る。共に確認すべし。
(2)【音節数】
音節は令和3年度日本語教育能力検定試験1問題1(2)や平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(3)でも登場。
類似問題を複数解くことで理解が深まるので過去問を紹介しています。
ぜひ挑戦してみてください。
【音節数】が他と異なるのは?
1 挑戦
2 教育
3 散歩
4 結果
5 加担
音節は特殊拍をカウントしない
1 ケーキ
「ー」は引く音(特殊拍)
3拍2音節
2 コーン
「ー」は引く音(特殊拍)
「ン」は撥音(特殊拍)
3拍1音節
3 スープ
3拍2音節
4 チーズ
3拍2音節
5 ポーク
3拍2音節
答えは2
間違えた人には以下の動画がおすすめ。
(3)【漢語の語構成】
語構成は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(5)で出題されている。
1 飲食
食べる飲む 動詞+動詞
2 授賞
賞を授ける 動詞+目的語
3 送金
金を送る 動詞+目的語
4 着色
色を着ける 動詞+目的語
5 投書
書を投げる 動詞+目的語
答えは1
(4)【短縮方法】
1 エアーコンディショナー
エアコン(2+2)
2 スターティングメンバー
スタメン(2+2)
3 ファミリーレストラン
ファミレス(2+2)
4 フリーマーケット
フリマ(2+1)
5 リモートコントロール
リモコン(2+2)
答えは4
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問2が類似の問題なので見ておくべし。
「エンスト」と同じ造語法は?
1 リストラ
2 ロケバス
3 パトカー
4 デジカメ
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問2より引用
(5)【他の品詞への派生】
名詞から形容詞にしてみる
1 赤→赤い
2 青→青い
3 黒→黒い
4 白→白い
5 緑→緑い×
答えは5
赤→赤い 「い」という接辞(接尾辞)によって品詞が変化している。
品詞を変化させる接辞はときどき試験に登場しているので要チェック。
(6)【副詞の動詞化】
動詞にしてみる
1 くっきりする
2 ぐったりする
3 しんみりする
4 どっさりする×
どっさりとある○
答えは4
(7)【語構成】
1 来たい(動詞「来ます」+たい)
2 食べたい(動詞「食べます」+たい)
3 眠たい(形容詞「眠い」+たい) 眠りたい(動詞「眠る」+たい)
4 見たい(動詞「見ます」+たい)
5 走りたい(動詞「走ります」+たい)
答えは3
(8)【「め」の接続】
1 新しめの店舗
新しいの「い」を取る
2 明るめの部屋
明るいの「い」を取る
3 易しめの漢字
易しいの「い」を取る
4 少なめの料理
少ないの「い」を取る
5 濃いめの緑茶
濃いの「い」は残す
答えは5
(9)【可能を表す動詞】
1 拭ける
拭くの可能形
2 書ける
書くの可能形
3 洗える
洗うの可能形
4 歌える
歌うの可能形
5 見える
「見える」は自発を表す動詞
可能を表すのは「見られる」
答えは5
「見える」と「見られる」の違いについて詳しくはこちら
日本語の可能表現について学ぶには平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1がおすすめ。
(10)【「に」の用法】
1 バスに乗る
到達点を表す「に」(現代日本語文法②p57〜参照)
2 壁に貼る
到達点を表す「に」
3 庭にある
存在の場所を表す「に」(現代日本語文法②p51〜参照)
4 床に置く
到達点を表す「に」
5 頂上に着く
到達点を表す「に」
答えは3
(11)【「も」の用法】
1 夜も老けてきたので、このあたりで閉会にします。
ぼかしを表す「も」(現代日本語文法⑤p26参照)
・夜も更けましたので、失礼させていただきます。
ぼかしの意味は、「も」の累加の意味から生じるものである。上の例では、「夜」のほかに「更けた」ものが具体的にあるわけではないが、「も」によって「夜」が加えられることから、ほかのものが存在するかのような表し方になり、文の意味がやらわげられる。
2 土曜日も空いていますから、好きなときに来てください。
累加を表す「も」(現代日本語文法⑤p4〜参照)
3 卒業してからも、よく先生に連絡を取っています。
累加を表す「も」
4 この本は、子どもにもよく読まれているそうです。
累加を表す「も」
5 転職はしてみたいですが、不安でもあります。
累加を表す「も」
答えは1
(12)【「によって」の用法】
「Nによって」の受動文をNが主語の能動文にしてみる。
1 AIが文章を作った。
「によって」は受動文の動作主を表す(現代日本語文法②p223)とわかる。
2 猛特訓が成果を得た×
「猛特訓」は動作主ではない。
「によって」は手段を表す複合格助詞(現代日本語文法②p78)
3 自治体が夏祭りを開催した。
「によって」は動作主
4 人間が自然を破壊した。
「によって」は動作主
5 審査委員会が優秀賞を選出した。
「によって」は動作主
答えは2
(13)【「そうです」の用法】
1 何年も履いていて、靴下に穴が開きそうです。
今にも「開きそう」といえる。
徴候を表す「そうです」(現代日本語文法④p171〜)
2 山積みされていて、机の本が崩れ落ちそうです。
徴候を表す「そうです」
3 このホールは大きくて、観客がたくさん入りそうです。
今にも「たくさん入りそう」といえない。
話し手の予想を表す「そうです」(現代日本語文法④p172)
4 ろうそくが短くなって、火がもう消えそうです。
徴候を表す「そうです」
5 雲が増えてきて、雨が降り出しそうです。
徴候を表す「そうです」
答えは3
(14)【連体修飾節の限定機能】
名詞修飾節(連体修飾節)は、機能の面で、限定的名詞修飾節と非限定的名詞修飾節に分けられる。
・限定的名詞修飾節の例
納豆が好きな犬…たくさんいる犬の中から「納豆が好きな」犬に限定している。
・非限定的名詞修飾説の例
日本一高い山である富士山…富士山を限定しているわけではない。富士山についての補助的な情報を加えている。
現代日本語文法⑥p84〜参照
1 母親のお腹の袋から顔を出しているコアラは、かわいく見えます。
たくさんいるコアラの中から「母親のお腹の袋から顔を出している」コアラに限定
2 フルーツが好きな犬は、りんごやバナナをやると喜びます。
たくさんいる犬の中から「フルーツが好きな」犬に限定
3 遊びに夢中になっている猫は、二本足で立つことがあります。
たくさんいる猫の中から「遊びに夢中になっている」猫に限定
4 大人になったパンダは、1日に10キロ以上の竹を食べます。
たくさんいるパンダの中から「大人になった」パンダに限定
5 海の中で生活している鯨は、実は人間と同じように肺で呼吸します。
水族館の中で生活している鯨も肺で呼吸する。上の文は「海の中で生活している」鯨に限定しているわけではない。「海の中で生活している」というのは鯨についての補助的な情報。非限定
答えは5
・日本語学校で働いていたときお世話になった『初級日本語文法と教え方のポイント』を使った「連体修飾節(名詞修飾節)」の教え方動画
(15)【主題化された名詞の格】
主題は理解が難しく正解率が低い。
そんな主題について学ぶには令和4年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2がおすすめ。
格とは、名詞と述語の関係を表す文法的手段(現代日本語文法②p3)
主題化変身前の姿に戻す。
1 彼の声が大きい
所属先を表す連体助詞の「の」(現代日本語文法②p107)
2 私の時計の針が折れている。
所属先を表す「の」
3 この服にリボンが付いている。
到達点を表す格助詞の「に」(現代日本語文法②p57〜参照)
4 ダックスフントの耳が垂れている。
所属先を表す「の」
5 あの絵の色がきれいだ。
所属先を表す「の」
答えは3
主題は現代日本語文法⑤p175〜が詳しい。
問題2
(1)「飼う」のテ形が「勝て」と聞こえる【促音便とイ音便】
「飼う」のマス形は「飼います」テ系は「飼いて」
促音便化して「飼って」
1
「言う」のマス形は「言います」テ形は「言いて」
促音便化して「言って」
2
「立つ」のマス形は「立ちます」テ形は「立ちて」
促音便化して「立って」
3
「知る」のマス形は「知ります」テ形は「知りて」
促音便化して「知って」
4
「聞く」のマス形は「聞きます」テ形は「聞きて」
イ音便化して「聞いて」
答えは4
音便について詳しくはこちら
(2)学生とき(名詞に続く「の」と「な」)
学生のとき
「の」足す
1 雨のせいで
「の」足す
2 授業のあとで
「の」足す
3 試験のために
「の」足す
4 休みなので
「な」足す
答えは4
「Vとき」についてはメンバー限定ですが以前教案を紹介しました。
(3)若い人にとってアニメが大好きだ【「にとって」と「として」の違い】
若い人はアニメが大好きだ
「にとって」→「は」
1 代表として山田さんがスピーチをした。
「として」
2 私はあなたに会えてうれしい。
「は」
3 彼は来年留学しようと思っている。
「は」
4 普通の子どもは苦い薬が嫌いだ。
答えは1
「にとって」と「として」の違いがわかるようになる問題はこちら
(4)おいしいである【「である」「です」「ます」の使い分け】
「おいしいである」→「おいしいです」
1 読みたいです
2 らしいです
3 教えてくれました
4 簡単ではなかったです
答えは3
(5)ときどき→ところどころ
ときどきは肯定文で頻度が低いさまを表す。
ところどころ残っています
雪が残っている場所なので「時々(ときどき)」ではなく「所々(ところどころ)」を使う。
1 ところどころ桜が写っています。
2 あまり予習できません
否定文は「あまり〜ない」を使う。
3 ところどころ火山があります。
4 ところどころ星が隠れています。
答えは2
問題3A【アクセント】
アクセントと言えばこちらの記事
(1)東京方言のアクセントルール
東京方言のアクセントルール
①1拍目と2拍目は必ず違う高さ
②一度下がると上がれない
1「低低高」ルール①違反
3「高高低」ルール①違反
4「高低高」ルール②違反
答えは2
(2)アクセントの区別
アクセントの型は、高から低への下り目の有無とその位置によって区別する。
答えは3
(3)「山」のように尾高型と平板型の区別ができない場合
尾高型は助詞「が」をつけると下がるが
平板型は助詞「が」をつけても下がらないので区別できる。
尾高型 花が/山が(低高低)
平板型 鼻が(低高高)
※東京外国語言語学モジュールで音声を聞くことができます。
「の」をつけると尾高型でも下がらず区別できなくなる。
尾高型 花の/山の(低高高)
平板型 鼻の(低高高)
答えは1
(4)アクセントによって意味が区別できるハナ
「花」は尾高型 花が(低高低)
「鼻」は平板型 鼻が(低高高)
答えは3
(5)モーシマシタ
申しました(低高高高低低)
もう、しました(高低、低高低低)
答えは1
問題3B【補助動詞】
補助動詞は、令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(9)【「きる」の意味】や令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8) 【補助動詞】で登場しているので要チェック。
複合動詞のページにまとめている。
(6)補助動詞
補助動詞とは、実質的な意味が薄まり、文法的な意味を添える働きをする動詞
答えは1
(7)「食べてみる」
1 食べてみられる×
2 食べてみよう○
3 食べてみた○
4 食べてみたら、おいしかった○
答えは2
(8)話し言葉で用いられる短縮形
1「ていく」の短縮形は「てった」
逃げてった 即音便化
2「ている」の短縮形は「てる」
逃げてる 母音「い」の脱落
3「てしまう」の短縮形は「ちゃう」過去形は「ちゃった」
逃げちゃう(逃げちゃった)
4「ておく」の短縮形は「とく」過去形は「といた」
逃げとく(逃げといた)
答えは3
(9)「動きの持続や結果の維持・残存」の用法
1 歌を歌っている
動きの持続を表す
2 昨日から壊れている
結果の残存を表す
3 前から鍵が掛かっている
結果の残存を表す
4 計算能力が優れている
主体の性質を表す(現代日本語文法③p17,21)
動きを表さない動詞には、スル形状態動詞のほか、たとえば、「優れる」「ばかげる」などのように、シテイル形をとって状態動詞として働くものがある。
・鈴木の運動能力は優れている。
・あの人の提案はばかげている。
これらが表す状態は主体の性質であり、動きを表す動詞(動き動詞)のシテイル形のように進行中や結果を表すことはない。
現代日本語文法③p21より引用
答えは4
(10)「開いている」と「開けてある」の違い【自他のペア】
・ドアが開けてある
・ドアが開いている
この場合の「してある」には、何者かによって行為がなされたということが含意される。そのため、自然現象などの場合には、自動詞の「している」文が用いられ、他動詞の「してある」の文は用いられない。
・風でドアが開いている
・風でドアが開けてある×
現代日本語文法③p48,49より引用
答えは4
・新人日本語教師に大人気『初級日本語文法と教え方のポイント』を使った「ている」の教え方動画
・新人日本語教師におすすめの『初級日本語文法と教え方のポイント』を使った「てある」の教え方動画
問題3C【形式名詞】
12年ぶり! 平成24年度日本語能力検定試験Ⅰ問題3C以来の大問で形式名詞参上!
形式名詞は、「よくこの公園で遊んだものだ」や「感謝の気持ちをもつことが大事だ」といった文で使用される「もの」や「こと」などを指す。これは、アスペクトやモダリティを表す表現の一部として使用されるほか、補足節の中心的な要素となる。また、「とりあえず入学はしたものの、何を勉強すればよいか分からない」のように(ア)の中で接続助詞的に使用されたりもする。このような形式名詞の例は、名詞の実質的な意味が失われ、機能的な表現へと変化する文法化の例と言える。
(ア)に入れるのに適当なものは?
1 連体修飾節
2 主節
3 従属節
4 名詞節
(11)文法的な意味を表す形式名詞の例
1 実質的な名詞「絵」に言い換えらるので実質名詞
2 「字」に言い換えらるので実質名詞
3 「本」に言い換えられるので実質名詞
4 「人」に言い換えると文の意味が変わってしまう。助動詞の「ものだ」(現代日本語文法④p192)。回想を表すモダリティ(現代日本語文法④p219)
答えは4
(12)「ものだ」と「ことだ」
「ものだ」と「ことだ」は現代日本語文法④p218〜が詳しい。
例文を作ってみる。
1 田中さんは寂しいものだ× 人間は寂しいものだ○
「XはYものだ」の形で、Xの本質や傾向を述べる用法である。Xは総称的な名詞に限られる。特定の個体だと不自然になる。
・{人間は/*私は}寂しいものだ
「ものだ」の文では、単に本質や傾向などが述べられるだけではなく、XがYという本質や傾向をもっていると、話し手がとらえているということが示される。
現代日本語文法④p221より引用
2 人間は寂しいものだ○
3 君は、試験に受かりたいのなら、もっと勉強することだ○
4 あのチームは、負けを重ねたくなければ、もっと練習することだね(現代日本語文法④p113)
答えは1
・「ことだ」は、相手の状態を心配して、相手にとって必要だと思われる行為を助言するものである(現代日本語文法④p79)
・「ことだ」の主な用法は「助言・忠告」と「感心・あきれ」である(現代日本語文法④p225)。
・行為の主体は二人称であることが多い(現代日本語文法④p226)。
(13)「ところだ」の用法
「ところだ」は現代日本語文法③p53〜が詳しい。
文を作ってみる。
1 私は今、納豆を食べるところだ…動きの直前の場面
2 もう少しで騙されて納豆を食べるところだった…反事実的な事態(現代日本語文法③p54参照)
3 私は今、納豆を食べているところだ…進行中の事態
4 彼から電話がかかってきたとき、私はちょうど納豆を食べているところだった…過去のある時点で動きが進行中
答えは2
・授業直前の困った時に役に立つ『初級日本語文法と教え方のポイント』を使った「ところ」と「ばかり」の教え方動画
(14)「したばかりだ」にだけ見られる特徴
「したばかりだ」と「したところだ」の違いは現代日本語文法③p58が詳しい。
文を作ってみる。
1 買ったばかりだった帽子をなくしました○
2 高い帽子を買ったばかりだからお金がありません○
3 買ったばかりの帽子をなくしました○
4 彼の言葉を信じたばかりに、大変な目にあった。
「ばかりに」という形式は原因・理由を表す(現代日本語文法⑤p71)
答えは3
(15)目的を表す「ために/ように」節の違い
目的を表す「ために」と「ように」の違いは現代日本語文法⑥p233〜が詳しい。
文を作ってみる。
1
・猫が寂しがらないために、私はすぐ家に帰ります×
・猫が寂しがらないように、私はすぐ家に帰ります○
・(私が)日本語教師になるために、(私が)試験を受けます○
「ため(に)」は主節と目的節の主体は同じである(現代日本語文法⑥p234)。
2 日本語教師になるために、試験を受けます○
「ために」は従属節が肯定形である場合、用いられる
3 (私が)日本語が教えられるように、(私が)試験を受けます○
「ように」は従属節と主節の主語が異なっている必要はない。
4 台風で窓が割れないように、補強しておきましょう○
「ように」は従属節が非意思的な事態である場合、用いられる。
答えは1
目的を表す「ために」と「ように」の使い分けは以前実際に使った教案を使って解説しています。
問題3D【現代語に残る歴史的用法】
(16)「入る(いる)」の活用
動詞の活用を知りたいときは「ナイ形」にする。
・虎穴(こけつ)に入(い)らずんば虎子(こじ)を得(え)ず
「入ら ira」がナイ形
[a]でナイ形と接続するのは五段活用(Ⅰグループ)
答えは1
動詞の活用の見分け方はこちら
(17)連体形を名詞のように使う用法
「弱きを助け強きを挫く」
連体形とは、名詞(体言)に連なる形
弱い→弱き者 強い→強き者
「弱き」「強き」は連体形
「人を助ける」のように「を」の前は本来名詞だが「弱き」を名詞のように使っている。
1 遥かなる旅路(たびじ)
「遥かなる」が旅路を修飾している連体修飾節(名詞修飾節)
名詞と同じ働きではなく名詞を修飾する働き。
2 学ぶべきは言語である。
「べき」は連体形 やるべき人
「日本語は言語である」のように「は」の前は本来名刺だが「学ぶべき」を名詞のように使っている。
3 驚きを禁じ得ない。
「驚き」は連用形(マス形)
連体形は「驚く」 驚く猫
4 見送りに行く。
「見送り」は連用形(マス形)
連体形は「見送る」 見送る猫
答えは2
(18)「所」の漢文由来の用法
「己の欲せざる所は(を)人に施すなかれ」…自分がして欲しくないことは人にするな。
「己の欲せざる」を「〜を施す」の対象にするために「所」を使っている。
漢文で「所」は直後の動詞を名詞化して目的語(動詞の対象)にする働きがある。
答えは2
(19)情けは人の為ならずの「ならず」の文法的説明
「ため」は名詞なので動詞「なる」を接続するなら格助詞「に」をつける。
例)ためになるお話
新解釈:情けは人のためにならず…情けは人のためにならない
「情けは人のためならず」の「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形(連用形は「なり」)
従来の解釈:情けは人のためならず…情けは人のためではない(巡り巡って自分にもよい報いが来る)
答えは3
(20)現代の語感を基にすると誤った解釈になる場合の例
1 「無きにしも非ず」を「無いわけではない」と解釈するのは誤りではない。
2 「眠れる森の美女」を「眠っている森の美女」と解釈するのは誤りではない。
3「住めば都」を「住み慣れると居心地が良くなる」と解釈するのは誤りではない。
4「筆者が言わんとする意味」を「筆者が言わない意味」と解釈するのは誤り。
「言わん」は「言わむとする」の撥音便化
「む」は意志を表す助詞なので「筆者が言おうとする意味」が正しい。
答えは4
問題4 学習環境
問1 JSLとJFLの違いとは?
JSLとは、Japanese as a second language 第二言語としての日本語
例)日本で生活する外国人が日本語を学ぶ
JFLとは、Japanese as a foreign language 外国語としての日本語
例)外国に住む外国人が日本語を学ぶ
答えは3
4
ビジネスなど特定の目的のために学ぶ日本語はJSP(Japanese for a Specific Purpose)
一般的な日常生活のために学ぶ日本語はJGP(Japanese for General Purposes)
JSPは令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題7の大問で登場しているので見ておきたい。
JGPは平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問2で登場している。
JGPの例は?
1 技術研修生に、簡単な日本語の会話と文字の読み書きを中心に教える。
2 求職中の外国人に、接客業で一般的に用いられる日本語を教える。
3 地域の日本語教室で学ぶ外国人に、運転免許取得のための日本語を教える。
4 大学で教養科目を履修する留学生に、日本語の論文の書き方について教える。
問2 媒介語の使用
1 媒介語を使えば学習者との意思疎通が容易なので誤用に対して効率的に指導を行いやすい○
2 目標言語の代わりに媒介語を使用すれば目標言語に触れる機会は減る
3 媒介語の方が学習者は理解できるので不安感を与えにくい
4 学習者が初級段階だと目標言語で疑問に思ったことを質問しにくいので媒介語を使用すると良い
答えは1
問3 座席位置が学習者に与える影響
4 教師対学習者という関係が強調できるのは、教師と学習者が向き合っている3番
答えは4
問4 同期型オンライン授業
同期型と非同期型の対比は令和5年度試験Ⅰ問題7問2や令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7【2019】e-learning問1で出題されているので要チェック
具体例 | メリット | デメリット | |
同期型 | Zoom、Skype、Google Meet | 双方向(すぐ質問できる)、LIVEの臨場感 | 時間が決まっている、ネット環境の問題 |
非同期型 | Moodle、YouTube、vimeo、TikTok | 好きな時に、好きなペースで | 自律的に学ぶ力が必要なため、学習者によっては学習の継続が難しい |
1 同期型は非同期型に比べ、インターネット環境が不安定であることが問題になりやすい。
2 非同期型の方が時間的制約が緩い。
3 非同期型の方が双方向的なやりとりをしにくい。
4 非同期型の方が即時的なフィードバックを与えにくい。
答えは1
問5 合理的配慮
合理的配慮とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう(障害者の権利に関する条約第2条より)。
文部科学省の合理的配慮のページも参考になる。
4「個別の場合における社会的障害を除去するための対応」=「特定の場合において必要とされるもの」「提供者の負担が重すぎない」=「過度の負担を課さない」
答えは4
問題5 外国語教育・日本語教育の教授法や学習方法
問1 文法訳読法
文法訳読法とは①文法規則を習う②語彙を母語に訳して覚える③読解を行うという方法
2は順番が違う。
答えは3
問2 コミュニティ・ランゲージ・ラーニング
コミュニティ・ランゲージ・ラーニング(CLL)は、令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問3で出題された際に詳しく解説している。
過去に出題されたコミュニティ・ランゲージ・ラーニングの特徴は以下の通り。
・教師は目標言語の発話が困難な学習者の隣で、学習者が母語で言った内容を通訳してささやく(令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問3)
・学習者の母語や媒介語を積極的に活用(平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2)
・カウンセリングの理論と手法を外国語教育に応用(平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5)
4 「使用言語を目標言語に指定する」が誤り。学習者の母語や媒介語を積極的に活用する。
答えは4
問3 サイレント・ウェイ
サイレント・ウェイの背景にある考え方は平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問4でも問われている。
サイレント・ウェイの背景にある学習観として最も適当なものは?
1 学習は、自らの気づきを通して発見したり創造したりすることによって効果的に行われる。
2 学習は、一連の連続的動作のような見て分かる事柄から学ぶことで効果的に行われる。
3 学習は、情報獲得の手段として言語を使用することによって効果的に行われる。
4 学習は、認知的かつ情緒的な側面があり、教師と学習者が全人的に関わることで効果的に行われる。
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3より引用
1 幼児が動作で指示に反応し言葉と意味のつながりを見出す経験が、言語習得の基礎になっていると考えるのは全身反応教授法(TPR)
2 学習の本質は知性であり、学習者の気づきや積極的な活動なしに真の習得は起こらないと考えるのはサイレント・ウェイ
3 言語を「規範としての言語」と「運用としての言語」とに分け、後者を言語学習の対象と考えるのはコミュニカティブ・アプローチ
4 言語は社会的な習慣であり、外界からの刺激と反応の繰り返しと強化によって形成されると考えるのはオーディオ・リンガル・メソッド
答えは2
問4 サジェストぺディア
サジェストぺディアの特徴は平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3でも問われている。
サジェストぺディアの特徴は?
1 緊張や不安を取り除き、学習者の潜在能力を引き出すことで、記憶を長期に保持できるようになる。
2 文型を単純なイラストによって場面と同時に提示することで、文脈的な意味を理解できるようになる。
3 小グループでドリル・マスターによる模倣練習や文型練習を行うことで、短期間で会話能力が高められる。
4 教師が発話を控え学習者同士が助け合うことで、学習者のグループ・ダイナミックスが活性化される。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3より引用
サジェストぺディアは、室内に植物を置いたりクラシック音楽をかけたりしてリラックスできる環境を作り、不安やストレスを取り除いた状態で学習者の潜在能力を引き出す教授法
答えは1
問5 ケース学習の特徴
ケース学習は令和3年度試験Ⅲ問題16問4でも出題されている。合わせて確認することで理解が深められる。
ケース学習に関する記述として適当なものは?
1 カードに書かれた職場場面でどのようなやり取りを行えばよいかを自分で考え、与えられた役割を演じることで、場面に相応しい会話能力を身につける学習
2 職場の通訳に携わる人材を育成するために、職場場面における日本語母語話者同士の会話を模倣し、何度も反復することで、定着を目指す学習
3 職場で生じそうな問題を論題とし、肯定側と否定側に分かれ討議し、その優劣を第三者が判定する活動を通じて、意思決定や問題解決の方法を学ぶ学習
4 実際に職場で生じたコンフリクトを題材に、他者との討議を通して問題の解決方法を見出し、その過程を内省する一連の学習
ケース学習とは、実際に起きたケースを題材に、他者との討論を通して問題の解決法を見出し、その過程を内省する一連の学習。
4 視点が違う他者との討論を通じて解決策を見出すので、「視点を固定する」がおかしい。
答えは4
問題6 日本語の文字の指導
問1 五十音図と比較した「文字カード」の利点
★五十音図
1 全体を共有できるのは五十音図
2 文字カードはそれを学習者に提示するだけで字形を見て音が分かるか教師が確認できる○
3 五十音図は同じ子音と同じ母音で並んでいるので動詞の活用形の規則を理解するに役立つ。例えば、五段活用(1グループ)の「ナイ形」はア段になることが視覚的に示せる。
例)書かない、刺さない、立たない
4 五十音図の方が一覧できるので自分の母語にない音を認識しやすい。
答えは2
五十音図を用いて平仮名や片仮名を学ぶ利点が平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3で出題されている。合わせて見ておきたい。
五十音図を用いて平仮名や片仮名を学ぶ利点として不適当なものは?
1 日本語の音韻が網羅されており、外来語の表記も容易に習得できる。
2 日本語の母音と子音の組み合わせを体系的に認識することができる。
3 動詞の活用系を学習するとき、変換の規則が理解しやすくなる。
4 音の配列の順番をヒントに字形と音を一致できるようになる。
平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3より引用
問2 連想法を用いたカードの例
平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問4より引用
連想法とは、ある言葉から別のものを心に浮かべること。
仮名の連想法では、仮名文字と似た発音の語頭を持つ学習者の母語の言葉の絵を提示してその絵から連想して仮名を記憶する。
例えば、仮名文字「い」と似た発音の語頭を持っている英語のears(耳)の絵を提示して耳の絵から「い」の形を連想して暗記する。
答えは4
連想法を用いたカードの例を選ぶ問題は平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問4でも出題されている。
仮名の連想法は国際交流基金 日本語教育通信 日本語の教え方 イロハ【第13回】文字・語彙を教えるが詳しい。
問3 片仮名を指導する際の説明の例
1 令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問5で問われたように、英語のstrikeの発音は/straɪk/だが、日本語ではストライク/sutoraiku/になる。子音は母音とセットで使うという日本語の規則に合わせるため母音が挿入されているため、原音に忠実ではない。
2 漢字全体を崩して作られたのは平仮名。片仮名は漢字の一部を切り取った作られた。
3 『日本語教師をめざす人のためのスモールステップで学ぶ音声』を使った講義の際にも同じ問題を出題した。「ファミコン」の「ファ」など平仮名にはない音を表す表記が片仮名にはある○
4 長音文字(ー)は、縦書きとときは縦向きに書く。
答えは3
関連する問題として、令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12の大問(問題文を読むと勉強になる)で語の借用が、令和元年度(2019年)日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問4で外来語の表記が、平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題5問4で語の意味の指導が問われている。一緒に解くと理解が深まる。
1991年に内閣告示された『外来語の表記』に示されている表記の原則として適当なものは?
1「ケース・バイ・ケース」のような複合語のつなぎの符合は、慣用に従って「・」とする。
2「ヴァイオリン」の「ヴァ」のように日本語にない音の場合は、原音に近い表記を用いる。
3「ハンカチ」と「ハンケチ」のようにゆれのあるものは、使用頻度の高い表記に統一する。
4「ギリシャ」と「ギリシア」のようにゆれがある外国の地名は、両方の表記を認める。
令和元年度(2019年)日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問4【1991年に内閣告示された外来語の表記】より
問4 ディクテーション
1○聞き取った音は意味を理解しなくても書けるので理解は測定できないが、表記できるかは測定できる。
2×文字を表記できるか測定できる。
3×聞き取れないと書けないので聞き取れているかは測定できる。
4×意味を理解していないても書けるので意味を理解しているかは測定できない。
答えは1
ディクテーションとシャドーイングとリピートの違いが平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題10問5で問われているので要チェック
問5 部首で漢字を整理する練習の例
部首とは、漢字の各部の共通部分。「花」のくさかんむり(上の部分)など。
1 漢字をバラバラにしただけで部首ではない。
2 部首を使っている。
3 誤った漢字を直しているだけ。
4 部首は読み方ではなく漢字の各部の共通部分
答えは2
問題7 プロジェクトワーク
問1 プロジェクトワーク
プロジェクトワークとは、学習者が主体となってグループごとに何らかのプロジェクトを設定し、プロジェクトを遂行していく過程で日本語を学習していく活動。
1 実際に起こり得る社会課題について、教室で模擬的に当事者として話し合う活動を行うのはシミュレーション
2 一つの論題に対して、対立する立場を採る話し手が、聞き手を論理的に説得することを目的として議論を展開するのはディベート
3 学数社が一度読んだり聞いたりした話を、その内容を知らない他者に、原稿を見ない状態で語るのは再話
4 学習者が設定する何らかの目標を基に、教室内外での調査や話し合いを通して計画を遂行するのはプロジェクトワーク
答えは4
各用語について詳しくはこちら
り引用
類似問題としてディスカッションとディベートの比較が平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4で問われている。
問2 行動心理学に基づく学習観に対する問題意識
行動心理学とは、人や動物の行動を観察し、そのパターンを理解しようとする心理学。
行動心理学に基づく学習観といえば、オーディオ・リンガル・メソッド(パターン・プラクティス)
オーディオ・リンガル・メソッドでは反復練習を繰り返すことで習慣形成を促す。単なる反復練習では相手と状況に合ったやり取りをする能力が育たないという批判がある。
答えは2
問3 エンゲージメント
学習者のエンゲージメント(engagement)とは、学習に積極的に参加したり関与したりすること。engagementとは婚約・約束・かかわり
答えは3
問4 初級レベルで実践するための工夫
1 プロジェクトワークは、あくまでプロジェクトを通して日本語を学ぶことが目的。初級だから日本語を使わなくて済むように大規模な調査を行い図表を作成するというのは当初の目的を見失っている。
2 プロジェクトワークは読む・書く・話す・聞く・の4技能の総合的な力を身につけることがメリットなのに限ってしまっては意味がない。
3 中上級のタスクでは理解できない。
4 初級レベルなので、複雑なことは理解できない。活動に取り組みやすくするために、一部の活動を省いたり、簡略化したりする。
答えは4
平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5の大問でプロジェクトワークの授業の概要が出題されているので見ておきたい。
問5 レベルに関係なく留意すべき点
プロジェクトワークは、学習者主体となってプロジェクトを設定し遂行していく。つまり授業の初期段階では内容が定まっていないので先行シラバスを採用できない。後行シラバスになる。
答えは3
シラバスについて詳しくはこちら
問題8 異文化接触
問1 カルチャー・ショック
カルチャーショックとは、異文化と接触したときに自文化との違いに受ける衝撃
1 自国内でも異文化に接触すれば起こる。例えば、埼玉川口市のクルド人と日本人との間のカルチャーショック。
2 カルチャーショックは慣れ親しんだきた価値観が通用しなくなることで生じる。例えば、玄関で靴を脱がないとか。
3 カルチャー・ショックに悩まされ、身体面に問題が生じることはある。
4 国内でも生じるし短期移動でも生じる。
答えは2
問2 リエントリー・ショック
リエントリー・ショックとは、海外に慣れた人が帰国後に受けるショックのこと。
答えは4
リエントリー・ショックが起きる理由が平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問3で問われている。
リエントリー・ショックが起きる理由として不適当なものは?
1 外国滞在中の自身の経験に、母国の人々が興味を示さないこと
2 外国滞在中に慣れ親しんだ方法が、母国では通用しないこと
3 外国滞在中の自身の価値観の変化に気づいていること
4 外国滞在中に自身の文化を理想化して捉えていたこと
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問3より引用
問3 文化受容の限度
ベリーの文化受容の態度(文化変容)は過去に何度も問われている。必須の知識。
同化は、元の文化を喪失して、異文化を受け入れること。
1 日本では自分の言語は必要ないと考え、日本語力の向上に注力するのは同化
2 日本でも自分の言語と日本語の両言語を話せるようになることを目指すのは統合
3 民族的伝統を保つため、日本語よりも自分たちの言語を保持しようと努力するのは分離(離脱)
4 自分の言語でも日本語でも気持ちや考えをうまく表現できず、いら立つのは周辺化(境界化)
答えは1
問4 文化的アイデンティティ
文化的アイデンティティとは、個人や集団が自らの文化に対する認識や所属感を持つこと
1 他者の影響を受ける。例えば、自分は日本で生まれた日本人だと思っていたのに目が青くて金髪だから他の人から外国人扱いされて自分が日本人であることを疑うようになる。
2 むしろ文化的アイデンティティが確立されていない段階で異文化を取り込むと文化的アイデンティティは揺らぐ。例えば、幼いころにアメリカ移住した日本人はアメリカ人のような感覚になるかもしれないがアメリカ人からはアメリカ人として認めてもらえずアイデンティティが揺らぐ。
3 同じ日本人でも日本に対する認識は異なる。
4 自分は自分のことを日本人だと思っているのに、他者が日本人と思ってくれなかったら葛藤が生じる。
答えは4
問5 異文化ストレスへの対処法
1 精神的に不安定になる思春期や新しいことを受け入れることが難しい高齢者はカルチャーショックが大きく異文化適応が難しいと言われている。
2 日本人がアフリカに行って初期の何もわからない時期に強いストレスを感じれば、現地人のホストよりも日本人に頼りたくなるだろう。
3 予測して準備しておくことは大事。
4 言語コミュニケーション能力も大切。
答えは3
問題9 第二言語学習
問1 誤用が残る現象
1 定着化とは、学習が進んでも特定の項目が誤用として残ってしまうこと。
2 符号化とは、新しい言語情報が学習者の記憶に取り込まれ理解や記憶として蓄積されるプロセス。
3 文法化とは、もともと独立した意味を持っていた言葉がより文法的な機能を持つこと。
4 過剰般化とは、ルールを過剰に適用すること。
答えは1
各用語の解説や押さえておきたい過去問は用語集にまとめている。
問2 適性処遇交互作用
適正処遇交互作用の解説や押さえておきたい過去問は別記事でまとめている。
1 弱みが解消されるわけではない。
2 学習者の適性の強みに合致した指導を行うと、指導の効果が最大になるというのが適正処遇交互作用
3 苦手を強化するのではなく適正に合わせる。
4 適性を変化させるのではなく適正に合わせる。
答えは2
問3 ビリーフ
ビリーフはよく現れる。やりたい過去問と合わせて別記事でまとめている。
ビリーフとは、第二言語習得において教師あるいは学習者が抱く信念、価値観、考え方の総称。
答えは2
問4 ワーキングメモリ
1 外から入ってきた情報のうち注意を向けたものが数十秒記憶される…短期記憶
2 五感を通して入る感覚的な情報は、識別されることなくそのまま取り込まれる…感覚記憶
3 受け取った情報は、その容量が制限されることなく半永久的に貯蔵される…長期記憶
4 情報を一時的に保持し、新情報と既知情報を照らし合わせて処理が行われる…ワーキングメモリ
答えは4
問5 外国語副作用の例
外国語副作用とは、外国語を使うときは頭が疲れるので普段よりもバカになること。
答えは1
問題10 読解
問1 ボトムアップの読み方の例
ボトムアップとトップダウンはよく出題されるが正解率が低い。別記事にやりたい過去問をまとめている。多様な問題を解くことで理解を深めたい。
1 入門書などで関連する内容を理解しておくのは読解の準備であって読み方ではない。
2 指示語などに着目し文と文の関係を確認しながら読むように語彙や文法など細部に注目し、一つ一つの理解を積み上げていくのはボトムアップの読み方
3 タイトルや見出しなどを見て内容を予測しながら読むのはトップダウンの読み方(スキミング)
4 前後関係から理解できるところを探しながら読むのはトップダウンの読み方
答えは2
問2 スキャニングの例
スキャニングとスキミングもよく出題されるので別記事にまとめている。
1 旅行パンフレットの中から条件に合ったプランを探すのは、自分に必要な情報をのみ拾うスキャニング(トップダウン)
2 契約書の内容を漏れなく理解するために丁寧に読むのは、単語一つ一つの理解を積み上げるボトムアップ
3 小説全体をざっと読んであらすじを把握するのは、細かいことは気にせず大意を把握するスキミング(トップダウン)
4 教科書を冒頭から文字や単語を追いながら読むのは、単語一つ一つの理解を積み上げるボトムアップ
答えは1
問3 内容スキーマ
内容スキーマと形式スキーマの違いはよく出題されるので別記事にまとめてある。関連する過去問をまとめて解くことで理解を深めたい。
1 構造に関する知識は形式スキーマ
2 技法に関する知識は形式スキーマ
3 背景に関する知識は内容スキーマ
4 自分の理解を確認するのはメタ認知
答えは3
問4 精緻化推論
精緻化推論と橋渡し推論を区別する問題も頻繁に問われるので別記事にまとめている。
1 前後の文章の語彙的な結びつきによって推測するのは橋渡し推論
例…「明日はテストがある。今日は徹夜だ」という文を読んで、「テスト」と「徹夜」という語彙の結びつきにより、テストの勉強をするために徹夜をすることを推論する(平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問2より)
2 文章に示されていない情報を補完するのは精緻化推論
例…「狐はその美しい姫に恋をし、透き通った肌の金髪の王子に化けました」という文を読んで、その王子の顔や髪型、服装、声を想像する(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問2)。
3 文章を読みながら瞬時に行われるのは橋渡し推論。精緻化推論は文章を読んだ後に行う。
4 整合性で推論するのは橋渡し推論。
例…「昨日、猫カフェに行きます」という文を読んで、昨日、猫カフェに「行った」んだなと推論
答えは2
問5 発話思考法
発話思考法とは、読みながら思ったことを口にだすこと。
答えは3
問題11 情報メディア
問1 新聞の報道記事の特徴
新聞の読み方講座第2回より引用
新聞の報道記事は、上記図の通り、重要なことが先に示され、後に行くほど補助的な詳細情報になるという逆三角形の構造になっている。
4を選んだ人が多いが、新聞の政治面、経済面では、景況や政局を先読みするため推量の言葉が使われる。例「次回の首脳会談では、貿易摩擦の解消に向けた進展が期待される一方、交渉の難航も予想されている。」
答えは3
問2 打ち言葉
1 ソーシャルメディア等で、話し言葉的文体で文字入力される言葉は打ち言葉(平成30年3月2日文化庁文化審議会国語分科会『分かり合うための言語コミュニケーション(報告)』参照)
2 コンピューターで、プログラムを記述するための文字言語はプログラミング言語といい、C++、JavaScriptなどがある。
3 オンライン上で、記号と文字を使って描かれた絵を用いた表現はアスキーアート(ASCII art)
4 ビデオ会議で、相手に対して発話を促したり同意を示したりする表現は、例えばzoomのリアクション機能。発話者に対して、「拍手」などのリアクションを送ることで、発話を促したり同意を示したりできる。
答えは1
問3 二つ以上の単語が結合して全体が特定の意味を表す慣用句
慣用句とは、二語以上が結合し、その全体が一つの特定の意味を表すようになったもの。
1 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)とは「思った通りずけずけ言う」こと。元々の単語「歯」に「衣(きぬ)」を「着せぬ(きせない)」という単語が結合して、単語単体とは異なる特定の意味を表しているので慣用句。
2 鼻が高いとは「誇らしい」こと。元々の単語「鼻」と「高い」と結合して、単語単体とは異なる特定の意味を表しているので慣用句
3 目がないとは「我を忘れるほど好きである」こと。元々の単語「目」と「ない」が結合して、単語眈々とは異なる特定の意味を表しているので慣用句
4 額が広いはこの猫の「額(ひたい)」が「広い」ことをそれぞれの単語で表現しているだけ。全体で特定の意味は表さず慣用句ではない。似た言葉に「猫の額」がある。猫の額は「非常に狭い」ことを表す慣用句である。
答えは4
問4 ピクトグラム
ピクトグラムはときどき出題されるキーワード。令和6年度は超簡単だったが令和2年度のは難しかったので油断できない。
1 ピクトグラムは動画ではない。
2 伝えたい情報を視覚的な図で表したのがピクトグラム
3 ピクトグラムは実際の写真ではない。
4 黒い縦線の組み合わせはバーコード
答えは2
問5 やさしい日本語
「やさしい日本語」もよく出題されるので過去問が別記事でまとめてある。
1 「やさしい日本語」公文書作成支援システムがある。
2 サービス敬語「こちらお水になります」より「水です」のほうが分かりやすい。サービス敬語は「やさしい日本語」と言えない。役所の窓口で使うことも推奨されていない。
3 阪神淡路大震災の教訓から、外国人に対する災害発生時の情報伝達を「やさしい日本語」で行う必要性が認識されるようになった(平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題13)。
4 「やさしい日本語」のニュースサイトといえば過去問にも登場した「NHK NEWS WEB EASY」。元のニュース「NHK NEWS WEB」と比べると情報量が減っていることがわかる。
答えは1
問題12 日本語の方言
問1 東西対立分布の例
方言の周圏分布と東西対立分布については別記事にまとめている。
1 「見よ」は京都。「見い」は大阪。西同士の対立
2 「山じゃ」は中国・四国地方。「山や」は近畿地方。西同士の対立
3 「花が散っとる」は山口弁で進行あるいは結果を表す。「花が散りよる」は山口弁で進行を表す。
山口弁の特徴のひとつは語尾。なかでも代表的なのが、時間を表す「~ちょる(結果)」「~よる(進行)」「~とる(結果・進行)」です。標準語の「~ておる(~ている)」が変化した表現だといわれています。※「~ちょる」が進行を表す場合もあります。
・花が散っちょる(散ってしまった)
・花が散りよる(散っている)
・花が散っとる(散ってしまった/散っている)
4 「息が白くなる」は東日本。「息が白うなる」は西日本。東西対立分布の例。
答えは4
問2 方言コンプレックス
平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問4と同じ問題。
方言コンプレックスとは、方言を恥ずかしいと否定的に感じること。
答えは2
問3 気づかない方言
1 特定の地域の出身者を想起させるような言葉遣いが用いられるのは気づく方言である。
「なんでやねん」と言われたら大阪出身だと気づくから「なんでやねん」は気づく方言。
2 共通語とも伝統方言とも異なる新しい方言で、くだけた場面で用いられるのは新方言
3 共通語と語形は同じだが、特定の地域では異なる意味で用いられるのは気づかない方言である。
「なおす」は福岡では「片付ける」の意味で使うが、共通語にも同じ語形があるから方言だと気づかずに東京でも使ってしまう。言葉が通じず、共通語では「なおす=修理する」の意味だと知る。「なおす=片付ける」が方言であるとようやく気づいた。私の体験談である。
4 共通語と地域方言との接触によって生じた中間的な語形が用いられるのはネオ方言
答えは3
問4 待遇表現で共通語には見られない用法
1 令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問4と同じ。ハル敬語がある。
例えば,関西地方では「~はる」が,全国共通語の「~れる・~られる」と似た意味の尊敬語として広く用いられる。これは,例えば「うちの父さん,家にいてはります」というように,全国共通語の尊敬語とは異なって,自分側の人物について述べる場合にも用いられる。敬語の指針p8
「お父さんはもうすぐ帰らはります」のように関西では身内に対して用いられる尊敬語がある(ことば研究館「家族や赤ちゃんに尊敬語を使うのは間違った言い方ですか」参照)。
2 「お前」「貴様」など共通語にも見られる敬意低減の法則は過去に何度か登場しているので別記事でまとめている。
3 「俺様」など共通語にも見られる。
4 「お寿司」「お耳」など共通語にも見られる。
答えは1
問5 共通語の発音の特徴
1 「肩」が「カダ」のように語中のタ行の音が濁音化するのは東北地方
2 共通語で鼻濁音化するのは語中の「ガ」
語頭の「が」は濁音ですが、語中の「が」や、助詞の「が」は鼻濁音になります。
NHK放送文化研究所『鼻濁音は消えるのか』より引用
3 助詞の「を」を「お」とは明確に区別して発音するは愛媛の方言という話が「月曜から夜ふかし」で以前放送されたそうです。
4 文末の「です」の「ス」が無声化する母音の無声化は共通語の発音の特徴
答えは4
母音の無声化はよく試験に出るので別記事でまとめている。
問題13 国家による国語あるいは公用語の制定
問1 国語あるいは公用語
1 英語とフランス語が公用語のカナダ。フランス語、オランダ語、ドイツ語が公用語のベルギー。英語、中国語、マレー語、タミル語が公用語のシンガポールなど国によっては国語が複数存在する。
2 日本では公式に公用語が定められいない(平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12参照)。
3 公用語は字の通り、公的機関が使う公式の言語なので、立法、行政、司法の実務を担う。
4 国語は字の通り、国を代表する言語なので、国家統合の象徴となる統一機能を担う。
答えは1
問2 実体計画の日本の例
席次計画…言語の席次(ポジション)を決める。
実体計画…決めた言語の基準を作る。
習得計画(普及計画)…基準を広める。
1 公教育の場で用いる言語として日本語以外の言語を検討するのは言語のポジションを決める席次計画
2 公文書に使用する漢字やローマ字表記の基準を決定するのは実体計画
3 敬語の正しい使い方の普及の方法を審議するのは基準を広める習得計画(普及計画)
4 日本の国語として日本語を選定するのは言語のポジションを決める席次計画
答えは2
問3 送り仮名の付け方(1973年)現代仮名遣い(1986年)
「送り仮名の付け方」(1973年)と「現代仮名遣い」(1986年)は令和5年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問2から2年連続の登場。
1 「送り仮名の付け方 単独の語 2 活用のない語 通則3」に「自ら」の表記があるが、読み方は「みずから」。
「常用漢字表」を見ると、「自」の読み方は「ジ」「シ」「みずから」であり「おのずから」はない。つまり「おのずから」は漢字を使わず平仮名で表記する。
2 「送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則2」によると表記は「かわる」は「変わる」が原則
3 「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」によると「縮む」は「ちぢむ」と表記する。
4 「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」によると「略図」は「りゃくず」と表記する。
答えは3
問4 言語的少数派の言語権を守る取組の例
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題17(記述問題)のキーワードだった言語権がここで登場!
言語的少数派とされる人々の持つ言語権とは、自分が使いたい言語を使う権利。①自身の母語を使う権利と②多数派の言語を学ぶ機会の保障がある。
1 例えば、日本の裁判所が審理中の使用言語を日本語に固定すると、日本語以外を話す人は自身の言語を使えず言語権が侵害される。
2 手話で情報を提供するのは手話を使う権利を守る取り組み①
3 外国籍住民の母語で情報発信するのはその母語を使う権利を守る取り組み①
4 移住者に生活言語の学習を保障するのは多数派の言語を学ぶ権利を守る取り組み②
答えは1
問5 逆行的言語シフト
フィッシュマンの逆行的言語シフトの8段階は以下のとおり。
知らなくても問題文にヒントがあるから解ける。
「消滅の危機にある言語を復活させる試み」が最も進行している選択肢を選べば良い。
段階8:話者が社会的に孤立した高齢者。彼らの口から再構築し、地理的に分散した成人に教える必要がある。
段階7:X語話者は社会的に統合され、民族言語的に活発な集団であるが、子どもを産む年齢を過ぎている。
段階6:世代間で口頭伝承
段階5:家庭、学校、地域社会でX語の読み書き
段階4:初等教育に導入
段階3:職場で使用
段階2:地域の行政サービス
段階1:高等教育、公的機関、メディア活動
1 年配世代を中心に聞き言語が文化的活動に用いられるのは段階7
2 全国的なマスマディアや行政で危機言語が用いられるのは段階1
3 家庭において危機言語が世代を超えて継承されるのは段階6
4 公立の学校で危機言語によって教育が行われるのは段階4
答えは2
問題14 日本文化
問1 菊と刀
「菊と刀」など試験によく出る本は別記事でまとめている。
1 ヨーロッパの騎士道と日本の武士道を比較し、武士道の成立過程を解説したのは新渡戸稲造『武士道』
2 ヨーロッパと比較しながら日本の美意識の特徴を示し、禅との関連性を指摘したのは西田幾多郎(にしだきたろう)『禅の研究』
3 『菊と刀』は欧米と日本を比較しているが、日本は欧米の社会制度を合理化して採用しているとは主張していない。
4 欧米と日本を比較し、それぞ罪の文化と恥の文化の類型から説明したのはルース・ベネディクト『菊と刀』。
答えは4
問2 Japanese Society(ジャパニーズ・ソサエティ)
1 日本人の心性と人間関係の基本に「甘え」があることを指摘したのは土居健郎(どいたけお)『「甘え」の構造』
2 日本社会を所属集団の場が重視させる「タテ社会」として説明したのは『Japanese Society(ジャパニーズ・ソサエティ)』として英語にも翻訳された中根千枝(なかねちえ)の『タテ社会の人間関係』
3 「モンスーン的風土」により日本人の心性には二重性が存在すると述べたのは和辻哲郎(わつじてつろう)『風土』
4 私欲なく行いが清らかである「清貧」を日本文化の一側面として紹介したのは中野孝次(なかのこうじ)『清貧の思想』
答えは2
問3 1962年の文部省通知
日本語教育の分野では、1962年に当時の文部省から4年生大学の学長に対して「日本語科目及び日本事情に関する科目」の設置についての通知書が出された。
答えは1
問4 文化本質主義
文化本質主義は平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題15問5以来の登場になる。
1 文化的な多様性を尊重することによって、社会的公正が実現されるという考え方は多文化主義
2 ある国家が、自文化の価値観により他の国家を支配しようとする考え方は自文化中心主義
3 人々の認知や知覚は、歴史や文化的状況から切り離すことができないとする考え方は構築主義
4 各文化には純正な要素があり、他文化との間には明確な境界があるという考え方は文化本質主義
答えは4
問5 高コンテクスト文化
1 状況を説明するのではなく、要望を明確に伝えることが要求されるのは低コンテクスト文化
2 言語メッセージが非言語メッセージよりも重要な役割を果たすのは低コンテクスト文化
3 共有されている情報が多いため、言葉で説明しなくても意図が伝わるのは高コンテクスト文化
4 どのように言ったかよりも、何を言ったかが重視されるのは低コンテクスト文化
答えは3
問題15 日本語教育の歴史(戦後〜2024年度)
問1 長沼直兄(ながぬまなおえ)
1 オーラル・メソッドを日本語教育に応用し、問答法を開発したのは長沼直兄
2 ベルリッツ・メソッドではなく、ハロルド・E・パーマーのオーラル・メソッド。
3 1931年(ナガヌマ・メソッドの誕生参照)から長沼直兄は日本語教科書『標準日本語讀本』シリーズを刊行し問答法(ナガヌマ・メソッド)を用いて指導した。アーミー・メソッドは第二次世界大戦中にアメリカ陸軍が開発した。兵士たちが短期間で効果的に外国語を習得できるように設計された。
4 ナガヌマ・メソッドは音声記号を利用するのではなく音声そのものを重視した母語を習得するプロセスを踏む(詳しくはナガヌマ・メソッドの言語学習観参照)
答えは1
問2 国際学友会 正解率43%
1 技術協力の一環として、日本で初めて技術研修生を受け入れたのは国際学友会
2 後に他機関と統合され、独立行政法人学生支援機構(JASSO)となったのは国際学友会
3 『日本大文典』を編纂(へんさん)し、宣教師に対する日本語教育を行なったのはジョアン・ロドリゲス。
4 東南アジアからの南方特別留学生を受け入れ、日本語教育を行なったのは国際学友会
答えは3
問3 1970年代の留学生受け入れ 正解率15%
1 留学生の資格外活動が1週間に28時間以内という制限付きで許可されたのは1998年(外国人留学生に対する就労許可制度の国際比較参照)
2 国費外国人留学生招致制度が発足し、東京外国語大学と大阪外国語大学に留学生別科が設置されたのは1954年。
3 学位取得を目的としない留学生のために、短期留学推進制度が発足したのは1995年
4 主に大学学部の入学希望者を対象として、私費外国人留学生統一試験が開始されたのは1970年
答えは4
問4 留学生受入れ10万人計画 正解率50%
1 留学生受入れ10万人計画が発表された1983年(昭和58年)の留学生数は1万人程度だった。
文部科学省「留学生交流の推進について」より引用
2 留学生受入れ10万人計画の留学生数の目標は2003年(平成15年)に達成された。
3 留学と就学に分かれていた在留資格が留学に統一されたのは平成21年改正(最近の入管法改正参照)。留学生30万人計画(平成20年)のとき。
4 国際化の拠点となる30大学を選定し整備する取組が実施されたのは留学生30万人計画(「留学生30万人計画」骨子参照)
答えは2
問5 法務省が告示をもって定める日本語教育機関
文化庁の令和4年度(2022年度)「国内の日本語教育の概要」によると、
国内の日本語学習者数は、219,808人
法務省告示機関で学ぶ学習者数の割合は、43.6%
答えは4