問1の解き方
言語は人の認知過程に決定的な影響を及ぼすというのがサピア・ウォーフの仮説の強い仮説です。
よって、答えは3
問2の解き方
1 「雲」の名称には形状に応じた語彙はありますが、複合語です。
例)積乱雲
2 「牛」の名称には家畜としての用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例)乳牛
3 「魚」の名称には成長過程に応じた語彙があり、単純語です。
例)ハマチ→ブリ
4 「火」の名称には用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例) 焚き火
よって、答えは3
単純語と複合語の違いについては下の記事をどうぞ
問3の解き方
日本語と英語で単純語レベルで同じ区別か検討します。
1 世代の上下関係で区別する「母」と「娘」
日本語は「母」と「娘」
英語は「mother」と「daughter」
どちらも違う言葉で区別されています。
2 血族(血がつながっている)・姻族(婚姻でつながっている)で区別する「母」と「義母」
日本語は「母」と「義母(ぎぼ)」
英語は「mother」と「mother-in-law」
母になんかついているので同じ
3 性別で区別する「息子」と「娘」
日本語は「息子」と「娘」
英語は「son」と「daughter」
どちらも違う言葉で区別されています。
4 年齢の上下関係で区別する「兄」と「弟」
日本語は「兄」と「弟」
英語は「elder(older) brother」と「younger brother」
日本語は違う言葉なのに、英語は同じ言葉です。
よって、答えは4
英語では特に必要のない限り, 兄弟姉妹のことを言うとき elder, younger はつけず, 単に one’s brother; one’s sister ですませる. 英米では年齢の上下と関係なく兄弟姉妹同士は John, Mary のように呼び捨てにするのが普通.
https://ejje.weblio.jp/content/兄
問4の解き方
各選択肢の具体例を考えます。
1 「黒(い)」は悪いことを意味する。
例)ブラック企業、腹黒い、黒いうわさ
2 「赤(い)」は明るい前途を意味する。
未来は赤い? ×
3 「青(い」」は未熟なさまを意味する。
例)ケツの青いガキ、青二才、青春、
4 「灰色」は暗い様子を意味する。
例)灰色の空、灰色の海、灰色の日々、灰色の人生
よって、答えは2
問5の解き方
「良くないことや不吉なことを連想させる言葉」が「別の表現に言い換え」られている選択肢を選ぶ問題です。
各選択肢はすでに言い換えられているので
各選択肢の言葉をストレートな言葉に言い換えると 「良くないことや不吉なことを連想させる言葉」 になるか検討します。
忌み言葉の例)
婚礼の際の「去る」「切る」「帰る」「戻る」「別れる」
お悔やみの際の「重ねる」「重ね重ね」「返す返す」「再び」など (大辞林より) 。
別の表現に言い換えている例)
結婚式で「終わる」を「お開きにする」(大辞林より)。
1 弔問客(ちょうもんきゃく)が「故人を忍ぶ」と言う。
言い換えると「亡くなった人を懐かしく思う」
良くないことや不吉なことを連想させる言葉ではありません。
2 役人が「善処する」と言う。
言い換えると「状況に応じて適切に処置する」
良くないことや不吉なことを連想させる言葉ではありません。
3 宴会の司会者が「お開きにする」と言う。
言い換えると「終わりにする」
「終わり」は良くないことや不吉なことを連想させる言葉です。
4 政治家が「慙愧に堪えない」と言う。
言い換えると「自分の行いについて、残念に思い、反省する」
良くないことや不吉なことを連想させる言葉ではありません。
よって、答えは3
以下は日本語教師になる前に書いた解説です。
※他の解き方、考え方を知るのに役立つので、あえて残しています。
どこよりも早い解説付き解答速報。
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題12は、【文化的価値感】です。
問1「サピア・ウォーフの仮説」に関する問題です。
サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは、ある言語とその言語の話し手である人間の思考の関係に関する仮説で、強い仮説と弱い仮説がある。
強い仮説「人間の思考は言語によって決まる」
弱い仮説「言語の違いが話者の思考や外界認識に影響を与える」(以上は、ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第3版』28頁より)
よって、正解は3です。
問2 日本語には単純語レベルで「コメ」「イネ」「メシ」という区別がありますが、同様の例を選ぶ問題です。
単純語とは、 単語のうち、意味・語形の上からそれ以上に分けることができないと考えられるもの(スーパー大辞林3.0)。
複合語(合成語、熟語)とは、単語のうち、意味・語形の上から二つ以上の単語の結合によってできたと認められる語。「朝日」「買い物」「花見」「祝い酒」「書き込む」の類(スーパー大辞林3.0)。
派生語とは、単語のうち、ある単語に接辞などが付いたりしてできた語。
1,「雲」の名称には形状に応じた語彙はありますが、複合語です。
例)積乱雲
2,「牛」の名称には家畜としての用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例)乳牛
3,「魚」の名称には成長過程に応じた語彙があり、単純語です。
例)ハマチ→ブリ
4,「火」の名称には用途に応じた語彙がありますが、複合語です。
例) 焚き火
以上より、3が正解です。
問3 すべての親族名称が単純語レベルで同じ区別を持つとは限りません。英語と日本語で区別の仕方が異なる親族名称……といえば、ブラザー、シスター、が思い浮かびます。
よって、ブラザーの4が正解です。
問4 日本語の慣用句で用いられる色彩語に関する問題です。
1,「黒い」は悪いことを意味する→腹黒い
2,「赤い」は明るい前途を意味する→?
3,「青い」は未熟なさまを意味する→青二才
4,「灰色」は暗い様子を意味する→灰色の空、灰色の海
よって、2が正解です。
問5 忌み言葉と呼ばれ、別の表現に言い換えられることもある例を選ぶ問題です。
スーパー大辞林3.0によると、
忌み言葉とは、①…信仰上の理由や、特定の職業・場面で使用を避ける言葉。不吉な意味の語を連想させる言葉が多い。例えば婚礼の際の「去る」「切る」「帰る」「戻る」「別れる」、お悔やみの際の「重ねる」「重ね重ね」「返す返す」「再び」など。
②…①の代わりに使う言葉。結婚式で「終わる」を「お開きにする」という類。
以上より、 正解は3です。