H29(2017年度)日本語教育能力検定試験 試験Ⅰの問題1の(5)は【借用における文法形式の脱落】です。
借用における文法形式の脱落?
借りて使ったら、文法形式の何かが抜けたということか。
選択肢を見てみると、外来語ばかり。
ははーん。元の言葉を考えてみよう。
というわけで、各選択肢の元の言葉を考えてみます。
1 マッシュポテト(mashed potato)
2 シフォンケーキ(chiffon cake)
3 スモークチーズ(smoked cheese)
4 アイスコーヒー(iced coffee)
5 スクランブルエッグ(scrambled eggs)
1,3,4,5は、「された」という意味を表す受身形(受動態)の”ed”が脱落していますが(マッシュドポテトではなくマッシュポテト)、シフォンケーキに文法形式の脱落はありません。
よって、答えは2です。
借用とは、借りて用いること
借用語とは、他の言語から別の言語に取り入れられた言葉のこと。
試験勉強を日本語教師の仕事につなげよう
最近、カタカナ語が増えています。スポーツ選手をアスリートと言ったり、お菓子をスイーツと言ったり。
これが外国人学習者を苦しめています。
ある程度、漢字を勉強した学習者は、漢字の便利さを知っています。
漢字の意味を知っていれば、その単語の意味を知らなくても推測することができる。
私は新出語を扱う時、いつもこのことを学習者に伝えています。
例えば、
新完全マスターN3文法p24をやるときに、学習者が「反面は何ですか?」と聞いてきたら、私「反」の漢字はわかりますか?
と聞きます。「反対」という言葉を知っている人は多いので、そこから、意味を推測できる学習者もいます。
漢字を知らなければ、漢字の意味だけ説明して、単語の意味を推測してもらいます。
ところが、カタカナでできた外来語は漢字から推測ができません。
カタカナを見ても、借用元の言葉が思い浮かばない学習者は多いです。
(元の言葉を伝えたら、驚いたり、笑ったりします)
元の言葉に近づけて発音すれば理解してくれるでしょう。
本問のように、元の言葉を知っていれば、日本語を教える時に役立ちます。