令和3年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題11の正答率
問1の解き方【和製英語】正答率57.3%
正答率57.3%なので間違えても大丈夫ですが、これからの日本語教師にとっては外国語学習の重要性が増していくと思いますので、これを機会に英語の勉強もどうでしょう。
各選択肢の下線部をウィズダム和英辞典で調べてみます。
1 バリケード
a barricade
2 パネラー
a panelist
3 スキャナー
a scanner
4 モチベーション
a motivation
よって、答えは2
問2の解き方【尊敬語と謙譲語を混同する例】正答率55%
正答率55%
敬語は日本人にとっても難しいですが、日本語教師には必須の知識なのでしっかり理解したい。
1 先生の妻はお元気ですか
「妻」は自分の配偶者に対して言います。
自分の配偶者への言い方と相手の配偶者への言い方を混同した例です。
2 貸してさしあげましょうか
「さしあげる」は謙譲語です。
ですが上の人に対して、自分の行為に恩恵表現(「〜てあげる」「〜てさしあげる」)を使えるのは偉そうです。
「~てあげる」「~てさしあげる」は使わなくていいと私は学習者に伝えています。
恩恵表現について詳しくは下の記事をどうぞ。
3 お座ってください
尊敬語で相手に行為を勧める時は、「座ってください」というテ形ではなく「お座りください」というマス形を使うべきです。
4 ご兄弟は3人おりますね。
「おります」は謙譲語です。
ですが、先生の家族の話なので謙譲語ではなく尊敬語の「いらっしゃる」を使うべきです。
よって、答えは4
敬語が苦手な方へ
日本語教育能力検定試験に敬語問題の元ネタは「敬語の指針」ですがいきなり「敬語の指針」は難しいので挫折の恐れがあります。
そこでまずは「敬語おもしろ相談室」のYouTube動画を全部見てみてください。
これより分かりやすく面白くまとまっている動画を私は知りません。
せっかく文化庁さんが税金をかけて作ってくれていますので大いに利用しましょう。
問3の解き方【国、地域による非言語行動の違い】正答率49.5%
正答率49.5%
知っているかどうかの単に知識を問う問題なので間違えても気にしないでください。
私も間違えました。
ブラジルでは人差し指と親指で丸い形を作ると
「危険な自分をアピールするハンドサイン」
になるそうです(【危険度別】海外で外国人にやってはいけない9のハンドサイン。日本語教師に聞いてみたより)。
よって、答えは4
試験テクニックとしては
選択肢4のジェスチャーは日本でOKサインとしてよく使うもの。わざわざ問題に出すのだから意味が違うのだろうと考えて4を選ぶこともできます。
本試験でなぜか私は1を選んじゃいましたが。
こんな記事も。
問4の解き方【日本語会話の特徴】正答率90.4%
正答率90.4%
落としたくない問題です。
選択肢1
A:今日はいい天気ですね。
B:そうですね。明日も晴れるかしら。
A:どうかなあ。ちょっと天気予報を見てみようかな。あ、明日は一日中雨ですよ。
B:そうですか。じゃあ、明日のイベントは中止ですよね。
上記会話のとおり、日本語では心的態度を表す多様な終助詞が用いられます。
日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版ではp46
選択肢2
学生:(先生に対して)あなた! ちょっといいですか。
上位者への呼びかけに二人称代名詞を使うのは明らかに変です。
選択肢3
下の動画でも比較しているとおり、日本語では共話の形式でやり取りが進行することが多いです。
選択肢4
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題13で登場した高コンテクスト文化と低コンテクスト文化のことですね。
日本語会話は高コンテクストであり、言葉で表される内容よりコンテクストに依存すると言われています。
ただし、最近は「日本人はハイ・コンテクスト文化、○○人はロー・コンテクスト文化」論にまつわる誤解などの批判もありますので見ておいてください。
よって、答えは1
日本語の方言と中国語・英語を比較しているおもしろ動画
下の動画の22:08~「しいていえば主語は空気」から日本語会話の特徴である「共話」について話しています。
歴史を面白く学ぶコテンラジオ_COTEN RADIOは今一番大好きなYouTubeチャンネルです。
面白くて勉強になる動画ばかりなので、日本語教育能力検定試験勉強の息抜きにどうぞ。
こちらもおすすめ
問5の解き方【フォリナートーク】正答率92.7%
フォリナー・トークとは、目標言語の母語話者が非母語話者に使う、簡略化された言語(平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問6)です。
母語話者が学習者の言語理解を助けるために用います。
よって、答えは3
フォリナートークについては下の記事をどうぞ
フォリナー・トークが登場した日本語教育能力検定試験の過去問
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題16問5【フォリナー・トークに関する記述】
・平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8問6【フォリナー・トークの説明】