動画で解説
問題1【音節とアクセント】
アクセントといえば、NHK日本語発音アクセント新辞典です。私も持っています。
高いですがアクセントに関してこれより良い本はありません。
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問1 音節 正解率56
1 かん /kan/、きって /ki/tte/など子音を2つ以上含む音節がある。
2 ねこ /ne/ko/、いぬ /i/nu/ など2音節以上の単語が多い。
3 ねこ /ne/ko/、はは /ha/ha/ など子音に母音が後接した音節が一般的である。開音節
4 特殊拍は前の拍と一まとまりで一音節になる。
例) 「きって」は3拍2音節、「うどん」は3拍2音節
答えは1
★問2 日本語におけるアクセント 正解率43
1 名詞は、語の音節数ではなく拍数によってアクセントの型の数が決まる。
n拍の語には合計n +1通りの型がありえる(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p490)
例えば3拍の名詞の場合は、平板型、尾高型、中高型、頭高型の4つ。2拍の語は中高型がない3つ。
2 後部要素のアクセント型は、複合名詞全体のアクセント型に関与することがある
複合名詞のアクセント型は、後部要素の拍数ごとに分類できる(複合名詞の発音とアクセント参照)。
後部要素が2拍以下の場合、アクセント核は前部要素の最後の拍になることが多い。
前部要素のアクセント型は関係なく、前部要素の最後の拍になる。
3 尾高型の名詞は、後続する助詞によってはアクセント核が消失することがある ○
NHK日本語発音アクセント新辞典 付録2資料編Ⅲに「助詞・助動詞等の付属語が付いたときの発音とアクセント」があるので読むべし。
原則として後続する助詞はアクセントに影響を与えない(付属語不干渉の原則)。
しかし例外あり。
「の」が「尾高型」に付いた場合には、例外的に、名詞部分の「下り目」が消えて全体として平板型になることが多い。
《例》
コメ(尾高型)+ノ=コメノ(平板型) コメガ(尾高型)
サシミ(尾高型)+ノ=サシミノ(平板型) サシミガ(尾高型)
NHK日本語発音アクセント新辞典 付録2資料編Ⅲ-2.『付属語不干渉』の原則に対する例外より
4 アクセントは拍によって変わる。音節ごとに決まってはいない。声調と類似していない。中国語の声調は1音節発音するだけで分かるが、東京方言は1拍だけではわからない。
答えは3
問3 特殊拍の発音 正解率60
1 規範的な発音では促音の調音点・調音法は次の子音の調音を準備
発表/happyoo 発揮/hakki
[p]無声両唇破裂音
[k]無声軟口蓋破裂音
調音点は違う。
2 一切/issai 一体/ittai
[s]無声歯茎摩擦音
[t]無声歯茎破裂音
調音法は違う。
3 規範的な発音では撥音は次の子音と調音点が同じ鼻音になる。次の音に口腔の閉鎖がない(調音点がない)場合は口からも息が出る鼻母音になる。次の音がないときは口蓋垂
あの辺へ/anohen e 次の音が[e]で調音点がないので鼻母音
あの辺に/anohenni 次の音が[n]で調音点は歯茎なので歯茎音
同じではない。
4 簡易/kan i 嫌悪/ken o
どちらも次の音が母音で調音点がないので鼻母音
調音法は同じ
答えは4
問4 学習者の母語を踏まえたモーラの指導 正解率59
1 二重母音とは、1つの音節に連続して2つの母音があること。1つ目の母音と2つ目の母音にはっきりした切れ目がなくまとめて滑らかに発音される。母語に二重母音がある場合、長音も二重母音のようにまとめて発音してしまい、長音を習得させることが難しい。長音の1拍は外国人に難しく、チーズが地図、ビールがビルに聞こえることはよくある。
例)二重母音の”guide”は英語では1音節だが、日本語の「ガイド」は3音節になる。
2 英語の”What time”は、”What”の最後の子音と、”time”の最初の子音が”t”で同じなので、日本語の促音のように聞こえる(ワッ・タイ)。促音指導に活用できる(促音の調音は次の子音の調音)。
3 漢字圏かどうかは文字の指導に関わるが、特殊拍は漢字圏と関係ないので考慮しない。
4 長音を表す記号「ー」は多くの言語に存在しない。
答えは2
★問5 日本語らしさを感じさせるリズム 正解率17
1 日本語では通常1モーラごとに区切って発音される ×
例えば「今日は天気がいいですね」を
「きょ・う・は・て・ん・き・が・い・い・で・す・ね」とは発音しない。
2 日本語では、各音節がおおむね等しい長さで発音される ×
例えば「とけい」(2音節・3モーラ)
音節で分けた「と」と「けい」は等しい長さではない。
モーラで分けた「と」「け」「い」が等しい長さ。
3 日本語では、2モーラが一つのまとまりを形成する ○
例えば全国苗字ランキングを見てみると
佐藤(1+2)
鈴木(2+1)
高橋(2+2)
田中(1+2)
伊藤(1+2)
渡辺(2+2)
山本(2+2)
中村(2+2)
確かに2モーラが一つのまとまりを形成している場合が多い。
省略形態を見てみると
ファミレス(2+2)
コンビニ(2+2)
こちらも2モーラが一つのまとまりを形成している場合が多い。
4 日本語では、強制が置かれる音声が等間隔で現れる ×
強勢が置かれる音声が等間隔で現れるのは英語
強勢リズムについて知りたい人はこちらの動画
答えは3
問題2 主題の「は」
問1「は」で消える格助詞 正解率77
「が」が付加されると消去される格助詞については現代日本語文法⑤p177
格成分が「は」を用いて主題として示される場合、ガ格とヲ格の格成分は格助詞が消えて「は」だけで示される。
・この仕事{は/*がは}もう終わりました。
・この仕事{は/*をは}もう終わらせましょう。
それ以外の格成分は、格助詞の後に「は」を付加した形で示されることが多い。
・あの人{とは/*は}よくいっしょに遊びました。
ニ格の格成分の場合は、「には」のほか、「は」で示されることもある。
・京都{には/は}お寺がたくさんあります。
現代日本語文法⑤p177
1 ここからは行けません
2 彼とは行きません
3 ここではやりません
4 ここをはしません×
答えは4
問2 対象の「が」 正解率72
対象を表すが「が」は現代日本語文法②p43~
述語が状態性のものである場合には、「が」が対象を表すことがある。「が」の対象としての意味には、心的状態の対象、能力の対象、所有の対象がある。
心的状態の対象とは、感情や知覚の向けられる対象である。
「うれしい」「悲しい」「好きな」「嫌いな」「ほしい」「心配な」のような感情を表す形容詞の対象は、「が」で表される。
・恩師の死が悲しい。
現代日本語文法②p43~
主体を表す「が」は現代日本語文法②p30~にまとめられている。①動きの主体②状態の主体③名詞述語文で名詞と名詞を同定する同定関係の主体がある。
1 ピザはナポリが本場だ
名詞文で、「ナポリ」=「本場」という名詞と名詞を同定する主体の「が」
2 私はパセリが嫌いだ。
嫌いの対象を「が」が表している。
3 彼はウエストが細いです。
「細い」は「ウエスト」の性質なので性質の主体を表す「が」(現代日本語文法②p34)
4 この店はマグロが名物です。
名詞文で、「マグロ」=「名物」という名詞と名詞を同定する主体の「が」
答えは2
「〜が嫌い」の「〜が」が対象と思えない人は動詞にしてみるといい。
・ネズミが嫌い
・ネズミを嫌う
上の文でネズミはどちらも対象である。動詞文「〜を嫌う」が形容詞文だと「〜が嫌い」になる。
問3 正解率88
「は」が付加される前の文に戻して主体や対象以外か検討
1 このグラウンドがかなり広い
「このグラウンドが」は性質(広い)の主体
2 彼が2時間後に出発する
「彼が」は動作(出発する)の主体
3 昨日、図書館に行きました。
「昨日」は時を表す副詞的成分
4 犯人をもう捕まえました
「犯人を」は動作(捕まえました)の対象
答えは3
「は」で表される主題になれるものは現代日本語文法⑤p182
「は」で表される主題は、指示対象が定まっていて特定できる名詞でなければならない。
・山本さんは3時ごろに来た○
「知らない人」のように指示対象が聞き手には特定できない名詞は、「は」で表される主題になれない。
・知らない人は3時ごろに来た×
現代日本語文法⑤p182
問4 正解率53
主題を表す「は」は従属度の低い従属節に現れる(現代日本語文法⑥p10)
従属度の低い従属節は令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3D(20)でも出題されている。
従属度が低い従属節とは、主節とは独立した文法的要素をもつことができる従属節である。
たとえば、主語のみならず、主題が現れる。
・私の父は中国人ですから、私は中国語も話せます(原因・理由節)
・仕事はたいへんですけれども、楽しんでやっています(逆接条件節)
・うちには犬もいますし、別荘には猫もいます(等位節)
現代日本語文法⑥p10
主題を表す「は」で文を作ってみる。
1 「けれど」「し」などの等位節
「けれど」 私は行くけれど、彼は行かない○
「し」 私は行くし、彼も行く○
2 「たら」「ば」などの条件節
「たら」 私は行ったら、彼も行く×→私が行ったら、彼も行く○
「ば」 私は行けば、彼も行く×→私が行けば、彼も行く○
3 「とき」「あと」などの時間節
「とき」 私は行くとき、彼も行く×→私が行くとき、彼も行く○
「あと」 私は行ったあと、彼も行く×→私が行ったあと、彼も行く○
4 「ように」「ほど」などの様態節
「ように」 私はしたように、してください×→私がしたように、してください○
「ほど」 心臓は止まりそうになるほど驚いた×→心臓が止まりそうになるほど驚いた○
答えは1
問5 正解率46
1 分裂文とは、文を構成する成分を1つ取り出し、それを焦点にするための文(現代日本語文法⑤p189)
①の「夏目漱石が」を焦点にするために、それ以外の「「坊ちゃん」を書いた」の部分を主題とすると、②の分裂文になる。
①夏目漱石が「坊ちゃん」を書いた。
②「坊ちゃん」を書いたのは夏目漱石だ。
現代日本語文法⑤p189
「は」は分裂文において焦点ではなく主題を示す。
2
談話に新たに導入させるものなど、聞き手が指示対象を特定できないと話し手が考えるものは、主題として示すことはできない。
・私の友人に佐藤という男がいる。この男は外科医である。
現代日本語文法⑤p204
上記の通り、聞き手が指示対象を特定できないと話し手が考えるとき「は」は使えない。
・弟がいるんですが、その弟が先日大変なことをしてくれました。
3 「は」たとりたて助詞としての用法を持つ(現代日本語文法⑤p30〜)
・猫は好きだけど、犬は好きじゃない。
4 疑問詞を主題とすることはできない。
いつはいいですか×
いつがいいですか○
なお、「いつかは行きたい」という文は言えるが「いつか」は疑問詞ではない。
答えは4
問題3 自動詞と他動詞
自動詞と他動詞は頻出分野なので別記事にまとめてある。
現代日本語文法②p22〜が詳しい
問1 自動詞に分類される動詞 正解率81
[が、を]文型をとる自動詞もある。ヲ格名詞が空間的、時間的な経過域や起点を表すようなものである。
・トラックが高速道路を走っている。
・楽しい時間を過ごした。
・今朝は7時に家を出た。
現代日本語文法②p24~
ヲ格をとる動詞文を作ってみる
1 目的や起点
目的は「で」や「に」で表す(現代日本語文法②p95)
目的 観光で京都に来た。
目的 母が買い物に行く。
2 目的や手段
手段は主として「で」で表される(現代日本語文法②p71~)
手段 ナイフでチーズを切る。
3 経路や起点
経路 トラックが高速道路を走る 自動詞
起点 家を出た 自動詞
答えは3
問2 直接受身文 正解率86
直接受身と間接受身を見分ける問題は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1問2でも出題されている。
直接受身文とは、能動文にしたときに、ヲ格名詞やニ格名詞などで現れる名詞を主語とした受身文(現代日本語文法②p218)
間接受身文とは、能動文にしたときに、直接的には関わっていない人物を主語とした受身文(現代日本語文法②p236)
各選択肢の能動文を作り、受身文の主語が関わっていないなら間接受身文
1 友人が私に無理な仕事を頼んで
能動文のニ格名詞「私に」が受身文の主語なので直接受身
2 鈴木さんが会社を辞めて
能動文に受身文(従属節)の主語である「私」は出てこないので間接受身
3 5歳下の後輩が先に昇進して
能動文に受身文(従属節)の主語である「私」は出てこないので間接受身
4 映画館で隣の観客が騒いで
能動文に受身文(従属節)の主語である「私」は出てこないので間接受身
答えは1
問3 自動詞と他動詞のペア 正解率75
ペアのある自動詞・他動詞を有対自動詞・有対他動詞という(現代日本語文法②p25)
働きかけられる対象をとる動詞を他動詞という。
1 子供が起きる。地震が起こる。
どちらも働きかけられる対象がないので自動詞
2 私はお金を預ける。 銀行はお金を預かる
どちらも働きかけられる対象があるので他動詞
3 私はシャワーを浴びる。私は子供にシャワーを浴びせる。
どちらも働きかけられる対象があるので他動詞
4 子供が下りる。 子供を下ろす。
「子供が下りる」は働きかけられる対象がないので自動詞
なお、「子供が階段を下りる」と言えるが、この場合のヲ格は空間的な経過域や起点を表すので例外(現代日本語文法②p24)
答えは4
問4 自動詞と他動詞の意味の違い 正解率79
典型的な他動詞の意味は、主体からの働きかけによって対象に変化が生じること(現代日本語文法②p24)
・佐藤がパソコンを渡した。
典型的な自動詞は、対象に影響を及ぼさない、主体による意志的な行為や、ある事態の発生という意味を表す(現代日本語文法②p25)。
各選択肢を自動詞「閉まる」、他動詞「閉める」で検討
1 自動詞「閉まる」も他動詞「開める」も動作を表す。
2 自動詞「開まる」も他動詞「開める」も瞬間的な動作を表す。
3 「ドアが閉まる」は変化を表す。「私がドアを閉める」は変化の原因となる動作を表す。
4 自動詞「閉まる」は非意志的な変化を表し、他動詞「閉める」は意志的な動作を表す。
答えは3
問5 ペアがない場合 正解率48
①自動詞がない場合は他動詞の受身形を使う
・私がドアを閉めた→ドアが閉まった(ドアが閉められた)
・猫がチーズを食べた→チーズが食べられた
②他動詞がない場合は自動詞の使役形を使う
・ドアが閉まった→私がドアを閉めた
・雨が降った→私が雨を降らせた
答えは1
問題4 授受動詞
授受表現は別記事でまとめてある。
授受表現は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問5でも出題されている。
問1 正解率63
各選択肢の例文を作って確認
「くれる」マドンナが私にチョコをくれた…与え手が主語
「もらう」私がマドンナにチョコをもらった…受け手が主語
「あげる」マドンナがBくんにチョコをあげた…与え手が主語
与え手が主語は「あげる」「くれる」
受け手が主語は「もらう」
答えは2
問2 正解率91
「友達が私を助けた」には私(話し手)という受益者がいるので授受動詞(「くれた」「もらった」)を使うべき
答えは2
問3 正解率70
与え手が主語になる動詞「あげる」と「くれる」を本動詞として用いる場合
「あげる」マドンナがBくんにチョコをあげた
「くれる」マドンナが私にチョコをくれた
物の受け手はニ格
「あげる」「くれる」を補助動詞として用いる場合
「あげる」マドンナがBくんにチョコを買ってあげた。 マドンナがBくんをディズニーランドに連れて行ってあげた。
「くれる」マドンナが私にチョコを買ってくれた。マドンナが私をディズニーランドに連れて行ってくれた。
「〜に〜を買う」「〜を〜に連れて行く」のように補助動詞の前に来る動詞によって格は異なる。
答えは2
問4 授受動詞の敬語表現 正解率80
1「いただけますか」は「もらえますか」の敬語
「もらう」私は先生にパーティにきてもらった
「いただく」私は先生にパーティに来ていただいた
主語は動作主ではなく受益者になる。
2「先生、パーティに来ていただけますか」は「来る」の動作主である先生から話し手が恩恵を受けることを表す
3 「さしあげる」は「あげる」の敬語
「あげる」私は先生の荷物をもってあげた
「さしあげる」私は先生の荷物を持って差し上げた
主語は動作主ではなく与益者
4「先生、お荷物を持ってさしあげます」は「持つ」の動作主である先生に話し手が恩恵を与えることを表すので、失礼な印象を与える。
答えは4
問5 正解率53
同じ事柄を、動作主と受け手それぞれの視点から述べているか確認
1「師匠が弟子に教えた」「弟子が師匠に教わった」
前の文は師匠から、後ろの文は弟子から、それぞれの視点で同じ事を述べている。
2「先生が弟を褒めた」「弟が先生に褒められた」
前の文は先生から、後ろの文は弟から、それぞれの視点で同じ事を述べている。
3「私の思いを皆に表した」「私の思いが皆に表された」
前の文は私が主語、後ろの文は私の思いが主語だが、受け手である「皆」の視点がない。
4「私は弟に家を貸した」「弟は私に家を借りた」
前の文は私から、後ろの文は弟から、それぞれの視点で同じ事を述べている。
答えは3
問題5 ビジネスパーソンのレッスン
問1 レディネス調査 正解率56
ニーズ調査とは、どうしてその言語が必要なのか学習目的の調査。仕事で必要など。
レディネス調査とは、学習者に関する情報の収集。いままでどんな勉強してきたのかなど。
https://www.hamasensei.com/2022-1/
1 レディネス調査は学習状況の調査も行う。学習者の希望する学習時間帯が早朝や夜間の場合は、疲労や集中力の低下を考慮して学習深度を設定する○
2 希望する到達目標を調べるのはニーズ調査
3 どんなテキストで勉強してきたかを聞くのはレディネス調査だが、テキストの選定はレディネス調査の結果で行うのではなく、シラバスデザイン、カリキュラムデザインの段階で行う。
4 身につけたいと思っている日本語を調べるのはニーズ調査
答えは1
問2 ニーズ調査 正解率91
1 今の日本語のレベルを聞くのはレディネス調査
2 環境を尋ねるのはレディネス調査
3 必要な言語能力について聞くのがニーズ調査
4 学習者のビリーフ(学習観)を聞くのはレディネス調査
答えは3
問3 タスクシラバス 正解率88
シラバスは頻出。別記事と動画がある。
1 「企画を立てる」「商品を売り込む」のように遂行すべきタスク(課題)を基に構成されているのはタスクシラバス(課題シラバス)
2 「説明する」「謝罪する」など機能を中心に構成するのは機能シラバス
3 「金融政策」「情報技術」など特定のトピックに関連した内容で構成するのはトピックシラバス(話題シラバス)
4 「会議」「出張」など遭遇する場面ごと構成するのは場面シラバス
答えは1
★問4 カリキュラムデザイン 正解率34
カリキュラムデザインについては日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p229参照
試験Ⅰ問題4を思い出す。
ニーズ・レディネス調査→目標言語調査→到達目標の設定→シラバスデザイン→カリキュラムデザイン
シラバスデザインとは、コースで何を教えるか教授項目(学習項目)を選定すること。
カリキュラムデザインとは、選定した教授項目をそれぞれいつ教えるのか授業時間数や進度を決める。教授法、教材・教具などもここで決める。
1 授業時間数や深度を決めるのはカリキュラムデザイン
2 媒介語を使用するかどうかなど教授法を決めるのはカリキュラムデザイン
3 教材を決めるのはカリキュラムデザイン
4「商談で使う表現」「電話対応で使う表現」など、学習項目を決める ×
学習項目(教授項目)のことをシラバスと言う。
シラバスを決めるのはシラバスデザインの段階
答えは4
★問5 ビジネスに従事する学習者の特性 正解率43
ビジネスに従事する学習者は、ビジネスのために日本語を学習する。
ビジネスなので費用対効果を重視する。
1 ビジネスなので実用性を重視する
2 趣味で学んでいる学習者に比べると、効率良い学習への期待が大きく、学習成果を性急に求めるといえる。
だがこのようなカテゴライズ化はあまりいい問題とは思えない。間違えても気にしないこと。
3 ビジネスのためなので他の分野にも広く関心を持つかどうかはあやしい。
4 業務遂行能力の向上が目的であり、日本語運用能力の向上はそのための手段である。
答えは2
問題6 初級前半レベルの教授法
問1 導入 正解率84
1「コミュニケーション能力の育成を重視」しているので口頭でやるべき。
2 会話を聞かせて文型の意味を推測させるのは、コミュニケーション能力の育成を重視した帰納的な教え方。令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問2でも出題されている。
3 導入文型と新出語彙を両方同時に出すと、どちらに注目して良いかわからず、今回の文の新しく学ぶ意味が導入文型によるものか新出語彙によるものか分からず混乱を招く。
4 例文は多い方がよい。多角的な視点から意味を推測できる。
答えは2
問2 オーディオ・リンガル・メソッド 正解率75
オーディオリンガルメソッドについては別記事
オーディオ・リンガル・メソッドとは、アーミー・メソッドを改良した口頭能力重視の教授法。母語話者並の素早く正確な口頭能力を身につけることを目標にしています。コミュニケーション能力ではなく、口頭能力です。
なぜ、口頭能力重視と言われるかというと、それまでの外国語学習は、文法訳読法といって、外国語の書籍が読めるようになることが重視されていたからです。
私が中学生、高校生の頃の英語の授業がまさしく文法訳読法でした。
オーディオリンガルメソッドとは?
1 オーディオリンガルメソッドでは母語話者と同様の流暢さを習得することを目標とする○
2 オーディオリンガルメソッドでは学習の初期から文法的な誤りに厳しい。文法的な正確さが重視される。
3 オーディオリンガルメソッドでは決められた文型を反復練習する。文型の提示順は、簡単なものから難しいものへ。学習者のニーズを踏まえてはいない。
4 「オーディオaudio:音」「リンガルlingual:言語の」「メソッドmethod:方法」という名前の通り、オーディオリンガルメソッドは音重視。口頭練習の方法。
答えは1
問3 TPR 正解率46
TPRは別記事
TPRでは教師の指示通りに学習者は体を動かす。
1「立たないでください」を肯定形にするといっても「立ってください」「座ってください」どれも意味が異なる。「立ってください」「座ってください」とは異なる指示として「立たないでください」は使える。「立って」「立たないで」の形・意味の違いを確認すれば混乱はしない。
2「夢」のような抽象的語彙は教師の指示通りに体を動かすのが難しいのでTPRに向かない。
3 無理矢理はよくない。TPRは教師の指示通りに学習者が体を動かすという幼稚園児のようなことをするので大人の学習者の中にはやりたがらない人もいる。
4「立ってください」「座ってください」などの単純な作業から「ドアまで歩いてドアを開けてください」「教室の中を一周してください」などの複雑な作業へと活動を展開する○
答えは4
問4 教具 正解率84
1 例えば「さ」は手書きだと離れているがデジタル化した書体だとくっついて見える。そこで異なるフォントを並べることで同一の文字であることを認識させるとよい。
上記は日本語教育現場にも役立つUDフォントより引用
2 動詞の活用語尾を太字にすればどこが変わるのか見やすくていい。
3 絵カード以外にジェスチャーなど他の方法も使える。
4 計画しておかないと板書がぐちゃぐちゃになるおそれ。新出語彙は右側など決めておくと良い。
答えは4
問5 学習者の不安 正解率86
1 他と比較できると不安が増す。学習者の成績を公開しないのはそのため。授業についていけない学生には易しめの課題を与えることで不安を軽減する方法も
2 ペアワークの相手は一人なので大人数ではない。また書記など話す以外にも協同で行えることはある
3 間違えることが嫌で不安を感じる場合、間違えることのメリットを繰り返し伝えることで間違いを恐れなくなる○
4 間違えを指摘してほしい学習者もいるので訂正を避けるというのは誤り。訂正の仕方を気をつければ良い。なお、訂正(フィードバック)の方法については別記事
答えは3
問題7 上級レベルのディスカッション
問1 クローズド・クエスチョン 正解率69
質問の種類は別記事。令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3などで出題
クローズドクエスチョンとは、閉じられた質問、つまり答えを決まったものから選ぶ質問。はい・いいえで答える質問や選択肢から選ぶ質問
オープンクエスチョンとは、自由に答えられる質問
クローズドクエスチョンの例1)あなたもそう思いますか? はい or いいえ
クローズドクエスチョンの例2)猫と犬のどちらが好きですか 猫 or 犬
1 「どのように」だから答えは自由。オープンクエスチョン
2 「何」だから答えは自由。オープンクエスチョン
3 「いつ」だから答えは自由。オープンクエスチョン
4 「同じ意見ですか?」だから答えは、「はい」or「いいえ」 クローズドクエスチョン
答えは4
問2 テーマを決める際の条件 正解率79
1 参加者が興味を持って話し合えるテーマであることは大切。
2 ディスカッションとは討論、結論が出ていないから討論する。すでに結論が出ている場合、討論する意味がない。無人島に一つだけ持って行くなら何がいいか、オリンピックの新種目は何がいいか、など盛り上がりそうなテーマが良い。
3 賛否が分かれるテーマは討論が盛り上がるので良い。
4 利害関係が対立せず立場が1つだと討論が盛り上がりにくい。例えば、オリンピックの新種目を考える場合は、好きな種目は人それぞれであり利害関係が対立するので討論が盛り上がりやすい。
答えは2
問3 ディスカッションに参加する際の留意点 正解率96
1 主張の理由と根拠を提示することで自分の考えを相手に理解してもらい討論することができる。
2 専門用語はわからない人がいるのでなるべく使わない方がいい。
3 ディスカッションとは討論すること。意見を一致させることではない。
4 ディスカッションとは討論すること。賛成意見を出すことではない。
答えは1
問4 時間の管理 正解率91
1 タイムキーパー(時間の進行を管理する人)がいれば、スムーズに進めることができる。
2 討論では大事なのはもちろん本論
3 事前におおよその時間配分を考えておくことで時間通りに終わらせることができる。
4 授業の目的は「他者と協調しながら自分の意見をべられるようになる」こと。一人が長く話しすぎるのは良くない。
答えは2
問5 アイスブレイクの例 正解率86
アイスブレイクとは、氷を壊すこと。授業や会議の最初、本題に入る前、皆が緊張している場面で緊張を解くためにやること。話しやすい雰囲気を作るために行う。
1 自己紹介や雑談をして話しやすい雰囲気を作るのはアイスブレイク
2 本題に入っている。アイスブレイクの後に行なうこと。
3 KJ法は令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問4で出題されている。
KJ法とは、カードに一つずつアイデアを書いた後で、類似したアイデアをグループにして上位概念でまとめる方法。すでに本題に入っている。
4 すでに本題に入っている。
答えは1
問題8 文化を取り入れた授業
問1 深層文化 正解率95
資料がヒントになる。表層文化は海面の上で見える。深層文化は海面の下で見えない。
1 ジェスチャーは目に見えるので表層文化
2 服装は目に見えるので表層文化
3 建築物は目に見えるので表層文化
4 思考法は目に見えないので深層文化
答えは4
問2 レアリア 正解率91
レアリアとは、教育のために作られたものではない、実際の社会で使われているもの。
1 実際に社会で使われているものは臨場感があり、興味を持続させることができる。
2 タイのスイカは細長いなど国によってイメージが違うこともある。本物を見せることで違いを見せることができる。
3 長さの違った様々な色の棒(ロッド)を使って、概念や行動を示すことができるのはサイレントウェイ
4 練習でも例えば買い物の練習で実際にその商品を手に取るなどコミュニカティブな活動で使用することができる。
答えは3
問3 ロールプレイ 正解率81
ロールプレイは別記事
ロールプレイとは、role(役割)をplayする(演じる)こと
1 役割を演じるのはロールプレイ、その後に国ごとの違いを考えさせるのも良い。
2 店員と客という役割の会話をペアで作り演じさせているのでロールプレイ
3 演じる役割がないのでロールプレイではない。
4 友人同士、上司や部下といった役割を演じているのでロールプレイ、その後、言語行動の違いを話し合わせるのはロールプレイに適した良い活動。
答えは3
問4 ビジターセッション 正解率76
ビジターセッションは平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5に具体的なやり方が書かれている。
ビジターセッションとは、visitor(訪問者)のsession(会合)。外から日本語母語話者を招いて学習者と日本語を使って意見交換すること。
1 ビジターセッションとは、学習者と母語話者のやりとり。どちらかが一方的に話すことなく、双方向型のセッションを行い、対等な関係を構築すべし。
2 一方的なやり取りになってしまっている場合、相手の意見を理解できずコミュニケーションが成立していない場合などは教師の介入も必要。
3 「ビジターが事前に調べてきた情報を可能な限り提供」では一方的な関係になってしまう。
4 ビジターセッションでは、ビジター個人の意見や気持ちを聞く。リアルな一個人の日本人の気持ちを学習者は知りたい。
答えは1
問5 ポートフォリオ 正解率82
ポートフォリオとは、学習の過程、成果を自分で自由に記録・保存するもの
ポートフォリオは令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問5で出題
上記は日本語教育通信授業のヒント文化の見方を深めるデジタルポートフォリオの活用からの引用
JF日本語教育スタンダードでは、①評価表②言語的・文化的体験の記録③学習の成果で構成されたポートフォリオを使っている。
1 ポートフォリオは数値化するものではない。
2 ポートフォリオで学習者は学習過程で用いた資料や成果物を保存し学習を振り返る(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8問5)。授業を通して何をどのように考えるようになったかが分かるように、変化が分かるものを全て保存すると良い。
3 気づいたことをメモするのは母語の方が早い。日本語に限る必要はない。
4 ポートフォリとは学習の過程・成果を自ら記録するので主観的になるのは当然。「学習に対する姿勢」も自らどうだったか振り返れば良い。
答えは2
問題9 異文化接触
問1 ステレオタイプの自動的活性化 正解率75
問題5の問5はステレオタイプの自動活性化の例
ステレオタイプの定義は平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8にある。
偏見や差別には、人を何らかの属性や特徴に基づいてまとめて捉える「カテゴリー化」の働きが関連している。特定の社会集団やカテゴリーに対する知識や信念をステレオタイプと呼び、ここに否定的な評価や感情が加わると、「○○人は時間にルーズだ」というような偏見が形成される。その結果として差別意識が生じ、差別行動に至る。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8 より
選択肢3を選んだ人が多いが「悪口」と限定しているのでおかしい。
上記平成27年度の文章からすればステレオタイプは否定的な評価に限らないことがわかる。
ステレオタイプとは特定の集団に対する固定的な考え。
ステレオタイプの自動活性化とは、特定の集団の名前を聞いたら自動的に固定的な考えが思い浮かぶこと。
1 自分のことを話したくなるのはステレオタイプではない。
2 「沖縄」と聞いて瞬時に「時間にルーズに違いない」と思い浮かぶなど固定的な考えが自動的に思い浮かぶのがステレオタイプ。
3 「否定的な感情を持ったら」逆に言えば否定的な感情を持たなかった悪口を言わないということ。それは「自動的」とは言えない。「自動的」とは感情や意志に関係なく思い浮かぶこと。また、悪口を言うことと自動活性化は関係ない。
4 自動活性化とは親しく付き合うことではないし、「明確なイメージが持てたら」という条件があるのもおかしい。
答えは2
★問2 脱カテゴリー化を促す活動の例 正解率19
「日本人住民」「外国住民」というカテゴリーに分けられるのは
両者に違いがあるから。違いで分ける。
「日本人住民」「外国住民」という分類を脱するには違いの反対
両者の共通点を見つける必要がある。
1 共通点を見つけているのでこれが答え。人は共通点を見つけ出すことで仲良くなれる。パーティでどうやって人と仲良くなるか。地域の課題を話す? いや、好きなことを話そう⚪︎
2 互いの短所を指摘するのは共通点探しと関係ない。
3 外国人と日本人が日本の地域の課題を調べれば外国と日本の違いが明確になる。国際会議をイメージしてほしい。頻繁に喧嘩しているはず。地域も同じ。例えば、ゴミの出し方に問題があったりした場合、違いを理由に責任をなすりつけ合う可能性がある。「日本のルールは複雑すぎる」「日本語で説明されてもわからない」「郷に入っては郷に従え」「嫌なら日本から出て行け」「日本に住むなら日本語話せ」。共通点探しの反対
4 自国を代表すれば違いが明確になる。ワールドカップの時に自国を強く意識するようにカテゴリー化を促す活動。共通点探しの反対
答えは1
問3 積極的傾聴 正解率81
傾聴は平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問2で出題されている。
積極的傾聴(Active Listening)とは、自分が聞きたいことを聞くのではなく、相手の気持ちを想像し、相手の話したいことを否定せず、理解するように努めること。
1 真意が分かりにくい場合は質問して理解するように努めなければならない。
2 相談者の気持ちを想像し、否定せずに話に関心を持って真摯な態度で聴くのが積極的傾聴
3 解決方法を提案するように自分の考えを話すのではなく、相手の考えを聞くのが積極的傾聴
4 価値判断を示すように自分の考えを話すのではなく、相手の考えを聞くのが積極的傾聴
答えは2
問4 エンパワーメント 正解率38
エンパワーメントは、平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問5(エンパワーメントとは自らの内在する力に基づき、その力を全面的に発揮できるような環境や他者との関係を作り上げていくこと)等で出題されている。
エンパワーメントを提唱したブラジルの教育学者フレイレは令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題15で登場
頻繁に登場しているのに正解率が低いのでしっかり理解して他と差をつけたい。
エンパワーメントとは、power(力)を強くすること。本来その人に備わっている能力を発揮できるようにすること。例えば、昔ブラジルの農民は地主に言われた通り田畑を耕すばかりだった。読み書きもできず虐げられても抵抗を諦めたり。そこで、読み書きを学び、自分の能力を発揮できるようにして、自分の生活を見直して、地主のパワハラと戦う。地主も自分も同じ人間。自分にだって能力がある! 自分で考え、自分で決める、自己決定能力を獲得する。
外国人住民の場合、日本語の読み書きができないので本来その人が持っている力を発揮できていない。日本語を学ぶことで仕事ができたり能力を発揮できるようになる。
1 エンパワーメントは多様性を尊重し重視することではない。
2 エンパワーメントは柔軟性を身につけることではない。
3 エンパワーメントのキーワードは「自らの力」。日本語を学び、日本での自分の生活に意味を見出し、自分で生き方を選択し、決定していく力を身につけることがエンパワーメント
4 エンパワーメントは所属感を得ることではない。
答えは3
問5 共生社会の充実 正解率87
共生社会の充実に向けてどうすればいいか。共に生きるためか検討
1 異文化理解が広がれば相手のことを理解でき、共に生きることができる。
2 外国人住民が日本語を学べば、仕事もできるしコミュニケーションも促進され、共に生きることができる。
3 住民同士のネットワークが深まれば、困った時に助け合ったりして共に生きることができる。
4「外国人住民の集住」とは、外国人だけがある場所に集まって住むこと。日本人と外国人は別々のところに住む。共に生きていない。
答えは4
問題10 第二言語習得
問1 U字型のカーブ 正解率65
「第二言語習得は」「U字型のカーブ」という言葉から、最初は高いが途中に下がり後半また上がっていくイメージ。
どうして途中に下がるか想像する。
最初は語彙が限られていてそもそも話せないから間違えようがない。習得したものが増えていくと運用の混乱が増える。だがさらに学べば適切に運用できるようになる。
例えば、「綺麗じゃない」から形容詞の否定形は全部「じゃない」だと考えて「おいしいじゃない」と学んでいる途中で言ってしまうとか。最初はそもそも「じゃない」を知らないので間違えようがない。
1 下降から底の時期は前半(初級レベル)。目標言語の規範にあった言語形式の算出が増えるのは中級以降。つまりU字型の底から上昇の時期
2 初級レベルでは、「じゃない」は形容詞の否定形じゃなく、ナ形容詞の否定形です! じゃあ、イ形容詞の否定形は何だっけ? あ、「くない」だ。「おいしくない」など目標言語の構造分析が進む時期。
3 「目標言語の規範から逸脱した言語形式の算出が生まれる」つまり、間違いが増えているのでU字型の下降の時期
4 「丸暗記した定型表現」ばかり使ってしまうのは語彙力がない初級の時期。つまりU字型の初め。
答えは2
問2 自然習得順序仮説 正解率71
自然習得順序仮説は試験Ⅰ問題10に登場したモニターモデルの一つ
自然習得順序仮説は平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問5で出題
自然習得順序仮説とは、母語に関わらず、年齢に関わらず、教えられた順序に関わらず、決まった順序で文法項目が習得されること。
1 「教えられた順序ではなく決まった順序」
2 「教えられた順序ではなく決まった順序」
3 学習環境にかかわらず、決まった順序で文法項目を習得するのが自然習得順序仮説
4 理解可能なインプットが増えれば難しい文法項目も習得できるようになる。インプットの有無は大事。
答えは3
問3 日本語の難しい順番 正解率84
有標性が高いほど習得は遅くなる。一般的じゃないほど習得が遅れる。
「有標」「無標」という言葉は平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題9問5の選択肢でも出題されている。
有標とは、標(しるし)が有ること。特別なこと。
無標とは、標(しるし)が無いこと。一般的なこと。
「食べます」は一般的なマス形
「食べました」はマス形の過去形。特別な形なので「食べます」より習得が遅れる。
「食べています」は「食べます」にアスペクトに関係する「ている」がついた形。過去形とアスペクトを比べると過去形のほうが一般的なので「食べています」は「食べました」より習得が遅れる。
「食べれば」は「食べます」に接続助詞がつき「食べれば」という順接条件節(現代日本語文法⑥p93)になっている。従属節にしか使えない(文の最後にできない)ので、「食べています」よりさらに特別。
以上より、「食べます」→「食べました」→「食べています」→「食べれば」の順番
答えは2
問4 言語転移 正解率91
言語転移は令和元年度試験Ⅲ問題2問4などで出題
言語転移とは、すでに習得している言語の規則を学習中の言語にも適用すること
1 母語だけでなく既習の外国語からも言語転移が起こる⚪︎
2 口癖が人によって違うように言語転移も人によって違う
3 「距離が近い」つまり似ている。言語転移には正の転移と負の転移がある。言語の距離が近いと正の転移が起こる。
正の転移とは、言語間の距離が近いので同じ規則を適用できて学習が容易なこと。例えが、韓国語は日本語と文法が似ているので韓国語母語話者は日本語を勉強しやすいという。
負の転移とは、言語間の距離が遠いのに同じ規則を適用してしまって間違えること。
4 文法訳読法とは、文法を学んで外国の本を訳して読めるようにすること。例えば、日本語で「愛人」と言えば不倫相手だが、中国語では配偶者を指す。意味が全く異なる。このように読み書きでも言語転移は起こり得る。
答えは1
問5 学習者コーパス 正解率49
コーパスの活用は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Dで出題
コーパスとは、実際に社会で使われている言葉を集めたデータベース
学習者コーパスとは、外国語の学習者が実際に書いたり話したりしたものを集めたデータベース
1 非漢字圏学習者を対象としたコーパスで「増加する」と「増える」を検索すれば、検索結果の数によりどちらが多く使われているか調べることができる。
2 「私」「自分」をどのような文で使っているを調べることはできるが、その「意図」を調べることはできない。
3 学習者の母語によって整理されているコーパスであれば母語による使用数の違いも調べることができる。
4 学習者のレベルによって整理されているコーパスであれば、助詞の「は」と「が」を調べて誤りに違いがあるか見ることができる。
答えは2
学習者コーパスについてくわしいのは、「実践で学ぶ コーパス活用術」
問題11 誤用分析
フィードバックは毎年のように出るので別記事
問1 過剰般化 正解率96
誤りの種類は毎年のように出るので別記事
過剰般化とは、ルールを過剰に適用すること。
例)「きれいじゃない」の「じゃない」を「おいしい」にも適用して「おいしいじゃない」
1 ある言語形式の規則を、その適用範囲を超えた箇所でも使用する現象が過剰般化○
2 学んだ直後にその言語形式を覚えるためにたくさん使う場合は学習ストラテジーの一つ記憶ストラテジー。
3 特定の誤りが定着し、その誤った言語形式を算出し続ける現象は定着化(化石化)
4 本当はわかっていたのに、疲労や注意力の欠如で間違えたうっかりミスのことをミステイクと呼び、本当にわかっていない誤りをエラーと呼ぶ。
答えは1
問2 誘導 正解率84
直接訂正 (明示的訂正) | 直接訂正する。 例)学生「私は漢字を読むできます」先生「違います。「漢字を読むことができます」です」 |
明確化要求 | 学習者に言い直しを求める。 例)学生「漢字を読むできます」先生「え? もう一度お願いします」 |
誘導 | 正しい文を途中まで教師が言って誘導する。 例)学生「漢字を読むできます」先生「漢字を読む…?」 |
繰り返し | 学生の誤りを繰り返す。 例)学生「漢字を読むできます」先生「漢字を読むできます?」 |
1 学習者が誤った箇所の手前までの発話部分を教師が繰り返すのは誘導
2 学習者が誤った箇所を教師が指摘して正しい表現を提示しているので直接訂正(明示的訂正)
3 学習者の誤りを繰り返すのは繰り返し
4 発話意図を確認して教師が言い換える、つまり直接訂正しているので直接訂正(明示的訂正)
例)「昨日、猫カフェに行きます」「昨日ですか?」「はい」「「昨日」は「行きました」です」
答えは1
問3 口頭以外のフィードバック 正解率80
口頭フィードバックとライティング・フィードバックの違いは平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4で出題されている。
1 暗示的な修正とは、「学習者に言い直しを求める」など教師から正しい答えを言わない修正。口頭フィードバックのほうが、その場で言い直しさせることができるので、暗示的な修正に適している。
2 口頭フィードバックの方がその場で確認できるので、学習者の意図を確認しやすい。
3 口頭フィードバックはその場で言われるのでたくさん指摘されると覚えていられないが、作文添削のフィードバックであれば記録に残るので短期記憶への負荷が小さい○
4 口頭フィードバックはその場で指摘するので全体の構成に対する指導が行いにくい。一方、作文添削などであれば全体を見てから指導できる。
答えは3
問4 フォーカス・オン・フォーム 正解率87
フォーカス・オン・フォームとフォーカス・オン・フォームズとフォーカス・オン・ミーニングの違いはこちら
フォーカス・オン・フォームズ:言語の形式にフォーカス。正確に文法を理解し正しい形式を使えるようになるのが目的。
フォーカス・オン・ミーニング:言語の意味・機能にフォーカス。コミュニケーションできるようになるのが目的。
フォーカス・オン・フォーム:コミュニケーション活動をする中で、言語形式にもフォーカス
フォーカス・オン・フォームとフォーカス・オン・フォームズとフォーカス・オン・ミーニングの違い
フォーカス・オン・フォームは令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10(フォーカスオンフォームは言語形式と意味・機能を結びつける過程で習得が起こるという考え方)等で出題
1 言語形式を重視する一方、母語を使っているので第二言語によるコミュニケーションはできていない。形式重視のフォーカス・オン・フォームズ
2 自然かコミュニケーションの流れの中で学習者の注意を言語形式に向けつつコミュニケーションを行うのはフォーカス・オン・フォーム(L「昨日、猫カフェに行きます」T「へー、猫カフェに行きましたか」L「あ、行きました」)
フォーカス・オン・フォームのテクニックの具体例は平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10
下線部B「この赤い服を着ている人ですか」という教師のフィードバックは、リキャストと呼ばれ、フォーカス・オン・フォーム(Focus on Form)のテクニックとして用いられることが多い(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題10問2選択肢4より)
3 言語形式に集中しているので形式重視のフォーカス・オン・フォームズ
4 意味を重視しているのでフォーカス・オン・ミーニング
答えは2
問5 タスク中心の教授法 正解率75
タスク中心の教授法の活動例が令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5や平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問3で登場しているので見ておく。
1 タスク中心の教授法で扱う「タスク」は問題5問3で登場した「タスクシラバス」を見るといい。「企画を立てる」「商品を売り込む」など、遂行すべきタスクを基に構成されている。文型の難易度順ではない。
2 新出文型の産出を目的とするのはフォーカス・オン・フォームズのオーディオリンガルメソッド
3 問題5問3でビジネスパーソンのニーズに合わせて「企画を立てる」など遂行すべきタスクを基にタスクシラバスを構成したように、学習者のニーズを反映させるのがタスク中心の教授法。
4 タスク中心の教授法は、コミュニカティブ・アプローチの考え方が基盤となっている(平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4より)。過去に出てきた活動例を他の学習者と協働している。
・グループで無人島生活の必需品リストを作成し優先順位をつけさせる(令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題4問5)。
・日本語のレシピを見ながら、カレーライスを協力して作る。
・就職活動で必要になるエントリーシートや履歴書を作成する。
・住んでいる町を紹介するパンフレットを分担して作る。
答えは3
問題12 会話表現
問1 フィラー 正解率78
フィラーは別記事と解説動画がある。
フィラーとは、詰め物(filler)。会話の間をつなぐためのもの。「あのー」「いやー」「えっと」「まあ」など。
1 聞き手が話し手と発話を重ねることで、会話における熱心さを伝えたり、相手との連帯感を強めたりするのはオーバーラップ(平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題12問4)
オーバーラップの例「明日、猫カフェに(行かない?)」「(相手が「行かない?」と言おうとするタイミングに重ねて)うん、行く!」
2 聞き手が短い発話によって話を聞いているという態度を示すことで、会話の進行をたすけるのはあいづち
あいづちの例)「昨日、猫カフェに行って」「うん」「めっちゃ可愛い猫がいてさ」「へえ」
3 話し手が短い言葉を発することで、次に続ける発話を少し待ってほしいということを聞き手に伝えるのがフィラー
フィラーの例)「昨日の夜はどこに行ってたの?」「えっと」
4 話し手が会話の冒頭で定型化された言葉を儀礼的に用いることで、聞き手との良好な関係を示すのはあいさつ
答えは3
問2 ポライトネス・ストラテジー 正解率74
ポライトネス理論は令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14でも出題。別記事にまとめてある。
ポジティブ・ポライトネス・ストラテジーは、相手と友達のように近づくための工夫
ネガティブ・ポライトネス・ストラテジーは、相手に迷惑をかけない(相手の領域に立ち入らない)ための工夫
1 手伝うのは相手に迷惑をかける行為だがそれを「ちょっとだけ」と抑えているので相手に迷惑をかけない工夫であるネガティブポライトネスストラテジー
2「私ってコーヒーが好きじゃないですか」という発言は「私」のことをよく知っている友達に対してするもの。相手に友達のように近づくポジティブポライトネスストラテジー
3 仕事の間違いを指摘するのは相手の領域に立ち入る行為。「私が間違えているのかな?」と譲歩することで相手の嫌な気持ちを和らげているのでネガティブポライトネスストラテジー
4 「連絡をください」ではなく「ご連絡を頂ければと思います」と敬語を使うことで相手と距離をとり踏み込まないようにしているのでネガティブポライトネスストラテジー
答えは1
問3 尊大語の例 正解率91
尊大語とは、待遇表現の一つ。話し手が自分を聞き手より高い位置において表現する。「おれさま」「ほめてつかわす」「近う参れ」「くれてやる」の類(大辞林より)
軽卑語とは、相手を軽く扱う表現
1「見やがって」と相手の行為に対して軽く扱う言葉を使っているが自分のことは「こっち」と尊大な言葉は使っていない。
2「あいつ」も「いばりくさる」も相手を軽く扱う言葉。自分を偉く言う尊大語はない。
3「悪ガキめ」相手に対する悪口。自分を偉く言う尊大語はない。
4「俺様」「お帰り」と自分に対して偉そうな言葉を使っている尊大語
答えは4
問4 コミュニケーション・ストラテジー 正解率94
コミュニケーション・ストラテジーは別記事
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問2などで登場
コミュニケーション・ストラテジーとは、コミュニケーションを円滑にするための工夫。
1 もう一度相手に言ってもらい聞き取ってコミュニケーションを円滑にできる。聞き返し。
2 一人で考えていたらコミュニケーションが停滞してしまう。円滑にならない。
3 難しい言語形式を避けて簡単に伝えることでコミュニケーションを円滑にできる。言い換え。
4 相手の理解を確認することで誤解を防ぎコミュニケーションを円滑にできる。理解チェック。
答えは2
問5 語用論的知識の習得 正解率89
語用論的知識とは、「お客様に対して敬語を使う」など場面に応じて適切な語を使える知識。
肯定証拠とは、正しい表現の情報
否定証拠とは、ある表現が間違いであることを示す情報
1 正しい表現を明示することで習得が促進されることはあっても妨げにはならない。インプット仮説では「学習」は「習得」につながらないと考えるが妨げにもならない。
2 「否定証拠を明示しない」つまり誤りを指摘しない。自分が間違っているか気づけないので習得の促進にはつながらない。
3 学習者が誤っていても正しい表現を提示してくれなければ知りようがないので習得の促進にはつながらない。
4 外国人が日常で誤った日本語を使ってもそれを誤っていると指摘しない傾向があり、習得の妨げにつながる。
答えは4
問題13 多言語使用
問1 多言語使用 正解率78
複言語主義と多言語主義の比較については平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問2で出題されている。複言語主義は個人の言語に焦点を当てた考え方、多言語主義は社会における言語についての考え方。
今回は多言語使用。複言語主義との比較ではないので大きな意味で社会あるいは個人が二つ以上の言語を用いること。
漢字の意味通りシンプルに考える。多くの言語を使用すること。
1 多くの言語を使用していない。
2 多く使用するのは媒体ではなく言語
3 多くの言語を使用している○
4 多くの言語を使用していない。
答えは3
問2 言語景観の例 正解率91
言語景観は平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問1に登場
平成30年度によれば、言語景観とは、道路標識や広告看板などに含まれる可視的な言語の総体
1 景観とは、けしき、ながめ。自動翻訳機は景色ではない。
2 テレビ番組は景色ではない。
3 SNSは景色ではない。
4 看板は街の景色といえる。
答えは4
問3 英語表記の規則 正解率51
案内板の多言語表示は平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問3に登場
国土地理院ウェブサイトの資料-1 地名等の英語表記ルールの概要がわかりやすい。
細かいルールは国土地理院ウェブサイトの地名等の英語表記規程が詳しい。
①置換方式
名称を「固有名詞的部分」+「普通名詞的部分(地形・種別を表す部分)」と捉え、ローマ字表記における普通名詞的部分を英語に置き換え
例:筑波山(Tsukubasan)は筑波(Tsukuba)+山(san)と捉え、sanをMt.に置き換えMt. Tsukuba
②追加方式
名称の構造上、置換方式を適用できない場合や日本人が置換方式の英語から元の日本語の地名を認識することが困難な場合など、名称全体を一まとまりとして扱うべきものは、ローマ字表記に地形・種別を表す英語(Mt.、Riverなど)を追加
例:荒川(Arakawa)は置換方式によるAra Riverでは日本人に通じないので、Arakawa River
八重干瀬(Yabiji)は名称にサンゴ礁が含まれず置換方式は適用不能であるため、Yabiji Coral Reef
資料-1 地名等の英語表記ルールの概要より
第2条 ローマ字表記の方法は別紙1のヘボン式によるものとする。
第3条 地名等の英語表記は、追加方式又は置換方式のいずれかによることを標準とする。地名等の英語表記例は別紙2のとおりとする。
2 追加方式は、表音のローマ字表記に地形や種別を表す英語を追加する。
3 置換方式は、表音のローマ字表記のうち、地形や種別を表す部分を対応する英語に置き換える。
別紙2 三 地形を表す部分の直前に助字(平仮名表記でのみ現れる場合も含む)がある場合(追加方式) 芦ノ湖 Lake Ashinoko
第13条 都道府県名の英語表記は、置換方式によるものとする。都道府県とその英語は次の各号に定めるとおりに行う。
一 東京都はTokyo Metropolisと表記するものとする。
二 北海道はHokkaido Prefectureと表記するものとする。
三 府県は、表音のローマ字表記のFu、KenをPrefectureにして表記するものとする。
四 都道府県名であることが容易に読み取れる場合には、これらの行政区分を表す英語を省略することができる。
第21条 橋名の英語表記は、置換方式によるものとする。「橋」又は「ブリッジ」はBridgeと表記するものとする。「大橋」は追加方式により○○-ohashi Bridgeと表記するものとする。
2 日本橋、二重橋のように居住地名や駅名、観光名所として名称全体が一体化しているものについては追加方式によるものとする。
第27条 神社仏閣名の英語表記は、追加方式によるものとする。「神社」はShrineと、「仏閣」はTempleと表記するものとする。
地名等の英語表記規程
1 「芦ノ湖」は名称全体が一体化しているので第3条より追加方式。「Lake Ashinoko」
2 「東大寺」は神社仏閣名なので第27条により追加方式。「Todaiji Temple」
3 「日本橋」は第21条第2項により追加方式。「Nihonbashi Bridge」
4 「東京都」は第13条1項より「Tokyo Metropolis」と表記する
答えは1
問4 公共表示 正解率52
元ネタは「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」と思われる。
p8
ピクトグラムは、視覚的な図による表現で内容の伝達を直感的に行うことができるため、言語の種別を問わず情報を伝達することができる。禁止・注意を促したり、案内・誘導等を示す上で、見た目の分かりやすさが特に重視され、ピクトグラムで十分必要な情報を伝えることができる場合は、ピクトグラムの使用が有効であり、外国語の併記を必ずしも必要としない。
p63
(名称・案内・誘導・位置を示す情報について)
名称・案内・誘導・位置を示すもの(タイプB)については、多言語表記の不統一や非連続性が原因で、訪日外国人旅行者が迷うことがないよう、地域単位でその統一性・連続性を確保することが必要である。具体的には、自治体、施設管理者、地図事業者の他、地域で外国人向けのガイドブックを提供する事業者や、ネットやアプリ等で地域の情報提供を行う事業者等、地域の関係者が連携して、共通で使用する固有名詞の対訳語一覧を作成し関係者間で表記を統一することが望ましい覧を作成し、関係者間で表記を統することが望ましい。
このほか、日本のガイドブックを出版している海外の出版社において各地域の情報を発信している場合があることから、このような事業者に対しても、情報提供を行うことが望ましい。
「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」より
1 ガイドラインp63のとおり、多言語対応については、可能な限り地域や各種施設の間で統一性・連続性を確保することが望ましい。
2 道路標識の地名で複雑な漢字を簡略化したものは公団ゴシック、公団文字と呼ばれ、主に高速道路で使われてきたが、開発者も亡くなり現在は標準の書体に変更され消えつつある。
三鷹・川越・宇都宮・豊田
上記は高速道路標識、「不思議な文字」の悲しい運命より引用
3 ガイドラインp8のとおり、ピクトグラムで十分必要な情報を伝えることができる場合は、外国語の併記を必ずしも必要としない。
4 規程第2条のとおり、ローマ字の表記はヘボン式を用いる。
答えは1
問5 オールドカマー、ろう者、少数民族の事情 正解率71
オールドカマーとは、old comer(古い 来た人)。いわゆる在日の外国人。第二次世界大戦前後に日本の旧植民地である韓国・朝鮮等から来た人。
ニューカマーとは、new comer(新しい 来た人)。1980年代以降日本に来て長期滞在する外国人。
1 アイヌ語は令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題15で出題されている。アイヌ文字はない(今こそ知りたいアイヌ文化参照)。
2 中等教育は日本では中学・高校にあたる。日本には朝鮮大学校があるので高等教育まで行われている。
3 手話にはろう者が日常的に使う「日本手話」と日本語の語順に合わせた「日本語対応手話」という変種がある。NHK手話ニュースはかつて日本語対応手話であったが、2000年代初めから日本手話へ切り替えれた。
p101
NHKの手話ニュースは、かつて日本語対応手話(後述)であったが、2000年代初めから日本手話へ切り替えられた
p102
日本手話は手や指だけでなく、非手指動作と呼ばれる顔の部位の変化で文法的区別を行うこと、また構文的にはSOV型をとり、日本語と同様であるが、いつ、どこで等のいわゆるwh疑問文ではそれが最後に来るので日本語とは語順が異なることになる等、言語学的にも別言語とされる
p110
このほか手話には、日本語とは別の言語でろう者が日常的に使う「日本手話」と、日本語の語順に手話単語を合わせる形の「日本語対応手話」があり、どちらを日本の手話とするか、といった問題もあるようだが、極めて学術的な問題であり法制定後の専門家の検討に委ねてもいいのではないか
日本語と日本手話より
4 夜間中学校は地域の日本語教育の場になっているのでよく出題される。
夜間中学の設置促進・充実についてを一度見ておくこと。
直近だと、令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題15問2で令和元年度夜間中学等に関する実態調査が問われている。
下記「令和4年度夜間中学等に関する実態調査」より、夜間中学校に通う生徒のうち66%が日本国籍を有せず、日本学習が必要な成人が多く学んでいることがわかる。
答えは4
問題14 明治以降の日本語教育
問1 ピジン 正解率64
ピジンとクレオールは令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問5などで出題
ピジンとは、母語の異なる人たちがコミュニケーションするために互いの言葉が混って生まれた簡易的な言葉。
1 語彙が少ないと一つの単語が担当する意味は増える。同じ仕事で担当する人数が少ないと一人当たりの仕事が増えるのと同じ。4本足で歩く動物を指す語彙が「猫」しかなければ「犬」も「馬」も「猫」になるので「猫」の意味が増える。
2 元は互いの母語なので文法は存在する。
3 ピジンは母語が異なる人たちのための言語なので母語話者はいない。ピジンがそこで暮らす次世代に受け継がれその共同体の共通言語になるとクレオールと呼ばれる。
4 元々母語が異なるので複雑な会話は難しい。ピジンは交流のための簡易的な言語。
答えは3
問2 言語喪失 正解率77
1 話者人口が少ないと話す機会がないので喪失しやすい。
2 使用機会が少ないと喪失しやすい。
3 移住先の言語(第二言語)を習得したら、第一言語より第二言語を使う。逆に言えば第一言語を使う機会が減るので喪失しやすい。
4 社会的地位が高い場合は相手が自分に合わせてくれる。例えば、日本語しか話せなくても、社会的地位が高い人は、通訳をつけたり、相手が日本語を話してくれるので日本語が喪失されにくい。
答えは4
問3 国語醇化運動(こくごじゅんかうんどう) 正解率57
日本語からの借用語を排除する言語政策としての国語醇化運動が起こったのは韓国。
植民地時代に定着した日本語を排除しようと1945年の解放以降に国語醇化運動が始まった。
答えは1
問4 言語消滅 正解率77
1 文化庁のウェブサイトによると、日本国内では、8言語が消滅の危機にあるとされている。
琉球諸語とは、奄美や沖縄で話されている言葉
消滅の危機にある言語・方言
- 【極めて深刻】アイヌ語
- 【重大な危機】八重山語、与那国語
- 【危険】八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語
2 21世紀の間に、9割の言語が消滅すると試算されている(消滅する言語と、失われていくなにかより)
3
ユネスコのLanguage Vitality Assessment(言語の体力測定)にもあるように、言語・方言の消滅の度合いは、単に話者の多寡だけで決めることはできず、さまざまな要因が関係している。その中でもっと需要なのは、次世代にどれだけ言語・方言が伝承されているかである。
危機的な状況にある言語・方言の実態に関する調査研究事業 報告書
4 ヘブライ語は話し言葉として2000年使われなかったが復活した。
ヘブライ語が使われなかった期間は約2000年に及ぶ。その間、ユダヤ人コミュニティーは世界各地に散らばり、それぞれが新たな故郷となった土地の言葉を使うようになっていった。19世紀後半の時点では、ヘブライ語の語彙には、ヘブライ語聖書で使われている古風で宗教的な概念を表すものしか存在せず、「新聞」や「アカデミア(学術界)」から「マフィン」「車」に至るまで、多くの単語が欠落していた。
ベン・イェフダーは、ユダヤ人の繁栄には国と言語が必要だと考えた。1881年にエルサレムに居を移すと、彼は妻とともに、今後はヘブライ語だけで会話をしようと決めた。ヘブライ語にはまだ、この時代に必須の概念や物を表す単語が欠けていたにもかかわらずだ。夫婦は息子のイタマル・ベン・アビを、約2000年間で初となる「ヘブライ語を母語とする話者」として育てた。
2000年間話し手がいなかったヘブライ語、どうやって復活した?
答えは1
★問5 琉球諸語(琉球方言) 正解率61
1
ユネスコが2009年に“Atlas of the World’s Languages in Danger”(第3版)で琉球諸語等日本の8言語を消滅の危機にあるとして掲載→地域で琉球諸語等の普及に向けて様々な取り組みを行った(消滅の危機にある言語・方言より)。減少していない。
2 ○
項目4「言語が使用される場面」では、最も高い評価を受ける状態を、言語が日常会話や創造的活動などどんな目的にも使用されている状態(5)として、言語の使用場面を調査する。主な公的場面では支配的言語が使用されつつも、例えば祭祀・宗教儀式・伝統芸能や、家庭以外の場面でも言語が使用されている場合は4、以下言語の使用場面が限定されるにしたがって低評価となる。リポートであげられている具体例では、家庭における言語使用が限定され、子どもの世代がバイリンガルであっても主に支配的言語を使用する場合が多く、親以上の世代がバイリンガルである状態(3)、言語使用が非常に限られた伝統的場面や、祖父母がいる家庭に限られている状態(2)などがあげられている。
(4)どのような場面で言語が使用されているか。(Trends in Existing Language Domain)
5. その言語はすべての場面で、すべての目的のために使用されている。
4. 二つ以上の言語が、すべての場面ですべての目的のために使用されている。
3. その言語は家庭では使用されているが、支配的言語が家庭でも使われ始めている。
2. その言語は限られた場面、いくつかの目的のために使用されている。
1. その言語はごく限られた場面で使用されるだけで、機能的に使用されることはほとんどない。
0. その言語はどんな場面のどんな目的のためにも使用されていない。
与那国方言:2~3
多良間島方言:2~3
平成22年度 危機的な状況にある言語・方言の実態に関する調査研究事業 報告書より
3 70代以上はいいすぎ。与那国方言なら50代後半
(1)その言語がどの程度次の世代に伝承されているか。
5. 子どもたちを含むすべての世代でその言語が使用されている。
4. その言語はすべての子どもたちが、一定の限られた場面で使用している。
3. その言語は親の世代以上で使用されており、子どもたちは使用していない。
2. その言語は祖父母の世代以上で使用されており、親、子の世代は使用していない。
1. その言語は曹祖父母以上の世代で使用されており、ほとんどの話者は使用していない。
0. その言語を使用するものはいない。
喜界島方言:3
40歳以上のほとんどの人が方言を話すことができる。30代・20代の人の多くは聞いて理解でき、少しは話せる。10代以下になると聞いて理解できるが話せない。または聞いても理解できない。
与那国方言:3
2010年現在50歳の前黒島氏の同級生で方言を話せる人はまれ。住民に聞いたところ50歳代半ばが境目という印象を持つ人が多い。この世代の子どもはだいたい10歳代後半から20歳前後のため、この世代は「祖父母の世代」に近い「親の世代」と言える。UNESCOのウェブページでも同様に3の評価が与えられている(http://www.unesco.org/ culture/languages-atlas/index.php last accessed Feb.5, 2011)。
平成22年度 危機的な状況にある言語・方言の実態に関する調査研究事業 報告書p77~より
4 祖父母世代は共通語である日本語を理解できるので意思の疎通はできる。
よって、答えは2
問題15 外国人労働者
問1 身分に基づく在留資格の例 正解率60
在留資格の種類はよく試験に出るので別記事
「身分に基づく在留資格」は、活動制限なし。日本人と同じくどんな仕事にも就くことができる。
「身分に基づく在留資格」には①永住者②日本人の配偶者等③永住者の配偶者等④定住者の4つがある。
1 上記一覧の通り、「文化活動」は就労が認められない在留資格
2 「定住者」は、身分に基づく在留資格
3 「家族滞在」は就労が認められない在留資格
4 「外交」は、活動制限ありの就労が認められる在留資格。
答えは2
問2 技能実習 正解率72
元ネタは「外国人雇用状況」の令和2年度10月末現在(令和4年度はこちら)
「専門的・技術的分野の在留資格」には、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職1号・2号」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「介護」、「技能」、「特定技能」が該当する。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和2年10月末現在)p6より
資格外活動とは、就労や留学等の在留資格で在留する外国人の方が、在留資格に応じて認められた活動以外に、アルバイトなど、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受けること(資格外活動許可申請より)
答えは3
参考までに外国人労働者数の推移も見ておくといい。今後試験に出る可能性がある。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在)p2より
★問3 資格外活動 正解率25
1 ゲームセンターは通常「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境」を害するおそれがあるため「風俗営業」にあたる。風俗とは衣食住など日常生活上のしきたり(大辞林)
第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
留学生は「風俗営業」で働くことができない(資格外活動許可について参照)
2 週28時間まで(「留学」の在留資格に係る資格外活動許可についてより)
3 教育機関の長期休業期間にあっては,1日について8時間以内、週に40時間働くことができる(「留学」の在留資格に係る資格外活動許可についてより)。
4 週に40時間超えると労働基準法違反
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法
答えは3
問4 BJTビジネス日本語能力テスト 正解率44
BJTビジネス日本語能力テストは令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題15問2でも出題
在留資格とBJTビジネス日本語能力テストは令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問2選択肢4でも登場
1 BJTビジネス日本語能力テストは名前の通りビジネスに特化した日本語コミュニケーション能力を測るテスト(BJTビジネス日本語能力テスト参照)。「生活場面でのコミュニケーション」ではない。
特定技能1号に関する要件は試験の適正な実施を確保するための分野横断的な方針参照
(イ)日本語試験
政府基本方針3(1)ウで定める水準を満たすものとする。
なお,同ウの「基本」となる水準については,以下のような尺度をもって測ることが考えられる。
○ ごく基本的な個人的情報や家族情報,買い物,近所,仕事など,直接的関係がある領域に関する,よく使われる文や表現が理解できる。
○ 簡単で日常的な範囲なら,身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
○ 自分の背景や身の回りの状況や,直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。
「特定技能」に係る試験の方針について
具体的には、JLPT(日本語能力試験)N4以上か、JFT(国際交流基金日本語基礎テスト)A2以上が必要(在留資格「特定技能」取得のための試験について参照)
BJT480点で、法務省入国管理局「高度人材ポイント制」において、15ポイントが付与される(日本語能力試験 N1と同等)
2 言語機能、タスク、場面、話題などの要素を総合的に判断し、10のレベルで口頭言語運用能力を判定できるのは日本語OPI。令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題6にはOPIによる会話テストでインタビューとロールプレイを行った際の資料があるので見ておく。
3 BJTビジネス日本語能力テストは点数に応じたJ5~J1+の6段階のレベルで評価される(BJTビジネス日本語能力テスト参照)
4
BJTは日本語やビジネスの知識の有無だけを測るテストではありません。日本語の基礎的な知識があることを前提として、与えられた情報を適切に処理し、対応することのできる能力を、客観的に測定するテストです。そのため、日本語のビジネス環境で想定されるあらゆる場面が出題範囲となります。
BJTビジネス日本語能力テスト BJTの特徴のご紹介より
答えは4
問5 プロジェクト学習 正解率80
令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問3でもプロジェクト型学習 (Project Based Learning)が出題されている。
1 ある物事の原理や構造、使用方法など一通りの基本知識を身につけてから、それを実践に生かす方法を学ぶのは演繹的アプローチ。プロジェクト学習は反対の帰納的アプローチ。演繹的アプローチと帰納的アプローチの違いは平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題6問1でも解説しているので要チェック
帰納的アプローチ | 実践的事例→一般的ルールを発見 |
演繹的アプローチ | 一般的ルールを学ぶ→実践的事例に活かす |
2 教室の授業とe-learningを組み合わせ、学習者の習熟度や学習過程に合わせたのはブレンデッドラーニング。e-learningは平成25年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8で出題されており、問5ではe-learningと対面授業の著作権について問われている。著作権は令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題7問4でも出題されている。知らずに著作権侵害をしている日本語学校・日本語教師は多い。自分を守るためにも勉強必須。別記事にまとめた。
3 内容(Content)、言語(Communication)、思考(Cognition)、協学(CommunityないしCulture) の4要素を統合し、学習者のコミュニケーションの育成や学習者の文化あるいは相互文化の意識を高めるのはCLIL。CLILを取り入れた授業の資料が令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題8にあるので見ておくべし。
4 プロジェクト学習は課題解決型学習とも呼ばれる。実世界の解決すべき問題について問いや仮説を検証し、思考力や協働学習の能力を身につける○
答えは4
問題16 日本語指導が必要な児童生徒
日本語指導が必要な児童生徒はよく出題されるので別記事にまとめてある。
問1 日本語指導が必要な児童生徒 正解率88
日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査が元ネタ。
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題13も同じく母語で最も多い言語が問われている。
令和2年度は平成30年度調査から
令和4年度は令和3年度調査から
答えは4
問2 日本語指導が必要な日本国籍児童生徒 正解率59
グラフは「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」の結果より
答えは3
問3 外国籍の子どもの普通教育 正解率72
外国人については就学義務が課せられていませんが、その保護する子を公立の義務教育諸学校に就学させることを希望する場合には、これらの者を受け入れることとしており、受け入れた後の取扱いについては、授業料不徴収、教科書の無償給与など、日本人児童生徒と同様に取り扱うことになっています。
文部科学省 帰国・外国人児童生徒教育等に関する施策概要より
1 上記の通り、授業料の負担はない。
2 上記の通り、教科書は無償
3 授業料、教科書代の負担はない。
4 日本人児童生徒と同様に取り扱う○
答えは4
問4 JSLカリキュラム 正解率43
JSLカリキュラム(Japanese as a Second Language)はよく出る時事問題にまとめてある。
日本語を母語としない子どもたちの教育は、これまで日本語指導を優先させ、まず日本語指導を行い、その上で教科指導を進めようという考え方が強かった。すなわち、日本語指導と教科指導が切り離されて行われていたのである。言葉だけを取り出した日本語指導では、子どもたちが学習活動に参加できる力を育成するには十分ではない。そうした学ぶ力の育成には、日本語指導と教科指導とを統合的にとらえていく必要があり、そのためのさまざまな支援のあり方を模索しなければならない。その一つの手だてとして、日本語指導と教科指導を統合し、学習活動に参加するための力の育成を目指したカリキュラム開発を行うことにした。これがJSL(Japanese as a second language)、すなわち「第二言語としての日本語」カリキュラム(以下、JSLカリキュラムとする)と呼ぶものである。ただし、JSLカリキュラムは従来型のカリキュラムのように学習項目を固定した順序で配置するものではなく、教師自身が柔軟にカリキュラムを組み立てていくことをねらいとしている。
(中略)
また、JSLカリキュラムにおいては、具体物や直接的体験にもとづいて学習内容の理解を図るようにしている。教科の学習は、一般的に言えば抽象的、概念的な一般命題の学習が中心である。日本語が十分でない子どもたちにとっては、こうした命題理解よりも、具体物や直接体験から学ぶ方が理解しやすい。
(中略)
教師・指導者は、学習を進めていく過程で、子どもたちの日本語の力と学習内容の理解度を常に把握しなければならない。あらかじめ、明確な到達目標を設定し、それをもとに子どもたちを評価するのではなく、一人一人の子どもたちの実態に応じて次の学習課題を提示するための評価、すなわち形成的な評価が必要になる。
JSLカリキュラム開発の基本構想より
1 上記の通り、JSLカリキュラムは、指導の順序を固定しておらず、教師自身が柔軟にカリキュラムを組み立てていく。
2 上記の通り、JSLカリキュラムは、日本語指導と教科指導を統合し、学習活動に参加する力の育成を目指している。
3 上記の通り、JSLカリキュラムは、それぞれの子どもの実態を把握するための形成的評価の必要性を示している。
形成的評価とは、学習を進めていく過程で、宿題や小テストを行い、学習者の理解度を常に把握すること。学習を促すために行う学習者のための評価。
総括的評価とは、あらかじめ設定した到達目標をどのぐらい達成したかコースの最後に期末試験などを行って評価すること。
4 上記の通り、JSLカリキュラムは、具体物や子どもの直接的体験に基づいて、学習内容の理解を図るようにしている。
答えは1
問5 特別の教育課程 正解率63
1 年齢に合わせるように指定されていない。
特別の教育課程の指導内容等について
日本語の能力に応じた特別の指導(以下「日本語指導」という。)には、当該児童生徒の日本語の能力を高める指導のみならず、当該児童生徒の日本語の能力に応じて行う各教科等の指導も含むものであること。(中略)なお、当該児童生徒の受入れに当たって在籍させる学年については、必ずしもその年齢にとらわれることなく、必要に応じて相当の下学年に在籍させることについても配慮すること。
文部科学省 平成26年1月14日 学校教育施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)より
外国人の子供の受入れに際し、特に日本語でのコミュニケーション能力の不足や、日本と外国とで学習内容・順序が異なること等により、相当学年への就学に必要な基礎条件を著しく欠くなど、ただちに年齢相当学年の教育を受けることが適切でないと認められる場合には、学校において以下のような取扱いを講じることが可能であること。
(中略)文部科学省 外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針より
- 一時的又は正式に、外国人の子供の日本語能力・学習状況等に応じた下学年への入学を認めること
2 授業時間数は、当該児童生徒の実態に応じて設定することが認められている○
(Ⅳ)授業時数
年間10単位時間から280単位時間までを標準とする。
※1 授業時数の1単位時間は、学校教育法施行規則別表に定める小・中学校等の1単位時間(45分又は50分)に準じるものとする。
※2 なお、児童生徒の実態に応じて特別の必要がある場合に年間280単位時間を超えて指導することを妨げるものではない。
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
3 日本語指導担当教員は、教員免許が必要
(Ⅲ)指導者
①日本語指導担当教員(主たる指導者):教員免許を有する教員(常勤・非常勤講師を含む)
②日本語指導補助者:日本語指導や教科指導等の補助を行う支援者、子供の母語がわかる支援者
※ ②日本語指導補助者は必置ではない。
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
4 指導者の確保が困難な場合は他校における指導も認めている。
(Ⅴ)指導の形態及び場所
児童生徒の在籍する学校における「取り出し指導」を原則とする。ただし、指導者の確保が困難な場合には、他校における指導も認める。
※ さらに、学校に空き教室がない場合や地理的条件等により学校内に当該指導を行う場所を設けることが困難である場合など、やむを得ない事情がある場合には、一定の要件の下、例外的に、学校外施設における指導も認めることとする。
日本語指導が必要な児童生徒を対象とした「特別の教育課程」の編成・実施について(概要)
答えは2