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【過去問解説】平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3D

平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3のDは【複合動詞】です。

⒀ 複合動詞の要素になる動詞以外の品詞を見つける問題です。
名詞+動詞の複合動詞には、旅立つなどがあります。
よって、正解は2です。


なお、
陳述副詞とは、 話し手の態度や気持ちを表す副詞です。副詞のうち、述語のモダリティにかかわります。
例… 決して諦めない。たぶん雨が降るだろう。たしか今日だったはずだ。

連体詞とは、字のとおり、体言(名詞)に連なり修飾します。形容詞と似た働きをしますが、活用せず、文の述語にもなりません。

⒁ 複合動詞のうち、複合要素の前項あるいは後項が実質的な意味を失い接辞化しているものと、前項、後項ともに実質的な意味を残しているものとに分ける問題です。
平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰ 問題1の⑺にも同じタイプの問題があります。

1,差し戻す→「差す」の意味が薄れています。
  取りかかる→「取る」の意味が薄れています。
2,切り開く→「切って開く」という意味なので、いずれの意味も薄れていません。
  出回る→「回る」の意味が薄れています。
3,読み切る→「切る」の意味が薄れています。読み切るは『終わりまで読む』(スーパー大辞林3.0)ことなので、読んで切るとは明らかに意味が違います。
  食べ残す→「食べて残す」という意味なので、いずれの意味も薄れていません。
4,分け与える→「分けて与える」という意味なので、いずれの意味も薄れていません。
  送り届ける→「送って届ける」という意味なので、いずれの意味も薄れていません。
よって、正解は3です。

⒂ 複合動詞から名詞を新しく形成すること(乗り入れる→乗り入れ)を何というでしょう。
1,混淆(こんこう)とは、複数の語が混ざって、新たな語になること。
例…「やぶる」+「さく」→「やぶく」、「ゴリラ」+「クジラ」→「ゴジラ」
2,逆成とは、派生したように見える形から基本形を生みだす現象。
例…「もくろみ」から「もくろむ」を作る。
3,転成とは、あるものが性質の違った別のものに変わること。
4,転義とは、言葉のもとの意味から転じた意味。
よって、正解は3です。

⒃ 前項、後項ともに動詞からなる複合動詞に関する記述として最も適当なものを選ぶ問題です。
1,複合動詞がとる格は、前項の動詞がとる格と同じとは限りません。
例えば、「取りかかる」の前項の動詞「取る」はヲ格をとりますが(〜を取る)、「取りかかる」はヲ格ではなく、ニ格をとります(〜に取りかかる)。
2,前項が他動詞の場合、後項も他動詞の場合が多いですが、例外もあります。
「届け出る」「つかみかかる」(他+自)
3,漢語動詞も複合要素になれます。
例…愛し合う(愛するは漢語動詞)、感じ入る(感ずるは漢語動詞)。
4,結合前の各動詞のアクセントを保持するとは限りません。
よって、正解は4です。


なお、アクセントについては、

日本語アクセント入門 [ 松森晶子 ]
が詳しいです。

京言葉の複合動詞のアクセントについては、複合語のアクセントに詳しい説明があります。
複合動詞については、26,複合動詞に詳しい説明があります。

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