平成23年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題5は【学習観、教育観のパラダイム・シフト】です。
問1
1,平24年度日本語教育能力検定試験Ⅰの問題7の問5にも出てくるモジュール型とは、目的に合わせて組み合わせ可能な構成部分のことです。ここでの意味は、ニーズに合わせてシラバスを組むことでしょうか。それが「クラス内の教師と学習者あるいは学習者間に新しい関係」を生んでいるとはいえないでしょう。
4, 学習の主体が教師から学習者に移り、教師の立場は教育者からチームの一員になりました。知識伝達型から活動参加型への移行という「学習観、教育観のパラダイム・シフト」が起こったからです。
よって、正解は4です。
問2
お互いを学習の人的リソース(学習に利用する資源)とするのは、学習者同士がお互いに支援する形で学び合う手法といえます。
よって、正解は4です。
問3
ピア・ラーニング(協働学習)とは、少人数のグループで学習者が互いに協力しながら(インターアクションしながら)学ぶ学習。自律性を高める効果がある。
よって、正解は4です。
問4
1,学習者オートノミーとは、学習者自らが学習計画を立て、教材や学習環境を選び、学び、評価できる能力のこと。
2,学習者エンパワーメントとは、学習者に知識だけでなく社会を変えようという意欲をもたせること。「共生」「対話」を重視し、銀行型教育から問題提起型教育への移行を説いたパウロ・フレイレの『被抑圧者の教育学』が有名。『増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』237頁には、『エンパワーメントは、自分の内なる力や可能性を全面的に発揮できるような環境や人間関係を構築していくこと』とあります。
3,セルフ・アクセスとは、学習者自身が、学習に必要なリソース(教材)にアクセスすること。近年、学習オートノミーの育成を目指した学習環境として、セルフ・アクセス・センターが増えている。
4,グループ・ダイナミクスとは、集団における様々な力学・行動原理。
よって、正解は1です。
問5 「学習者が自ら学びを構築していくこと」を成功させるための学習ストラテジーとして不適当なものを問題です。
2,自分の信念(ビリーフ)は間違っているかもしれませんので、他人の意見に影響されず貫くのは、失敗するおそれがあります。
よって、正解は2です。