【過去問解説】平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5【2016】授業の振り返り

H28試験Ⅲ
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問1の解き方【話し合いを活性化するための方法】

選択肢1

ゴールが明確だと話し合いは活性化します。

選択肢2

レベルが簡単すぎても難しすぎてもつまらないです。

選択肢3

クラス全体だと発言する人が限られてしまいます。

選択肢4

自由に発言すると活性化する時と活性化しない時が運に左右されてしまいます。

よって、答えは1

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問2の解き方【スキャフォールディング】

スキャフォールディングは一人ではできないときにできるようサポートしてあげること。

一人では適切な言葉が思い浮かばなかったので、適切な言葉を言えるようサポートしている選択肢を選びます。

選択肢1

繰り返し言わせているだけでサポートはありません。

選択肢2

言えるようにサポートしていません。

選択肢3

それは学生が言いたかったことではありません。

選択肢4

学生が言いたかった「格差が大きい」を言えるように「格差」という言葉を出してサポートしています。

よって、答えは4

スキャフォールディングについては下の記事をどうぞ

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問3の解き方【不安や緊張】

選択肢1

不安や緊張はインプットにも影響します。

情意フィルター仮説を思い出しますね。

×

選択肢2

教師がプレッシャーをかけたら不安や緊張は増します。

×

選択肢3

教室外でも外国語を話そうとすると不安や緊張で話せなくなるときはあります。

×

選択肢4

適度や不安や緊張は、「やらなきゃ!」という動機づけにつながります。

よって、答えは4

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問4の解き方【ジャーナルの活用法】

ジャーナルと言われたらジャーナリストが思い浮かびます。

ジャーナリストは何をする人?

新聞や雑誌などを書く人。

journalをウィズダム英語辞典で調べてみると

①専門誌、定期刊行物、会報、新聞

②日記、日誌

ポイントは「書くこと」のようです。

よって、答えは2

ジャーナル・アプローチについては下の記事をどうぞ

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問5の解き方【自己研修型教師に求められる姿勢】

明らかに1つ変なのがあるので知識なしで解ける問題です。

選択肢3

熟練教師の授業を忠実に模倣しても劣化コピーになるだけです。人類は発展を続けており、言語教育に関しても新しいやり方が常に生まれています。例えば、zoomレッスンは、コロナ前はほとんどの人がしていませんでした。昔に学びつつも新しいことも取り入れていかなければなりません。

よって、答えは3

自己研修型教師についてもっと知りたい人は日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版p240をどうぞ。

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以下は日本語教師になる前に書いた解説です。

※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。

平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題5は【ある地域の日本語教室の学習者グループのニーズ・レディネス】でした。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題5は【授業の振り返り】です。

問1 話し合いの授業を活性化するための方法に関する問題です。
1,「身近な問題を解決する」など、話し合いのゴールを 明確にすると、活性化すると思います。

2,レベルが高すぎると話し合いに参加できません。レベルが低すぎると興味が湧きません。

3,クラス全体で話し合うと、参加しない(できない)人が増えますので、小グループにしたほうが個々の意見を尊重できると思います。

4,活動のステップを定めたほうが、話すことが明確になり、話し合いが活性化すると思います。

よって、正解は1と思料します。

問2 適切な言葉が思い浮かばない学生への「スキャフォールディング」に関する問題です。
スキャフォールディング(足場かけ)とは、独力では無理な場合に援助してあげることですので、正解は4と思料します。

問3「不安や緊張」に関する問題です。
4,適度な緊張が集中力を高めたりもしますので、4が正解だと存じます。

問4「授業の振り返り」の方法の一つである「ジャーナル」の活用法に関する問題です。
研究社日本語教育事典241Rによると、
ジャーナルというのは、学習者教師が言語学習の過程を記録した日記のようなものである。学習者が言語活動の記録だけではなく、疑問や意見、感想等を書くことによって、教師は学習者の心理的変化の過程を知ることができ、自らの教え方を内省することができる。また、ジャーナルを通じて相互交渉を重ねることで、学習者と教師双方が相手の視点に立って物事を捉えられるようになり、互いにラポール(信頼関係)を確立していくことができる。」

よって、
1「立場が違う物との言葉のやり取りを通じて授業の改善方法を見出していく。」が正解であると考えました。

ところが、です。
アルクさんと大原さんは共に、正解を2としています。
また、やってしまった!

しかし、理由がわかりません。
私は日本語教育に携わったことがないため、 実際のジャーナルを見たことはありません。モジュール型教材の時と同じように、言葉の意味を知っているだけなので不安です。自分の想像が間違っているのでしょうか。
グーグル先生にお尋ねしたところ、「振り返りジャーナルを始めよう!」というブログ記事を教えていただいたのですが、そこでも、学習者と教師の書面によるやりとりが行われているようです。
どうして正解が2になるのか、分かりません。 
ジャーナルの経験者さんはいらっしゃいませんか?

追記 2017/2/5
申し訳ございませぬ。私が誤っておりました。詳しくは下記記事のコメント欄をご参照ください。

試験Ⅲ問題5の問4、私は消去法で「2」を選択しました。選択肢1は「(ジャーナルは、日本語教師が)立場が違う者との言葉のやり取りを通じて授業の改善方法を見いだしていく(ための手法である)。」となるかと思います。私は、選択肢1の文章に、以下のような違和感を覚えました。

「立場が違う者」⇒学習者と表現しなかったのは何故か?

「言葉のやり取りを通じて」

⇒書く、記述といった表現がないことから「話し言葉」も含まれてしまうのではないか?

⇒この選択肢ではないのではないか?

⇒選択肢2には「書く」が含まれている。書かれている内容も、特に誤りはなさそうだ。

⇒ここは2を選ぼうこうなりました。

調べてみると、ジャーナルも色々あるようですね。

・学習者に書かせた記録を指導者集団が読み合い、分析することで指導方法などの情報交換を行う。

・学習者にジャーナルを書かせ、指導者がコメントを書き加える。学習者は指導者に自分のことを直接伝えられる。また、指導者も現状を把握することができる。

・ジャーナルを書くことにより、書き手が自己内省を行う。

おおよそ、こんな感じだったかと思いますが、いずれにせよ、「書く」という表現がポイントになってくるのかもしれないと私は思っています。確実な根拠を述べるには至りませんが、いかがでしょうか。

アルクも大原もヒューマンアカデミーも解答同じだけど疑問がある問題

問5「自己研修型教師」に求められる姿勢に関する問題です。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』190頁によると、
自己研修型教師は、常に自身の教育姿勢の振り返りをしながら成長を目指します。

そのためには、
学習者の学習過程と結果を観察し(選択肢1)、
自分自身の言語教育観を認識し(選択肢2)、
既存の教授法を批判的に検討する姿勢(選択肢4)
が求められます。

熟練教師の授業を参考にはするべきですが、忠実に模倣する姿勢(選択肢3)は必要ではありません。
ロボットではないので、完璧なコピーは不可能です。
うまくいく自分なりのやり方を、自分で見つけなければなりません。

よって正解は3です。 

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