平成25年度(2013年)日本語教育能力検定試験Ⅱ(聴解)の問題3は単音に関する学習者の発音上の問題点です。
日本語教育能力検定試験に出てくる口腔断面図は、以下のように見分けることができます。
○調音点
・両唇…舌に動きなし。
・歯茎…尖った舌先が歯に近いところ。
・歯茎硬口蓋…盛り上がった舌が斜め前に向かっている。
・硬口蓋…盛り上がった舌が真上に向かっている。
・軟口蓋…盛り上がった舌が斜め後ろに向かっている。
○調音法
・鼻音…のどの奥の上の部位(口蓋帆)が開いており鼻腔へ空気が通るようになっている。
・摩擦音・半母音…舌と口蓋(唇)に隙間があります(半母音の方が隙間が広い)。のどの奥の上の壁(口蓋帆)は閉じている。
・破裂音・破擦音・弾き音…舌と口蓋(唇)がくっついている(弾き音は弾くために舌が反り返っている)。のどの奥の上の壁(口蓋帆)は閉じている。
と、言葉で書いても分かりづらいですね。
図が必要!
私は、日本語教育能力検定試験に合格するための音声23のp.210-211にある口腔断面図付き国際音声記号表をコピーして机の前に貼り、覚えました。
1番
「まんいん」を「まんぬぃん」と発音しています。
い[ i ]非円唇前舌高母音が、
ぬぃ[n]有声歯茎鼻音になっています。
[n]有声歯茎鼻音の口腔断面図は、舌先が歯の裏にくっついており、口蓋帆が開いているaです。
2番
「はつおん」を「はっそぉん」と発音しています。
つ[ts]無声歯茎破擦音が、
そ[s]無声歯茎摩擦音になっています。
[s]無声歯茎摩擦音の口腔断面図は、舌先が歯に近いけど隙間があるcです。
3番
「ふるさと」を「ぷるさと」と発音しています。
ふ[ɸ]無声両唇摩擦音が、
ぷ[p]無声両唇破裂音になっています。
[p]無声両唇破裂音の口腔断面図は、舌に動きがなく、唇がくっついているbです。
4番
「ゆうえんち」を「ゆういんち」と発音しています。
え[e]非円唇前舌中母音が
い[ i ]非円唇前舌高母音になっているので、舌の高さが違います。
よって、正解はaです。
5番
「ドォラマ」を「ドゥラマ」と発音しています。
お[o]円唇後舌中母音が、
う[ɯ]非円唇後舌高母音になっているので、舌の高さと唇のまるめが違います。
よって、正解はdです。
6番
「だいがく」を「だいあく」と発音しています。
子音が脱落しています。
よって、正解はcです。
7番
「はな」を「はら」と発音しています。
な[n]有声歯茎鼻音が、
ら[ ɾ / r ]有声歯茎弾き音になっているので、調音法の誤りです。
よって、正解はbです。
8番
「ずのに」を「つのに」と発音しています。
ず[z]有声歯茎破擦音が、
つ[ts]無声歯茎破擦音になっているので、声帯振動の誤りです。
よって、正解はbです。