新解説(3)
イ形容詞の「ない」は、非存在を表す(現代日本語文法①p102)。
イ形容詞の「ない」の例)
・仕事がある ー 仕事がない
・休みがある ー 休みがない
助動詞とは、動詞を助ける詞(ことば)
助動詞の「ない」とは、動詞の否定形の「ない」
助動詞の「ない」の例)
・食べない
・働かない
派生接辞とは、品詞を変えて新しい言葉を派生させる接辞
例)高い(イ形容詞)→高み(名詞)
屈折接辞とは、文法的関係を変える接辞。品詞は変わらない。
例)食べる(肯定)→食べない(否定)
接辞について詳しくはこちら
各選択肢を検討します。
選択肢1
動詞+「ない」における「ない」は助動詞
形容詞+「ない」は補助形容詞(考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法p134)
選択肢2
動詞+「ない」における「ない」は文法的関係を表すので屈折接辞
形容詞+「ない」における「ない」も文法的関係を表すので屈折接辞
選択肢3 ○
動詞+「ない」における「ない」は助動詞
形容詞+「ない」は補助形容詞(考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法p134)
選択肢4
動詞+「ない」における「ない」は文法的関係を表すので屈折接辞
形容詞+「ない」における「ない」も文法的関係を表すので屈折接辞
よって、答えは3
旧解説
平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3のAは【否定の形態と意味】です。
(1)
1,せわしない=せわしい
2,ありえない≠ありえる
3,さえない≠さえる
4,かかわらない≠かかわる
よって、正解は1です。
どうして「せわしない」と「せわしい」は意味が同じなのだろうと気になった方は、国立国語研究所をお訪ねください。「ない」の別の意味がそこにあります。
(2)
呼応とは、呼びかけて相手がそれに応えること。
○否定呼応(否定「ない」を呼んでいる言葉)の例。
・あまり……ない。
・何も……ない。
・少しも……ない。
○否定呼応ではない(肯定文でも用いられるようになった)例。
・ほとんど…ない。→「ほとんどある」とも言うようになった(肯定文も呼ぶ)ので、否定呼応ではない。
・全然……ない。→「全然ある」とも言うようになったので、否定呼応ではない。
1,一人もあるとは言わない。
2,いつも来るとも言う。
3,絶対に行くとも言う。
4,ほとんど読んでるとも言う。
よって、正解は1です。
(3)
動詞+「ない」は助動詞です。単独では使えません。
食べるではない×
形容詞+「ない」は形容詞です。単独で使えます。
きれいではない〇
よって、正解は3です。
(4)
「まい」を使った具体例を考えてみます。
・(二日酔いがひどいので)もう酒は飲むまい。 →否定の意思です。
・過去問を解いてないだと! 彼は試験に受かるまい。 →否定の推量です。
よって、正解は3です。
(5)
1,低価値は、価値が低い。
2,反作用は、作用が反対。
3,誤変換は、変換を誤る。
4,未完成は、まだ完成してない。
よって、「否定の意味を表す接頭辞」を含む語
正解は4です。