訪日外客数と在留外国人数は試験に最も出る時事問題です。
詳しくは下の記事をどうぞ
問1の解き方【受け入れ環境整備の例】
ムスリム旅行者の食事や礼拝に対する習慣やニーズをもとに、「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成しております。
訪日外国人旅行者の受入環境整備より
よって、答えは2
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題15問3でも同種の問題が出ていますので見ておいてください。
問2の解き方【在留外国人の出身国・地域ランキング】
在留外国人の統計はこちら
2015年12月末現在の在留外国人数の出身国・地域の1位、2位、3位の組み合わせは以下の通りです。
順位 | 出身国・地域 | 人数 |
---|---|---|
1 | 中国 | 665847 |
2 | 韓国 | 457772 |
3 | フィリピン | 229595 |
4 | ブラジル | 173437 |
5 | ベトナム | 146956 |
よって、答えは3
なお、2020年12月末現在は以下の通りです。
順位 | 出身国・地域 | 人数 |
---|---|---|
1 | 中国 | 778112 |
2 | ベトナム | 448053 |
3 | 韓国 | 426908 |
4 | フィリピン | 279660 |
5 | ブラジル | 208538 |
上位10か国・地域のうち,ベトナムのみが増加(対前年末比3万6,085人(8.8%)増)となりましたが,他の9か国・地域ではいずれも対前年末比で減少となりました。
また,ベトナムが韓国に代わって第2位となりました。
令和2年末現在における在留外国人数について
なお、上記の統計では「在留外国人」の統計と「総在留外国人」の統計がありますが、違いは以下の通りです。
問3の解き方【在留資格】
法務省の在留資格一覧表が分かりやすいので引用します。
選択肢1
演劇、演奏、スポーツなどの活動を行う者は「興行」です。
選択肢2
日本語学校などの日本語教育機関に在籍しているものは「留学」です。
「就学」は平成22年改正でなくなりました。
平成22年7月1日から施行された改正事項のうち、専修学校及び各種学校における外国人生徒の受入れに関するものは、次のとおりであること。(1)在留資格「留学」と在留資格「就学」の一本化について外国人留学生の安定的な在留のため、在留資格については、「留学」と「就学」の区分をなくし、「留学」の在留資格へと一本化すること。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1304830.htm
選択肢3
技能習得のために雇用契約を結び業務に従事する者は「技能実習」です。
選択肢4
定住者は、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者です。
定住者の該当例は「日系3世、外国人配偶者の連れ子など」です。
来日して5年以上住んだからといって定住者になれるわけではありません。
よって、答えは1
問4の解き方【『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案】生活上の行為の事例
『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案とは、在住外国人が生活基盤を形成するために必要不可欠な生活上の行為の事例をまとめたカリキュラムです。
詳しくは、文化庁国語科が運営している日本語教育コンテンツ共有システムNEWS「カリキュラム案5点セット」のカリキュラム案あるいは5点セットを分かりやすく短くまとめた小冊子(ハンドブック)をご覧ください。
選択肢1
3.能力記述
5点セットでは,それぞれの生活上の行為の事例について,日本語でできるようになるために必要な具体的な行動達成目標を「能力記述」とし,その内容を「~できる」という形式で示しています。
例えば,「警察(110番)に電話する」という生活上の行為の事例では,「住所や電話番号などを伝えることができる...」「起こったことを順序立てて説明ができる...」「警察官の質問や指示を理解し,適切な受け答えができる...」などを能力記述として挙げています。
なお,「能力記述」という用語は「キャンドゥーステートメンツ(can-do-statements)」の訳として用いています。
ハンドブックp3より
選択肢2
「生活上の行為を行う上で必要となる社会・文化的情報(地震や台風,電気・ガス・水道の使用開始に関する手続きなどの情報:p.94~98)」を取り上げています。
ハンドブックp9より
選択肢3
参考として,来日間もない外国人が,その生活基盤を確立する上で必要となる日本語学習の時間について検討し,標準的なカリキュラム案全体に当たる30単位を60時間とし,それを必要最低限の時間数の目安とした。これは飽くまでも各地域で開設する日本語教室等において必要な時間数を検討する際の目安であり,各地域においてはそれぞれの実情に応じた時間設定が求められる。
カリキュラム案 p5より
選択肢4
学習順序については,各地域において,標準的なカリキュラム案で示されている生活上の行為の事例の順序に従って教室活動が行われることを必ずしも想定していない。個々の生活上の行為の必要度は,地域や学習者の状況により異なること,さらに,学習者によっては既にある程度の生活上の行為は日本語で行うことができるであろうということを踏まえ,各地域において設定すべきものであると考えている。
カリキュラム案p5より
「簡単な言語行為から」ではなく「個々の生活上の行為の必要度に応じて」各地域において設定すべきとされています。
よって、答えは4
令和2年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5では【『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案を参考に行う授業】 が出題されており、<資料>授業の概要が参考になりますので見ておいてください。
問5の解き方【外国人労働者の2014年時点での状況】
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成26年10月末現在)が元ネタと思われます。
選択肢1
労働者派遣・請負事業を行っている事業所は 15,116 か所、当該事 業所で就労する外国人労働者は 178,802 人であり、それぞれ事業所全体の 11.0%、外国人労働者全体の 22.7%を占めている。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(本文)p1より
選択肢2
平成 26 年 10 月末現在、外国人労働者を雇用している事業所数は 137,053 か 所であり、外国人労働者数は 787,627 人であった。これは平成 25 年 10 月末現 在の 126,729 か所、717,504 人に対し、10,324 か所(8.1%)の増加、70,123 人 (9.8%)の増加となった。外国人を雇用している事業所数、及び外国人労働者数 ともに平成 19 年に届出が義務化されて以来、過去最高の数値を更新した。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(本文)p1より
選択肢3
産業別 にみると、「製造業」が 26.4%を占め、次いで「卸売業、小売業」が 16.6%、「宿泊業、飲食サービス業」が 14.0%、「サービス業(他に分類されない もの)4」が 7.8%となっている。 製造業の事業所の占める割合は前年と比べ減少している一方、宿泊業・飲食サー ビス業や卸売業、小売業は増加している。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(本文)p4より
選択肢4
事業所規模別にみると、「30 人未満」規模の事業所が最も多く、事業所全体の 54.6% を占める。 事業所数はどの規模においても増加しており、特に、「30 人未満」規模の事業所で は前年同期比で 9.6%の増加であり、最も大きな増加率となっている。
「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(本文)p5より
よって、答えは4
最新の「外国人雇用状況」の届出状況についてはこちらから確認してください。
以下は日本語教師になる前に書いた解説です。
※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題16は【在留外国人への多言語情報提供】です。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅲの問題16は【訪日外客と在留外国人】です。
問1 日本政府は訪日外客受け入れ環境の整備を進めている。その例を選ぶ問題です。
本試験で、私は2を選択しました。
1の外国人客急増に伴う「無資格ガイド」規制緩和という話は耳にしていましたが、外国人通訳案内士を政府が採用するという話はなかったはずので、まず、選択肢1を切りました。
4の短期滞在者向けのサバイバル日本語教室の開設という話も、もし実現していたら耳にしているだろうと思い、選択肢4を切りました。
なお、サバイバル日本語については、國頭あさひ『短期留学生のためのサバイバル日本語教育』が詳しいです。それによると、
サバイバル日本語とは、
1) 日本での生活で最低限のやりとりに関わるもの
2) その場を切り抜けるためのもの
3) 日常生活の場面に役立つもの
4) 日本語の学習は短期間で終了するもの
です。
問題は、2か3かでした。
医療滞在ビザについては全く知らないので、政府が身元保証機関リストを作成しているかも分かりません。
ムスリム対応が大事だという話は最近聞きますが、政府が礼拝・食事施設情報の提供までしているかは分かりません。
悩んだ末に、
2を選びました。
現在、解答速報を出している
アルクさん、大原さん、ヒューマンアカデミーさん
いずれも正解を2としているので、安心しました。
そしてこの解説を書くために、
政府が、ムスリム向けの礼拝・食事施設情報の提供をしているウェブサイトを探したのですが見つかりません。
文化庁のムスリムおもてなしガイドブックは見つかりました。
食事や礼拝の対応を説明しているムスリム観光客おもてなしのための無料ガイドブックまとめという素晴らしいブログ記事も発見しました。
しかしそのブログにも、
日本政府が、ムスリム向けの礼拝・食事施設情報の提供をしている、との記載はありません。
不安を覚えつつ、
「身元保証機関リスト 医療滞在ビザ」
でググりました。
ありました。
経済産業省のサイトから引用します。
「2010年6月「新成長戦略」において、「医療滞在ビザ」を創設することが閣議決定され、外国人患者の受入環境を整備するため、病院・診療所の指示による行為を目的に渡航する患者等(同伴者を含む)に対しての医療滞在査証が、平成23年1月に創設されました。医療滞在査証の発行時には、登録された旅行会社及び医療コーディネーター等が身元保証機関として患者の身元保証を行うこととなっております。」
上記サイトには、「医療滞在ビザの身元保証機関登録申請書」が用意されています。
この書類に従って登録申請すれば、政府(経済産業省)の手元には、
医療滞在ビザ取得用の身元保証機関リストができあがります。
というわけでこの問題、
正解は3だと思うのです。
追記 2017/2/5
申し訳ございませぬ。私が間違っておりました。詳しくは下記記事のコメント欄をご参照ください。
問2
この記事で書きましたように、在留外国人の出身国・地域のランキングは、
(1)中国 665,847人 (構成比29.8%) (+ 1.7%)
(2)韓国 457,772人 (構成比20.5%) (- 1.7%)
(3)フィリピン 229,595人 (構成比10.3%) (+ 5.5%)
(4)ブ ラ ジル 173,437人 (構成比 7.8%) (- 1.1%)
(5)ベ ト ナム 146,956人 (構成比 6.6%) (+47.2%)
なので、正解は3です。
問3
入国管理局の在留資格一覧表によると、
1,興行は「演劇,演芸,演奏,スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。)」
2,就学は留学に一本化されましたので、日本語教育機関に在籍している者も留学です。
留学は「本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期過程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期過程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制 に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動」
3,技能実習生の在留資格は「技能実習」です。
研修は「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(この表の技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。)」
4,定住者は「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」
定住者の該当例は「第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等」
以上より、1が正解です。
問4 文化庁が策定した「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」の「生活上の行為の事例」に関する記述として不適当なものを選ぶ問題です。
平成23年度と平成24年度にも出題されています。好きですねえ。
関連資料のリンクはこちらにまとめてあります。
『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案(以下、案といいます)をみると、
1,「目的地への行き方を尋ねる」のような能力記述文で示されています。
2,
「まず,学習項目の検討を行う前提として,学習者が日本語で行うことが期待される生活上の行為の事例の整理・選択を行った。次に,選択した個々の生活上の行為の事例に対応する学習項目の要素と社会・文化的情報について記述を行った。」(案2頁)
3,
「来日間もない外国人が,その生活基盤を確立する上で必要となる日本語学習の時間について検討し,標準的なカリキュラム案全体に当たる30単位を60時間とし,それを必要最低限の時間数の目安とした。」(案5頁)
4,
「来日間もない外国人が生活上の基盤を形成する上で必要な生活上の行為の事例の第一段階を取り上げ,それに対応する学習項目の要素を記述・整理」
「学習者のニーズ等に応じて,必要な部分を選択し,かつ,任意の順序で学習することを想定したものであり,すべての事例を掲げられている順序で取り上げることを想定していない」(案11頁)
すなわち、簡単な言語行為から段階を追って学習できるように配置されているわけではありません。
以上より、正解は4です。
問5
「外国人労働者」の2014年時点での状況については、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成26年10月末現在)が詳しいです。
1,外国人労働者のうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労しているのは、17万8,802人(外国人労働者全体の22.7%)です。
2,外国人労働者数は過去最高の数値を更新しましたが、78万7,627人です。
3,産業別 にみると、「製造業」が 26.4%を占め、次いで「卸売業、小売業」が 16.6%、「宿泊業、飲食サービス業」が 14.0%、「サービス業(他に分類されない もの)4」が 7.8%となっています。
4,「30人未満事業所」が最も多く、事業所全体の54.6%、外国人労働者全体 の33.9%を占めています。
よって、正解は4です。