平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題8は【インターアクション】です。
問3の解き方
選択肢1
インターアクション仮説が重視する意味交渉は、コミュニケーションが滞ったときに、工夫する対話のこと。聞き手に分かるように話すのではなく、聞き手が分からなかったときにする工夫(意味交渉)により習得が促進されます。
意味交渉について詳しくは下の記事をどうぞ
日本語教師になる前に書いた解説
問1
問題4の問3に登場したコミュニケーション能力と談話能力が再び出てきました。日本語教育能力検定試験では、同じキーワードが何度も登場することがしばしあります。意味を知らないと手痛い失点になりますので、頻出キーワードは暗記必須です。
コミュニケーション能力について詳しく学びたい方はこちら。
談話能力とは、単なる文の羅列ではなく、意味のある談話や文脈を理解して、作り出す能力。
1,言えない、つまり、表現を使用できないということなので、文法能力の問題になります。
2,文法的には正しいですが、文と文の繋がりに欠けます。談話能力の問題といえます。
3,相手によって言い方を変えることができていないので、社会言語能力の問題になります。
4,知らない言葉を別の言葉で言い換えるのは、ストラテジー能力(方略能力)です。
よって、正解は2です。
問2 インテイクに関する問題です。
インテイクとは、学習者がインプットのある部分に注意を向けて、意味を理解し、頭に取り込んだものです。
1,インプットが符号化されて、インテイクになり、インテイクが転送されて長期記憶に貯蔵されるという流れなので、1は誤りです。
2,仮説検証してフィードバックする必要はありません。
3,インプットがインテイクになるには、その言語形式に気づき、意味を理解する必要があります。
4,自動化とインテイクは関係ありません。
よって、正解は3です。
問3
インターアクション仮説(インタラクション仮説)とは、意味交渉によるインターアクション(やり取り)で、インプットが理解可能になり、習得につながるという仮説。
よって、正解は4です。
問4
意味交渉とは、コミュニケーションが滞ったときに、通じるよう工夫する対話のこと。明確化要求、理解チェック、確認チェックなどがある。
・明確化要求とは、相手の発言が不明確なとき明確にするよう要求。
・理解チェックとは、相手の発言を自分が正しく理解しているか確認。
・確認チェックとは、自分の発言を空いてが正しく理解した確認。
選択肢3のように、詳細な関連情報を求めることは、コミュニケーションが滞ったときの工夫とはいえませんので、意味交渉にあたりません。
よって、正解は3です。
問5
フィードバックとは、他者の行動に対する何らかの反応。
訂正フィードバックとは、誤りを訂正するフィードバック。
肯定証拠(positive evidence)とは、文法的に何が可能かという情報。
否定証拠(negative evidence)とは、文法的に何が不可能かという情報。
中間言語(Interlanguage)とは、母語でも目標言語でもない、発達途上の言語体系。学習者言語(Learner language)ともいう。
1,訂正フィードバックによる否定証拠は母語習得でも役割を果たします。
2,インプットでは全ての誤りは分からないので、訂正フィードバックにより、 インプットでは得られなかった否定証拠を得ることができます。
3,訂正フィードバックは、誤りを正しくしますので、肯定証拠も得られます。
4,中間言語は発達している段階であり、訂正フィードバック以外でも言語能力は発達しますので、訂正フィードバックにによる否定証拠がなくても、中間言語の再構築は起こりえます。
よって、正解は2です。