問1の正答率は90.8
問1の解き方【フェイス】
フェイスについては下の記事をどうぞ
選択肢1
ポジティブフェイスは、他者に好かれたい、認められないというような、他者に近づきたい欲求です(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1)
選択肢2
行為回避は、相手のフェイスを侵害するリスクが高い場合に選択するストラテジーです。リスクが低ければ回避する必要はありません。
選択肢3
フェイスに配慮することは文化に関わらず必要です。どの程度配慮するかは文化によって異なります。
互いのフェイスが傷つきやすい状況下で、合理的行為者なら誰でもフェイス威嚇行為を避けようとするか、あるいはこの脅威を最小化するための何らかのストラテジーを用いるであろう。
ブラウン&レビンソン「ポライトネス 言語使用における、ある普遍現象 Politeness:Some Universals in Language Usage」p89)
選択肢4
フェイスを侵害する度合いの3つの要因は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問5で出題されました。
同じ行為であっても、文化が異なればフェイスを侵害する度合いは異なります。
よって、答えは4
ポライトネス理論が出題された日本語教育能力検定試験の過去問
・令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題14問2【ポライトネス・ストラテジーの一種であるボールド・オン・レコード・ストラテジー(直言)の例】
・令和元年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問3【フェイスを脅かす行為(FTA)に関する記述】問4【ポジティブ・ポライトネス・ストラテジーの例】
・平成29年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題2問4【ネガティブ・ポライトネスが用いられている発話】
・平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問1【フェイスが表す概念】問2【ポライトネス理論】問3【ポジティブフェイスへの配慮の例】問4【フェイスへの配慮よりも伝達の効率性が優先される場合】
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題12問5選択肢3【仲間内の言葉である「キャンパス言葉」はポジティブ・ポライトネス、控えめに表現するためのヘッジはネガティブ・ポライトネス】
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題3問1選択肢4【FTA(Face Threatening Act )】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11問1【ポジティブフェイスとネガティブフェイスとは】問2【ポジティブフェイスの例】問3【ネガティブフェイスに配慮した発話の例】問4【フェイスを脅かさないように配慮することを何というか?】
ポライトネス理論が勉強したい人におすすめの本
ブラウン&レビンソンさんが書いた本が翻訳されているので一番のおすすめです。
高くて分厚いですが本格的に勉強したいなら必須でしょう。
日本語教育能力検定試験に合格するのが目的なら、なくても大丈夫です。
問2の正答率は83.9
問2の解き方【相手に意見を述べる場面で考慮される三つの要素】
フェイスを侵害する度合いの3つの要因は平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13問5で出題されました。
フェイス侵害の度合いは
①相手との力関係(POWER)
②社会的距離(Distance)
③特定の文化内でその事柄が相手に及ぼす負担度(Ranking of Imposition)
で決まります(「ポライトネス 言語使用における、ある普遍現象 Politeness:Some Universals in Language Usage」の監訳者はしがきより)
選択肢1
相手に意見を言うことで生じる自己像への影響は三つの要素に含まれません。
選択肢2
相手に意見を言うことで与える負担の度合いは上の③です。
選択肢3
相手の自分との社会的立場の違いは上の①です。
選択肢4
相手と自分との親しさは上の②です。
よって、答えは1
問3の正答率は78.3
問3の解き方【謙譲語Ⅰの例】
選択肢1
「伺います」は謙譲語Ⅰ
選択肢2
「参ります」は謙譲語Ⅱ
選択肢3
「いたします」は謙譲語Ⅱ
選択肢4
「申します」は謙譲語Ⅱ
よって、答えは1
敬語が苦手な方へ
敬語が苦手な方は、敬語おもしろ相談室の動画を見てください。
YouTube動画で手軽に面白く敬語の基本が学べます。
文化庁が作っている動画なので間違いありません。
敬語おもしろ相談室で満足できなくなった方は「敬語の指針」を読んでください。
問4の正答率53.9
問4の解き方【二重敬語の例】
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば 「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
敬語の指針p30
選択肢1
「案内」の謙譲語「ご案内」
「言う」の謙譲語「申し上げる」
1つの語ではないので二重敬語ではありません。
「言う」を使うべきではないという誤りです。
正しくは
「案内する」の謙譲語「ご案内します」を使って
先生、私がご案内します
選択肢2
「聞く」の謙譲語「伺う」
「くれる」の尊敬語「くださる」
1つの語ではないので二重敬語ではありません。
「伺う」と言う謙譲語を使っているのが誤りです。
正しくは
先生に聞いてくださいますか。
先生にお聞きになってくださいますか。
先生にお尋ねになってくださいますか。
先生にお聞きくださいますか。
先生にお尋ねくださいますか。
選択肢3
「言う」の尊敬語「おっしゃる」
「言う」の尊敬語「言われる」
「おっしゃる」➕「言われる」=おっしゃられる
1つの語に2つの敬語を使っているので二重敬語です。
正しくは
先生がおっしゃいました
選択肢4
「話す」の尊敬語「お話しになる」
「〜ている」の尊敬語「〜ていらっしゃる」
1つの語ではないので二重敬語ではありません。
よって、答えは3
問5の正答率は88.5
問5の解き方【語用論的指導】
語用論的指導とは、場面や相手に応じて適切な言葉を使えるように指導すること。
選択肢1
「社会的・状況的文脈の関係」について気づきの機会を与えることで、場面や相手に応じて適切な言葉を使えるようになるので、語用論的指導と言えます。
選択肢2
学習者の発話意欲を向上させることは、語用論的指導とは関係がありません。
選択肢3
「対人関係を考えて相手に配慮することのバランスを意識させる」ことで相手に応じて適切な言葉を使えるようになるので、語用論的指導と言えます。
選択肢4
語用論的規範とは、場面や相手に応じた適切な言葉の使い方なので、これらを明示的に教えることは語用論的指導と言えます。
よって、答えは2