試験Ⅱの問題3は発音上の問題点です。
問題2はアクセントやイントネーションなど単語や文レベルの発音の誤りでしたが
問題3は1つの音の誤りを判断します。
問題3の詳細な対策については別の記事でまとめています。
ご覧ください。
問題3を解くために最低限必要な知識
1番~3番では口腔断面図が出てきます。
下記の動画でまず口腔断面図を勉強する必要があります。
赤本の第五版だとp483に口腔断面図があります。
慣れないうちは口腔断面図の一覧を見ながら問題を確認してください。
4番から8番は調音用語
4番~8番では調音に関する用語が出てきます。
各用語の意味を理解しておかなければなりません。
まだ理解していない方は下記の動画で勉強してください。
赤本の第五版だとp462以降に調音に関する説明があります。
上の動画を見た後に、赤本の該当ページを読み込んで
理解を深めてください。
問題3の考え方
問題3は、教師が言い直したところが答えです。
教師が言い直した後に、学習者はもう一度間違えてくれます。
ですから、どこが間違いかはわかりやすいです。
難しいのはそれがどんな間違いか選択肢から選ぶこと。
問題3はリスニングというより知識を問う問題です。
試験Ⅱ聴解問題の中で、事前準備が最も大切です。
知識がなければ解けないし
知識があればリスニングが苦手な人でも満点がとれます。
聴解問題3は事前に勉強しなければならないことが多いですが
勉強が結果に表れやすい問題なので、やりがいがあります。
しっかりがんばりましょう。
1番 でぃほん
解き方
聴解問題3の説明が56秒
例の問題が1分13秒あります。
この間に、1番~3番の口腔断面図をざっと確認しましょう。
確認ポイントは
①のどの上が開いているか(開いていたら鼻音)
②舌や唇などがどこかにくっついているか(くっついていたら破擦音、破裂音)
口腔断面図を確認しましたか?
では聞いてみましょう。
「にほん」を「でぃほん」と発音しています。
「に」 は[n]有声歯茎硬口蓋鼻音
「でぃ」は[d]有声歯茎破裂音
①歯茎なので、舌が歯茎の後ろにあるaかd
②破裂音なので、舌が普通にくっついているd
よって、答えはd
各選択肢の発音
なお、舌が反り返っているaは[ɾ]有声歯茎弾き音(ラ行の音)です。
このラ行音の口腔断面図は試験によく出るのでこの形をしっかり覚えましょう。
- a 歯茎弾き音:ラ行
- b 歯茎鼻音:ナヌネノ
- c 歯茎硬口蓋摩擦音:シジ
- d 歯茎(口蓋化あり)破裂音:ディ
2番 ちゅうちゅう
解き方
「しゅうちゅう」を「ちゅうちゅう」と発音しています。
「しゅ」は[ɕ]無声歯茎硬口蓋摩擦音
「ちゅ」は[tɕ](日本語教育能力検定試験では[ tʃ]で表記されることがあります)]
無声歯茎硬口蓋破擦音です。
①歯茎硬口蓋なので、舌が真上より前に盛り上がっているb,c,d
②破擦音なので、舌が上にくっついていて、喉の奥の上が開いていないものを選びます。
よって、答えはb
各選択肢の発音
- a ?
- b 歯茎硬口蓋破擦音:チ
- c 硬口蓋摩擦音:ヒ
- d 歯茎硬口蓋鼻音:ニ
3番 ヌース
解き方
「ニュース」を「ヌース」と発音しています。
「に」は[n]有声歯茎硬口蓋鼻音
「ぬ」は[n]有声歯茎鼻音です。
①歯茎なので、舌が歯茎の後ろにあるaかd
②鼻音なので奥の上が空いているa
よって、答えはa
赤本の第五版だとp478に日本語の音声記号の表があります。
この表を見ると、イの段の子音が後ろにずれているのがわかりやすいかと。
各選択肢の発音
- a 歯茎鼻音:ヌ
- b 軟口蓋鼻音:カ゜行(ガ行鼻濁音)
- c ?
- d 歯茎破裂音/歯茎破擦音:トド/ゾ
- ※平成30年度1番cの口腔断面図と比較して、舌の奥が盛り上がっているのでオ段と判断
4番 ねています
この発音の誤りは聞き取りづらいですね。
ただ教師が「にています」と言い直しているので、ここに間違いがあるのだろうと考え、2回目を聞くと…
「にています」を「ねています」と発音しています。
「に」=[ ɲ ]有声歯茎硬口蓋鼻音+[ i ]非円唇前舌高母音
「ね」=[ n ]有声歯茎鼻音+[ e ]非円唇前舌中母音
歯茎硬口蓋が歯茎になっているので、調音点が違います。
また、高母音が中母音になっているので、舌の高さも違います。
よって、答えはc
5番 いとこと
「ひとこと」を「いとこと」と発音しています。
「ひ」[hi]の子音[h]が脱落したら「い」[i]になります。
よって、答えはb
6番 からい
「からい」を「からい」と発音しています。
ん? 間違いがない…?
こういうときは「ら」に注目。
英語のLやRのように外国にはいろいろな「ら」行の音があることを思い出しながら2回目を聞いてみると…
学習者は巻き舌のような「ら」になってはいまいか?
そう。
日本語の「ら」は[ ɾ ]有声歯茎弾き音
学習者の「ら」は[ r ]有声歯茎震え音
同じ「ら」でも調音法が違います。
よって、答えはc
7番 アレルジー
「アレルギー」を「アレルジー」と発音しています。
「ぎ」は[g]有声軟口蓋破裂音
「じ」は[dʑ](日本語教育能力検定試験では[dʒ]で表記されることがあります))
有声歯茎硬口蓋摩擦音
軟口蓋が歯茎硬口蓋になっているので調音点が違います。
また、破裂音が摩擦音になっているので調音法も違います。
よって、答えはc
8番 マイト
「バイト」を「マイト」と発音しています。
「ば」は[b]有声両唇破裂音(ゆうせいりょうしんはれつおん)
「ま」は[m]有声両唇鼻音(ゆうせいりょうしんびおん)
破裂音が鼻音になっているので調音法が異なります。
よって、答えはc