令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Bの正答率
大切な問題とそうじゃない問題を知るために正答率を分析している動画はこちら
令和3年度本試験当日答えをGoogleフォームに記入した方へ
あなたの答えを書いて送信した後、「前の回答を表示」を選択すれば、すべての問題について上のようなグラフが見られるようになっています。
(6)の解き方【「動き」を表す動詞の例】
動詞の分類について最も詳しくまとまっているのは現代日本語文法③p103です。お持ちの方は付箋を貼っておいてください。
1 含む
含むとは、含有すること。
動きはありません。
2 あった
あったは、過去の存在を表します。
動きはありません。
3 読める
読めるは、読むことができるという能力を表します。
動きはありません。
なお、「読む」は動きを表します。
4 褒める
褒めるとは、高く評価していると、口に出して言うこと(スーパー大辞林3.0より)。
動きを表します。
よって、答えは4
この問題は正答率53%なので間違えてOKです。
(7)の解き方【動作名詞(動名詞)の例】
動名詞とは、英文法などで、文法的に動詞の性質を残しながら名詞としてふるまう語。英語ではingという語尾をもつ(スーパー大辞林3.0より)
日本語で動作名詞(動名詞)といえば、「~する」と組み合わせて、3グループの動詞(サ行変格活用動詞)になります。
「勉強」「旅行」「ドライブ」「メモ」のように、それ自体は名詞として用いられるが、「する」をつけると「勉強する」「旅行する」「「ドライブする」「メモする」というスル動詞として用いられるものを、動作名詞という。
現代日本語文法①p105より
1 火事する ×
2 大会する ×
3 感覚する ×
4 意味する 〇
よって、答えは4
意味とは、ある表現・行為・物事などのもつ内容を表すこと(スーパー大辞林3.0)。
この問題は正答率39%なので間違えてOKです。
(8)の解き方【形容詞】
選択肢1
形容詞は程度副詞に修飾されます(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p40)。
程度副詞が形容詞を修飾している例:とてもかわいい
選択肢2
アスペクトの対立があるのは動詞です。
アスペクトについて詳しくは下の記事をどうぞ
アスペクトについて本気で勉強したい方には「現代日本語文法③第5部アスペクト」がおすすめ。
選択肢3
接続助詞は、前後の節(述語を中心としたまとまり)を接続する。
接続助詞が形容詞に後接する例:ネコがかわいいので、家を出たくない。
接続助詞については日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p45参照。
選択肢4
モダリティについて詳しくは下の記事をどうぞ
モダリティ表現が形容詞に後接する例:あの猫はかわいいに違いない
よって、答えは1
この問題の各選択肢の意味が理解でいなかった人は上記のブログあるいは本で勉強してください。
落としてはいけない問題です。
(9)の解き方【二つ以上の品詞にまたがるもの】
品詞の見分け方は下の記事をどうぞ
後ろに名詞をつけてみます。
1 光の教団
「光」は名詞
2 嘘の報告
「嘘」は名詞
3 幸せのパンケーキ、幸せな結婚
「幸せ」は名詞、ナ形容詞
4 学習のすすめ
「学習」は名詞
よって、答えは3
他には「自由」なども二つ以上の品詞にまたがるものです。
自由の女神、自由な人
類似の問題が平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3D(18)で出ていますので見ておいてください。
(10)の解き方【その品詞としての典型的な意味を表さないために話し言葉では活用に揺れが生じている語】
問題文にヒントがあります。
「動詞は典型的には「動き」を表し」
「行く」「曲がる」「落とす」は動きを表します。
「違う」は「動き」を表しません。
そのため、「違くない」「違かった」「違くて」など、話し言葉では形容詞のように活用する人が増えています。
よって、答えは1
詳しくは、NHK放送文化研究所 最近気になる放送用語「違くない?」をどうぞ。
なお、類似の問いが平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B(10)選択肢1にあります。
なお、「曲がる」の特殊性について知りたい方は「現代日本語文法③p101~4.3 用法としての状態動詞」をどうぞ。